見えない将来に希望と絶望を描きつつ、今を生きる人間(自分)が何に悩み、何を思うのか書き綴っていきます。

野望や大義は必要なのか~フリーエンジニア始めました

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 「フリーでやってみるか」

 2012年初冬、このたび私Ktはフリーランス(以下、フリー)のエンジニアになることを決めた。現在は会社を(依願)退職し、フリーで活動するための準備を進めている。

 今回は独立決意までの経緯を踏まえて、気付いたことを書き記していきたい。ただし、あくまでもフリーになることを決めたKt個人の現時点での見解であって、フリーエンジニアとしての成功や安定を前提としたものではないことをご理解いただきたい。

■フリーエンジニアになるのに大義はいらない

 私がフリーになろうと思った動機はたくさんある。

  • 自らの力量がどこまで通用するのか試したい
  • 年功序列ではなく、成果に見合う対価が欲しい
  • 税金や仕事にかかるお金の流れを知りたい
  • 会社員では副業が禁止され、活動の幅が限られる
  • 「会社員としての身分」という安定や、生活の安定を求めていなかった

 などなど。

 だが、これが一番の決め手になったというものはなかった。公私の状況を踏まえて、フリーになるならこのタイミングだろう、という機会がたまたまあったので、決断したに過ぎなかったのだ。

 私は、フリーになるのに大義名分は必要ないと考えている。むしろ、フリーエンジニアとしての活動経験がないにもかかわらず、強過ぎる動機や大層な目標を掲げれば掲げるほど、実際に働き始めたときのギャップに対応できなくなると思ったからだ。これは就職・転職活動でも同じことがいえるだろう。

 動機付けが自らのモチベーションを高めて、行動を促進することもあるが、その動機が効力を失ったときの反動があることも忘れてはいけない。それだけに思い付きのきっかけや動機だけで安易にアクションに移そうとはせずに、一度他の角度からも考慮することをオススメする。

■会社員でなくフリーランスを選択した理由

 「別にフリーでなくてもいいのでは?」「会社員でもできることがあるのでは?」と言われれば、それも間違いではないだろう。会社員としてそのまま会社に残るという選択もあるし、所属している会社に不満があるのなら転職するという選択でも良かったはずだ。それでも私がフリーランスを選択した理由は2つある。

 1つは、将来への危機感だ。会社員はフリーランスに比べれば安定した立場にあるというのは確かだろう。それでも、どんなに業績の良い企業でも経済不況などの外部要因を機に伸び悩む企業は珍しくない。また、企業による雇用整理も近年目立ってきている。そこで会社員という立場は保障されていても、会社そのものが保障されているわけではないということを、私は自覚したのだった。そうであれば、早いうちに自立できる力を付けないといけないな、という思いが強くなってきたのだ。

 そしてもう1つは、もっといろんなことを知りたい、体験したいという好奇心だ。世の中のことも、この業界のことも、25歳の私が知らないことはたくさんある。それは逆に考えれば、これからの楽しみや可能性もたくさんあるということになる。だとしたら、特定の会社社会だけで満足せずにもっと見聞を広めたいな、という思いが強くなってきたのだ。

 危機感と好奇心、この2つを考えたときに、私の場合は会社員でなくフリーでやってみるのがいいのでは、という答えに至った。

 ※あくまで「私の場合」であり、一般論化するつもりはない。また現時点でも私自身はフリーでやることに固執しているわけではない。

■やってみないことには始まらない

 (ここまで書いて気付いたことだが)私には野望がない。具体的なビジョンもない。ましてやフリーになるに当たって、私にはツテやコネがあるわけでもない。ほとんど何もない状態からスタートすることを決めている。自分でも、考えが甘いかもしれないと思うことはある。しかし、これで通用するのかどうかは分からないが、かといって必ず失敗するかどうかも分からないはずだ。なんにせよ、やってみないことには始まらないだろう。

 ※準備不足でもフリーになろうなどと勧誘するつもりはない。ただ、完ぺきな準備だと思っても失敗するときはすると思っている。

 ちなみに私はこれまで会社を2社、プロジェクト単位でいえば4つの現場を経験してきた。プロジェクト参画期間は長いところでは2年、短いところでは3カ月だが、期間の長短に問わず、いずれの現場でも一定の信用を得られた(と自負している)。そして、その信用が今の自信につながっている。

 この自信が続く限り、私はフリーで挑戦し続けようと考えている。

<あとがき>

 このコラムはノンジャンルです。フリーでうまくやっていけるのか、やめた方がいいのか。そういった意見を求めて調べていると、どうしても結論ありきに感じるものが多いような気がします。もっと言及すると、結論に見合った出来事だけを寄せ集めて、つじつまを合わせているだけじゃないのかなと感じるのです。

 成功者だけが良しを語り、失敗者だけが悪しを語る。それだけではなくて、この人は成功したけど自分には不向きだなとか、逆にこの人は失敗したけど自分はやってみようかなとか、そんなふうに考えられる材料を残していければと思い、今回の記事を書きました。フリーエンジニアとしての活動を通して、何かの気付きを得られれば、また本コラムで発信していきたいと思います。

Comment(2)

コメント

sa

Ktさん

> 会社そのものが保障されているわけではない
そうですよね。簡単につぶれるとは思えませんが、10年先はどうなるか分かったものではありませんしね。

私もほぼフリーです。
最初は個人事業主としてスタートし、確定申告をやってみて、廃業し、株式会社を立ち上げ、法人決算も自分でやってみて、ここ6年ほど実質一人でやっています。
おかげで社会保険や税金にも関心を持つようになりました。

会社員よりも今のほうが気に入ってます。
ずっと続けばいいのですが、こればっかりは不透明です。
自分で営業ができないのが一番の悩みで、
「今の仕事が終わったら、次の仕事は見つかるだろうか」という気持ちを常に抱えています。

結局、得意分野のスキルを思いっきり上げて、
目の前のお客さんに満足してもらえることに集中することを心掛けるようにしています。

kt

saさん

コメントありがとうございます。

saさんのコメントを読んでいて改めて、
やはり不安を抱く気持ちのほうが強くなるもんだなぁと感じました。

特に得意分野のスキル向上は考えさせられます。

就職難などで、どの年代の方も仕事がないという状況が続く中、
私を含め、駆け出しで半人前のエンジニア層にとっては、
自立できるだけのスキルを極めるチャンスがなかなか少ないんですよね。

自主学習しようにもそれを発揮する場もないままに
技術だけが先に廃れていってしまうのではないだろうか。
そんなことを考えながら、日々を過ごしていました。

でも、saさんのコメントを読んでいて、
やはりスキル向上⇒お客様満足(間のプロセスは割愛)というのは、
ずっと続く課題なんだろうなと感じました。勉強になります。

saさんのようなフリーの立場の方で、率直な悩みや心掛けを伺えるのは、
今の私にとってはすごく励みになります。
ありがとうございます。そして、私もがんばります。

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