348.英国史上最大の冤罪(えんざい)事件
初回:2024/01/24
冤罪(えんざい)って、本人に身に覚えのない容疑でいきなり逮捕され、裁判で有罪にされるなんて、ものすごく恐ろしいことだと思います。
P子「他人事のようであって、いつ自分に降りかかるか判らない人災だもんね」※1
1.富士通の会計システムの欠陥
《参考資料1》
https://mainichi.jp/articles/20240120/k00/00m/030/120000c
「英国史上最大の冤罪」悪いのは富士通だけ? 郵便制度を調べると...
毎日新聞
2024/1/21 05:15(最終更新 1/21 12:27) 1745文字
話としては、『全国の郵便局が使う富士通の会計システム「ホライゾン」の欠陥により、窃盗や詐欺などを疑われた700人以上の郵便局長らが無実の罪で刑事訴追され、自殺者まで出ていたことが発覚』とのことです。
刑務所に入れられ、盗んでいない現金の返済のために家も売却したそうです。当然職も失ったことでしょう。
P子「ひどい話ね」
どうも単純な冤罪(えんざい)事件ではなく、色々と複雑な『思い』が交差していたようで、問題点が山積みなようです。
事の発端は、富士通の会計システム導入後、郵便局の現金とシステム上の残高が一致しないケースが相次いだ事で、郵便局長らが次々に起訴されました。
P子「バグが引き金って、ひどい話ね」
所が、この話は、そう単純な話ではなさそうです。
そのややこしい話の前に、『英国では郵便局が民営化されており、それを統括する国有企業「ポストオフィス」には起訴など刑事手続きの一部権限』があり、『誰かを起訴し、財産没収に成功した場合、起訴を実行した調査官には「ボーナスが支払われた」ケースも度々あったという』ことのようで、『事件は「制度の失敗」と指摘。「ポストオフィスが自らのスタッフを起訴する権限を持っていなければ、事件は起きなかった」との見方を示した』という話もあります。
P子「内部告発で社員を訴えればボーナスもらえる...みたいな?」
日本なら起訴できる権限は検察官だけですが、起訴する権限まで持ってるから、バンバン行っちゃったのかもしれません。
2.英国の政治家や官僚の逃げ切り作成?
《参考資料2》
https://president.jp/articles/-/77803
富士通に責任をなすりつけようとしている...「英国史上最大の冤罪」が「とんだとばっちり」と言える理由
PRESIDENT Online
2024/01/19 11:00
元々は、英IT企業のICLが開発した「ホライズン」を、ICLを富士通が完全子会社化しているので、もちろん富士通に罪はない...なんてことは言い訳になりませんが、システムの選定理由が『政治的判断』であり、政府は欠陥だらけというのも把握していたうえで、導入初期から局長たちに横領有罪判決が言い渡されており、さらに、起訴された局長の多くは、裁判でシステムの欠陥を指摘し、無実を訴えたにもかかわらず、英国の郵政担当者や検察官たちは自分たちの誤りを認めなかったそうです。
P子「組織ぐるみというか、権力側が敵だとどうしようもないのね」
ここでさらにややこしい状況なのが、本来の政府の責任を富士通を悪者にして逃げ切りを図っているとの事。こういう状況になると、責任がなくても過大な賠償金を支払ってでも鎮静化を図ろうとする企業側が不利になってきます。
P子「裏金問題が派閥問題にすり替わってるどこかの国みたいね」
もちろん、正論で勝負するっていう手もありますが、実際の被害者をほったらかして、お前が悪い、いや、お前の方がもっと悪いなんて言い合いをしていると、悪印象しか残らないでしょう。
さらに、1999年に「ホライゾン」が導入された後、2000年頃から、2015年までに次々に起訴され裁判所は19年にようやくシステムの欠陥を認めたそうで、1997年から労働党、2010年から保守党が政権を握っているので、与野党関係なく責任追及されるのを嫌っているはずで、与野党一丸となって、富士通に責任を押し付けることでしょう。
3.まとめ
今回の件は完全にバグによる冤罪ですが、『アラートループ事件』(※2)みたいに何気なしに書いたコードで家宅捜索されたり、バグで知らない間に逮捕されたりするのは誰にでもあり得そうです。さらに、生成系AIなども著作権関係でいきなり起訴されるなんてことも、あるかも知れません。
怖い話です。
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「他人事のようであって、いつ自分に降りかかるか判らない人災だもんね」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
※2 《参考資料3》
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%AB%E3%83%BC%E3%83%97%E4%BA%8B%E4%BB%B6
アラートループ事件
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』