今、話題の人工知能(AI)などで人気のPython。初心者に優しいとか言われていますが、全然優しくない! という事を、つらつら、愚痴っていきます

307.何のために働くのか?

»

初回:2023/4/12

 あちらこちらで、ChatGPTがすごいという噂が飛び交っていますが、AIの進化のスピードが皆さんの想像以上に早くなっている証拠なのかもしれません。そうなると、必ず出てくるのが我々の仕事が奪われるのではないか?という疑念です。

 現実には、仕事が奪われるより先に貧富の差が急拡大し、そのような富を安定かつ永続的に確保するために、多くの労働力が必要になるため仕事自体はなくならないでしょう。

P子「でも低賃金で重労働ってことになるのね」※1

 技術力があるとか能力が高いから安心だと思っていると、AIに取って代わられる可能性が高くなってきているので、別の切り口が必要だと思います。

P子「今回は、その話なの?」

 いえ、話が脱線してしまいました。今回は『なぜ働くのか?』『何のために働くのか?』を考察してみたいと思います。

1.まずは人類の歴史から

 ここでは専門的なお話ではなく、ザクッとしたお話として聞いてください。

 最初の人類は、約500万年前に出現したアウストラロピテクス(猿人)で、クロマニョン人(新人)が約4万年前と言われています。そして農耕が始まったのが、約1万年前、家畜は9000年前と言われています。

 農耕や家畜以前の時代で『働く』とは食料の調達ということだったと思います。もちろん、狩りをしてある程度の食料保存は利いたでしょうし、植物や果実などの採取も行っていたので、毎日必ず働いていたということはないかもしれませんが、全く捕まえられない日もあったでしょうから、動ける間は動いたと思います。

P子「悪天候とかもあったかもね」

 そして、農耕や家畜の発展で「物々交換」(お互いの持っている食糧の交換など)から「物品交換」(布・塩・貝・砂金などと交換)を経て、「貨幣制度」に移行したといわれています。最近の「新貨幣論」では、物品交換ではなく債権(請求)・債務(支払)という考え方が「貨幣制度」に発展したという説もあります。

 人々は取引内容を「記帳」し生活を営んでいた...ということですが、文字が生まれたのは、紀元前3千年ごろ(メソポタミア文明頃)なので、農耕(約1万年前)から文字の誕生(約5000年前)までの間に、物々交換や物品交換が行われていなかったというのも変な話なので、何かしらの取引はあったと思います。

 とにもかくにも、「貨幣制度」が「物品交換」から始まろうが「債権・債務」から始まろうがどちらでもいいんですが、「貨幣制度」が定着してからは、労働を貨幣に交換して保管し、必要な時に貨幣を食料や物品に交換するということが一般になったと思います。つまり、働く目的は、食料や物品を手に入れるための貨幣を手に入れるためということになります。

P子「ややこしい言い回ししないで、お金のために働くって言えばいいのに」

2.現在の働く目的

 食料調達のための労働から、物品交換のための貨幣を手に入れるための労働に代わりました。そして、その貨幣を増やす目的で労働力が必要な人と労働力を貨幣に代えたい人の間で取引が成立して、雇用という形態が生まれたのでしょう。

P子「学術的な話ではなく、想像ね」

 経営者は、貨幣を増やすために働き、労働者は貨幣と交換するために働いているということです。

 さて、ここからが本題ですが、食料の調達や生活必需品を生産するには人手が必要です。この部分の労働というのがスタートラインとして絶対的に必要ですが、その先の贅沢品、嗜好品、サービス、娯楽などは、生きるためには不要です。ですが、生活する上では重要なファクターで、これを手に入れるには貨幣が必要で、そのために働くということです。

 つまり、現代における労働は、生活を豊かにする、人生を豊かにするのが目的なので、自分の納得できる範囲で労働すればよいということです。

P子「ワーク・ライフ・バランスが重要視されているのね」

 生活を豊かにするために働いているのに生活を犠牲にするのは、おかしな話ですが、生活を犠牲にして働かないと生活できないという事実もあります。資本主義的に言うと、資本が資本を生むので金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏になっていきます。純粋な資本主義では多くの犠牲者が生まれるので、適度に社会主義的な要因を混ぜないとダメということです。

3.これからの働く目的

 AIがさらに進化してくると、巨大な資本を持った経営者がAIを駆使してさらなる資本を増やしていきます。そこには必要最低限の労働者で済むかもしれません。多くの失業者が出るとか、非正規雇用で長時間労働しないと生活もできない位、給料が低くなるとか。

P子「残業できないわよ」

 そのための副業推奨なんです。どう考えても、残業代をきっちりもらう方が効率的なんですけど、単価を抑えるための策略です。

P子「例によって、陰謀論ね」

 ここで、2つの未来が見えてきます。一つ目は、金持ちの間だけで経済が回るというパターン。多くの人は生きるために労働せざるを得なくなります。食料や生活必需品などの生産に労働が必要なのですが、これらも効率化が進めばすべての労働者がかかわるということはないでしょう。人生を豊かにする贅沢品、嗜好品、サービス、娯楽などを生み出す労働力も、一部の金持ちに対して提供されるだけで、多くの人々に回ってこない世の中になっているかもしれません。王族と奴隷の関係に近い世の中と言えば判りやすいかもしれません。

 もう一つは、効率化がさらに進み、生きるための労働は必要最小限になり、生産者と消費者の関係だけが残るという世の中です。生産者は当然資本を元に生産活動を行いますが、AIや自動化により非常に効率的にものを生み出すことができます。そこから税金を徴収し国民に分配する。つまり、全く働かない人たちが、そこそこの贅沢品、嗜好品、サービス、娯楽などを消費するということです。

P子「そこそこって?」

 平均と言ってもいでしょう。例えば、エアコン普及率が50%になったのが、1985年頃とすれば、そこそことは、その年にエアコンを購入できるくらいの生活ということです。

P子「要するに『一億総中流』時代ってことね」

 一つ目のシチュエーションでは、多くの人にとって働くとは生きるために必須ということになり、クロマニョン人時代に戻るということです。

P子「そんなに戻らないでしょ」

 二つ目のシチュエーションでは、労働しなくても生活ができるので、労働がお金儲けの手段『だけ』ではなく、世のため人のための労働とかになると思います。

P子「そんなの夢物語ね」

 しかし、一つ目の悪夢も二つ目の夢物語も可能性としてはありうるのですが、現実的にはその中間になると思います。問題は、どちらの比率に近いかということです。

4.まとめ

 私個人の認識では、第二次世界大戦の終戦(昭和20年(1945年))が、近代日本の始まりと考えています。あくまで民主主義の始まりという意味では、まだ80年も経っていません。その間、生活は豊かになったと思いますが、さらに未来に向けて効率化が進めば、もっともっと豊かになるはずですが、そういう気がしません。

 どうも、悪夢と夢物語の比率が、悪夢に近づいているような気がして、仕方がありません。

 一応解説しておくと『世のため人のための労働』でかつ『対価を求めない』のはフリーソフト開発やクリエイティブ・コモンズなど、現在でも存在します。安定的な生活保障があれば、趣味や嗜好品に対する消費だけではなく、『世のため人のための労働』は気分が良くなるので行うと思います。

 ただ、趣味のフリーソフト開発すら、AIに取って代わられると思うと、悪夢です。

P子「夢物語すら、悪夢になる可能性があるのね」

 ほな、さいなら

======= <<注釈>>=======

※1 P子「でも低賃金で重労働ってことになるのね」
 P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する