7.Choose me
■初面接にて
♌「では、面接を始めていきます。面接官は私、渡辺と、アプリケーション担当、インフラ担当の3人で行いますね」
😅「よ、よろしくお願いしますっ！」
なんだかんだで、面接会場に通され、予定では1時間の面接が始まった。
一次面接では、現場の担当課長の方が面接をするというのが相場のようで、おそらくこの場も、そういった方々が来られているのだろうと勝手に推測する。
ということは、ぜひともアピールして、「コイツと一緒に働きたい」と思わせたら勝ちだ！！
……と、何かの転職本で読んだので、ソレにならって、頑張ることにする。
♌「ではまず、藤本さんの自己紹介を、3分程度でお願いします」
😌「はい。私、藤本大輔と申します。現職では、公共自治体のお客さま向けのシステム開発・運用保守を行う業務に携わっており、今年で社会人9年目になります。入社して3年間は、プログラミングを主に担当し、4年目からは、お客さまの運用保守を行いながら、システム改修プロジェクトのリーダー、サブリーダーとして、今まで20件ほどのお客さまを担当してきました。また、お客さまに対して、開発案件、サーバ導入などのご提案、お見積もりといった業務も並行して行ってきました。以上が、自己紹介となります」
うしっ。ここはちゃんと練習した通り。あとは、質問に的確に、かつ誠実に答えなければ……。
♌「主にアプリケーション開発のご経験を積まれているわけですね。分かりました。ネットワークやインフラ経験については、いかがでしょうか」
うお、いきなり弱いところ突っ込まれてきた……。だが大丈夫。
😅「はい、ネットワーク構築については経験ありませんが、サーバ機器、クライアントPC導入のプロジェクトのリーダーを6件ほど経験しています。具体的には、マシン構成の検討・設計、提案とお見積もり、構築作業となります」
ネットワークは弱いけど、一応インフラ構築の経験はあるんだぜ。それよりも開発経験の話を……。
🐌「そうですか。では、ネットワークについては、今後勉強していただかないといけないわけですね」
🐴「当社では現状、ネットワークについての案件が、旬となっておりまして」
♌「いま、ネットワーク構築の大規模案件が、3件ほど並行して走っているんですよ」
🐴「アプリケーション担当にも、ネットワーク構成を理解した上で、案件に携わってもらっています」
■あれ？
おいおい。ネットワークの質問ばかりじゃん。ここの求人、アプリケーションエンジニア希望って、出てたよね？？？
自分の経験を生かせると思って、この企業に応募したのに。書類選考も通ったのに。これだったら、書類選考の段階で、落とされているはずじゃないの？
ともあれ、自分が入社したあとに困らないためにも、嘘をついても意味がないので、経験がない、分からないことには、正直に答えていった。
♌「分かりました。では、アプリケーション担当から、何か質問ありますか？」
来たっ！ アプリケーション系の質問！ 技術は、専門家にくらべて劣るかもしれないけど、管理経験は山ほど積んでいるぜ！ きっとソレ系の質問が……。
🐌「……いえ、特にありませんが」
♌「分かりました。では、一次面接は、これで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました」
……ないんかーーーーーいっ！！
■しかし
😫「残念やったわなぁ。そんなにネットワーク技術者希望やっていう話やったら、求人票来る前に、アタシのところに連絡とか、前提条件として、情報来るはずやのになぁ」
面接後、数日して、松嶋さん経由で企業からのお見送りの連絡が来た。
まあ、自己アピールのしようもなかったわけだし、当然と言えば当然なのだが。
😢「……いやでも、アプリケーションエンジニア募集って聞いてたのに、ホントにだまされたような気分になりましたよ……」
😝「まあ、企業さんによっては、そういうこともあるってことやわ。コレにめげずに、次もがんばってや！ アタシも、頑張ってお仕事紹介しますから！」
😃「……はい、今後とも、よろしくお願いします！」
気を取り直して返事をしたのもつかの間、のちに、松嶋さんに対しての不信感が、徐々に募っていくのだった……。
つづく。
■次回予告！
😠「アンタがアタシに、自分の志向を、キチンと伝えとかなアカンのとちゃうんかい！！」
😡「俺、ちゃんと最初の面談のときに、こうしたいって、言ってたじゃないっスか！！」
🐧「まあまあ、ケンカはやめなさい。そうだ、2人に、角砂糖をあげよう」
😭「いらねーし、アンタ誰だーーー！！」
次回 8.DAY AFTER DAY