4. Will
■10月29日 はれ
😃「あ、藤本さん来たんやー。こんばんは」
😌「どうも、お久しぶりです」
先週に引き続き、再びドーデモエージェントの松嶋さんを尋ねることにした。なんとか仕事も調整し、夜早い時間の訪問である。
😅「先週はどうなることかと思ったけど、なんとか職務経歴書作って持ってきました」
😆「なーんや、やればできますやんかー。さすがアタシがエージェントやってるだけあるわー。じゃ、内容確認させてもらいますね」
コンニャロ、調子に乗りやがって……イライライライラ、なんて思ってることは、口にはしないのであった。大人だし。
■うん、
😜「アタシのアドバイス含め、転職本とか読んで、研究されたみたいですね。志望動機が書いてないこと以外、内容は、全然オッケーですわ」
😨「……でね。相談なんですけど」
😃「なに? 恋の相談? それはエージェントの範疇外ですわー。お金もろたら、考えなくもないですけど♪」
😢「いや、俺、嫁いますし。……じゃなくって。志望動機なんですよ」
😊「あれ? 転職したいっていう動機がありますやんか」
😲「それはそうなんですけど。この前お話させていただいたんですが、基本的に志望動機が、『やりたい仕事に就けない』などの、今の会社に対するマイナス評価でしかないんですよね。本とか読んでも、そんなこと書いたら『コイツ、今の仕事がイヤなだけじゃないか』って、企業さんに思われちゃいそうで」
😊「??? なんで? ええんとちゃいます???」
😅「え? マイナスの話書いてもいいんですか?」
😝「じゃなくって。マイナスがイヤやったら、プラスにしたらええやん、って話ですよ」
ここで松嶋さん、A4のコピー用紙を取り出す。
😌「藤本さん、コレの左半分に、今の会社がイヤな理由を書いてください」
😨「は、はぁ……」言われるままに書く。
😜「なるほど、サザエさん風に言うと、『アプリ開発のPJに携われない』『プロジェクトリーダーとしての業務をやらせてもらえない』『上流工程に携わらせてもらえない』の3本なワケですね」
😣「僕はフネじゃないですよ」
せっかくボケにちょっと乗っかったのに、残念ながらスルーされる。
■じゃあ、
😜「コレをプラスにしましょっか。藤本さんは、この3本ができない環境やから、今の会社がイヤなんですよね」
😔「ま、そーっすね」
😃「だったら、『この3本を、御社で実現したいと考えています』って、書いたら、志望動機一丁あがりですやん。右半分には、コレに対応する、転職先のプラスの理由を書いてくださいね」
松嶋さんの急にまじめなテンションに、ギャップを感じていると、またしゃべり始めた。
😌「今の会社がイヤな理由も、ごもっともやと思います。そもそも、何のために自分が転職するのかってことを考えたら、最終的には、そこに書いてある、自分のやりたいことを実現するためやと思うんですね。だったら、そこは取り繕わないで、自分がやりたいことを、転職先の企業さんに求めていると、ハッキリと意思表示した方がいいです。面接でも絶対に聞かれることです。なぜなら、そこで企業さんのニーズと、藤本さんのニーズをすり合わせるからです」
😅「は、はぁ。なるほど……」
😜「物怖じしないで、自分のありたい姿を適切に、プレゼンテーションすること。質は違うとは思いますけど、IT業界で言ったら、サーバとかの売りたい商品が、自分に置き換わっているってことですよ。せっかくのええ商品やねんから、企業さんに思いっきりプレゼンしたったらいいんですよ♪」
なんか、ものすごくもっともなことを言われている気がしてきた。ちょっと松嶋さんを甘く見ていた自分を恥じた。いやお恥ずかしい。
😌「……ありがとうございます。なんだか、ものすごく腑に落ちましたよ。やりたいことがあるんだったら、表現しないといけないですよね」
😝「ま、アタシが人に物言える立場でもないんですけどね~。さっきしゃべったこと全部、どっかの本に書いてるんとちゃいますかね? でも、少なくともアタシは、転職でやりたいこと実現できてますよ」
😅「へ? 松嶋さんも、転職したの?」
😆「だってアタシ、会社に元カレがいるのと、親のコネで入ったのがイヤで、前の会社辞めたったんですもん。不幸中の幸いですけど、今の会社の方が、仕事のやりがいがありますよ♪」
前言撤回。逆の意味で、俺の転職したい気持ちと、比較になんねぇじゃねぇか……orz
😌「じゃ、この紙あげますわ。コレを原本にして、コピーを10部くらいとっててください。面接の前に、企業研究しながら、その紙と照らし合わせて、企業ごとの対策を書き込んだら、面接用のええアジェンダができあがりますよ」
😃「わかりました。今日はホントにありがとうございました」
😭「お仕事ですし、気にしないでくださいって。でも、お礼に誰か男紹介して~~~(ただしイケメンに限る)」
😱「わー!それは客である俺の範疇外じゃないんですかー!?」
つづく。
※このコラムは、筆者の実体験をもとに、脚色と、お肌の潤いとハリを加えて作られた、フィクションです。そういえば、最近乾燥肌がヒドイです……。