いろいろな仕事を渡り歩き、今はインフラ系エンジニアをやっている。いろんな業種からの視点も交えてコラムを綴らせていただきます。

「親方!空から女の子が!」

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「落ちてきて地面にぶつかった!」

気分的にあべっかんさんの書き出しをパクりたくなったのでパクった。ジブリの名言一言を起点に、どこまでコラムを書けるか挑戦してみた。こんなセリフでコラムを書いて欲しいとコメント欄につけるのは止めない。だが、まともに2回目が書けるか不安だ。

■現実そんなもん

 このセリフは、アニメ「天空の城ラピュタ」の冒頭シーンで主人公が言ったセリフだ。悪漢に追われたヒロインが飛空艇で追い詰められ、足を滑らせて落ちてしまう。落ちていくシーンで、彼女の身につけていた「飛空石」というのが突然輝いて、ふんわりと落下速度が遅くなる。そして、落ちた先に主人公がいて、ヒロインを見てこのセリフを言った。

 映画だからこんなにロマンチックなのだろう。これが現実だったらもっと凄いことになる。物理法則に任せて落下速度は加速して、落ちた時には「ごちん!」と凄い音がする。ヒロインも死ぬほど痛い思いをする。多分、すごい形相でのたうち回ることだろう。

 実際に空から女の子が落ちてきたらこんなものだろう。ただ、セリフを言うのは、女の子が落ちてきて地面にぶつかった後になるだろう。いきなり女の子が落ちてきたとしても、かなり加速がついている。直にそれを見たとして、女の子と判断がついた時には地面にぶつかっている。

 百歩譲って、ヒロインの身につけていた飛空石が浮いたとしても、首を吊られた状態でゆっくりと少女が降りてくるんじゃないかと思う。想像しただけでも身の毛もよだつシーンだ。きっと、主人公も恐怖に顔を真っ青にして「親方!空から女の子が!」と狂ったように叫ぶに違いない。

■「親方!空からエンジニアが!」

 これは現実世界でよく採用担当者が思い描く幻想だ。露骨には口にしていない。だが、何かこれに似た情景(妄想)を思い浮かべているのを会話で感じたことがある。仕事なので、「天空の城ラピュタ」のようなロマンスに満ちた冒険活劇を望んでいるわけではないが、空から女の子レベルのファンタジー要素は感じた。

 採用担当に男の子が多いことから、「空から女の子」というより、「空からガンダム」というノリだ。実はそういうシーンが、最近放映されたガンダムにもあった。

 どういうシーンかというと、主人公が幼い頃に傭兵として戦場で戦っていた時のことだ。機関銃片手に敵戦力に圧倒され、なす術もなく追い詰められた主人公。「もうだめだ」と諦めかけたその時、救いの手は差し伸べられた。そう、ガンダムだ。神々しい光を纏い戦場に舞い降り、圧倒的な強さで敵戦力を殲滅していく。その神々しさと強さは、主人公の今後の生き様を大きく変えた・・・。

 では採用担当はエンジニアにどういう妄想を抱くのか。まさに、先述のガンダムのように、颯爽と優秀なエンジニアが会社に舞い降りて、山積みになった問題を殲滅していく。そして、驚くほど簡単で仕事の利益に直結する仕組みを"タダ"で作ってくれる。それでいて会社には忠実。そんな恐ろしい妄想をエンジニアにチラつかせてくる。

■現実そんなもん(エンジニア版)

 エンジニアは、そんな妄想を感じつつも、仕事が欲しいので苦笑いしながら「Yes」で話を合わせて採用を勝ち取る。採用担当者も、「よし、これで仕事で確信的に効果が出せる」とニンマリだ。

 だが実際に現場に入ると、そこで働く人たちのリテラシーの低さに打ちのめされる。エンジニアとそこで働く人たちのリテラシーのギャップは、まさに天と地ほどの差がある。ここで冒頭に書いた、「飛空艇で追いかけられて落っこちる」くらいの衝撃を受ける。

 リテラシーの差を叩きつけられた時の衝撃は、まさに空から落っこちて地面にぶつかるくらいに痛い。たまに精神的に病む人も出る。飛空石みたいな特別なスキルを持つ人でも、首吊り状態でもがき苦しみながら地面に舞い降りる。そこにロマンや神々しさは無い。

■見ろぉ!人(エンジニア)がゴミのようだ!!

 「天空の城ラピュタ」の劇中、某閣下が言ったセリフだ。むしろ現実はこれに近い。なぜかファンタジーな作品で、こういう描写だけは現実に通用してしまうのが悲しいところだ。

 実際、エンジニアが誇りを持って働ける現場は少ない。客先常駐みたいな働き方になると、どうしても本社の社員より下な扱いを受けやすい。似たような構造を持つ建設現場で働いたこともあるが、ここまで酷くはなかった。意外と下からでも意見は言えたし通った。

 アニメと言えば子供の見るもの。そうイメージする人は今でも多い。だが、アニメ以上にファンタジーな妄想に奔走する大人も多い。しかも、社会で重要な位置を占める人が人を巻き込んで妄想にふけることもある。

 そういえば、「天空の城ラピュタ」の終盤、ヒロインがこんなことを言っていた。

「どんなに恐ろしい武器を持っても、沢山のかわいそうなロボットを操っても、土から離れては生きられないのよ!」


そのシーンのバックグラウンドのミュージックを流しながら採用担当に言ってやりたい。

「どんなに潤沢な予算を取っても、沢山のかわいそうなエンジニアを操っても、現実から目を逸らしては生きられないのよ!」

そんなことで皆さん。ファンタジーは現実に持ち込まずに楽しみましょう!

Comment(3)

コメント

abekkan

書き出しがちょっと違う。
会話文で始まるときも一文字目に空白を入れよ、って私は旧編集担当に指導されたんだけど。でも空白が無いほうがいい感じだなあ(笑)!

仲澤@失業者

ナ「なんにもない なんにもないったらっ。はっ、出てきちゃだめぇぇぇぇ」
誰「バクの幼生です」
ジ「わたしなさいナウシカ」
ナ「いやっ なんにも悪いことしてない」
ジ「バグとプログラマは同じ世界には住めないのだよ」
ナ「ああっ、お願いでばっぐしないてぇぇぇぇ」

とかいう妄想をしてみました(笑)。

Anubis

> abekkan さん
今後、おぱくりさせて頂く時には気をつけさせて頂きます。

> 仲澤様
なんだかんだ言って、ラピュタだけでネタが尽きた(笑)

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