1.Start Me Up
■まえがき■
はじめまして。sunsetと申します。以後お見知りおきを。
現職は、某社にてCEとして働いています。『現職は』という書き出しなのは、現在転職活動真っ最中の小粋なアラサー男子であるためです。
ここでは、そんなわたしの転職活動をコラムとして書き綴っていこうと考えています。ただし、転職活動中の身ゆえ、実体験にけっこうな脚色を加えていきます。会社バレが怖いので(泣)さらに、終わりは決めていません。そもそも、転職活動が終わるかどうかすら疑問です(汗)。
それらを踏まえて、興味がありましたらお目を通していただければ……と思います。コメントも残していただければ幸いです。
それでは、始まりです。
■10月1日 晴れ
転職しよう。
よく晴れた日に、ふとそんなことを思った。最近会社にいても、客先にいても、どーにもモチベーションがあがらない。もっと提案とか、設計とか、客先折衝とか、いろいろやりたいことがあるのに、毎日やってることといえば、導入した使えないシステムのお守りばかり。
話によると、システム導入当初は、客先も会社も要件合意の上で作られたシステムだと聞いていたので、さぞかし楽に運用できるものなのだろうと思っていた。
でも稼動半年後に引き継いだ俺が目にしたものは、100個以上の潜在バグと、システムで出力できない帳票作成の作業依頼。引き継いでから、もう2年経つのに。
入社してもうすぐ10年になろうかというのに、今まで携わったのは、こんなPJばかり。もうこんな会社に、いる理由はない。
■転職を
決めたのはいいけど、まずは一番最初のハードルを越えなければならない。彼女のさやかだ。
さやかは、会社の2つ下の後輩で、文系+勢い系の俺とは違って、バリバリ理系のお堅い女の子だ。部署は違っても、技術肌のさやかの部署に仕事柄よく相談することがあって、仲良くなって付き合い始めた。2カ月前、さやかの実家に、結婚するための挨拶に行ってきたところだ。
そんな彼女が、この期に及んで、転職するとかいう俺のわがままを聞いてくれるだろうか。帰りの電車の中で、1時間半考えた。断られたらどうしよう……。最悪、婚約解消なんて……。ネガティブな感情が、頭を渦巻く。
😃「おかえりー。どしたの、大輔? いつもより帰るの早いじゃない」。さやかが、得意の煮物を作って待ってくれていた。
😅「……そう? いつもと同じくらいかと思ってたんだけど」
😣「? まあいいや。早く着替えてご飯食べよーよ」
スウェットに着替えて、夕飯を食べる。いつもより煮物の大根が熱く、おいしく感じた。
夕飯が済み、さやかがテレビを見始めた。いつも2人で見ているお笑い番組を見て、ケタケタ笑っている。当然、俺の笑顔は少ない。
😔「大輔、なんか変だよ。大輔の好きなネタじゃない?」
😣「……や、ちょっと話があってさ」。言おう。
😨「……実はさ、転職しようと思ってんだけど……ダメかな……?」 後には引けないけど、さやかに迷惑かけるのだけは嫌だ。でも、言わざるを得ない。
😌「え、なんで? いいよ別に」
😅「は?」 先ほどまでの緊張と、周りの空気が歪むほどの緩和。
😜「今言ったでしょ? いいってば。だって大輔、家帰ってからもずーっと、たまに寝言でも文句言ってたもん。そんなに嫌だったら、部署も会社も変えちゃえばいいんだよ。どうせ死ぬわけじゃないし」
😅「……ま、そうだけど……なんか、ありがと……」
■脱力。
こんなに簡単にオッケーもらえるの? 俺が悩んだ1時間半はなんだったんだろ。さすが俺の妻になる子。しかし、次の瞬間。
😔「てゆーかさ、そんなに文句言ってて、これからどうするの?」
😅「え、なに、なんか急に」
😣「だってわたしたち、これから結婚するのにさ、旦那の大輔が弱気でどうするの? わたしもまだ仕事続けるけど、子供ができたらしばらく働くのは大輔だけになるんだよ? 当の大輔が、そんな仕事に納得いかない状態でうつとかになって、お金稼げなくなったら、わたしだって困るんだから」
😢「え、いや、あの、すんません」
😡「そう思うんだったら、さっさと転職サイトに登録しなさい! わたしたちの明るい老後のために、大輔には、ガッツリ稼いでもらいますからね!」
😭「うわ、は、はーい!」
さすが理系。まったくもって、文句も言えない。尻に敷かれること確定。俺はさっそくパソコンを開いて、転職サイトにアカウント登録するのであった。
そんなわけで、思ったよりもスムーズに、俺の転職活動は、突然スタートしたのであった。1つだけいえることは、これから幾多の困難が待ち構えていようと、別の意味で、後には引けない状態になってしまったということだった……。