ITエンジニアとして時流に乗って高年収を掴み取り、勝ち逃げ人生謳歌に特化した戦略コラム

システム開発源流でのとても怖いお話し

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今回は、クライアント企業と受注したベンダー企業との間に、絆とも言うべき強い信頼関係がある時に起こりがちな、それはそれはとても怖いお話しを致しましょう。

システム開発には上流工程のさらに上流に、源流が存在します。(参照:上流工程のさらに上流!「源流」でのお話)クライアントの要件をヒアリングする、いわゆる要件定義が上流工程だとするならば、さらにその上流の源流では、システム開発そのものをするのか否かが決められています。俗に言う、システム投資判断です。システム構築をしたことで、その投資資金が回収出来ると判断されれば予算が投入されるわけですが、これらの判断には経営層が関わってきます。付き合いが長いベンダーは、システム投資判断の段階から参謀として入り込んでいるので、システム投資にGOサインが出たらそのまま受注という流れになります。

ベンダー側としては、受注する前からPMをアサインしておきます。大きい括りで言うと、これらは営業活動になりますが、受注後は速やかに対応できるように、事前にPMをアサインしておくわけです。ようするにこの段階では、予算も工期も確定していないのにPMだけが内定している状態です。一見さんとの取引ではありえない話なのですが、双方付き合いが長くなってくると受注が前提となってくるので、まぁその辺はそんなものって感じになってきます。

基本的には、予算も工期も双方が納得の上で取引が成立するわけですが、付き合いが長くなってくるとそうはいかないケースが出てきます。とくに、工期が折り合わないことはよくあります。例えば、要員のアサインを考慮し、100人集めて2年かかる案件を、クライアント側は200人集めて1年で仕上げろと圧力をかけてくるわけです。しかし、ある一定のレベル以上の要員なんてそう簡単には集まりません。そもそもクライアント提案の工期は無理な話なのですが、そこにクライアントの経営層が圧力をかけてくると、事態はさらに厄介になります。振り上げた拳を下ろせなくなるからです。しばらく膠着状態が続いたあと最後に折れるのはベンダー側です。

ではその後どうなるのか?という話ですが、200人集めて1年で仕上げるのは最初から無理な話を承知でいったん引き受けます。あらかじめアサインされているPMの元でプロジェクトがはじまるものの、開始から3ヶ月後くらいには、予定の半分の出来高しか達成していないことが明るみになります。それもそのはず最初から無理な工期な訳で、ようやくクライアント側も工期の妥当性がベンダー側にあることを悟ります。そして改めて工期を2年と引き直され、形だけの再契約を済ましたら新しいPMの元でリスタート。ようやくこれでめでたしめでたし。。。とはいきません。まだ、前任PMの責任問題が残っているのです。

いままでに幾通りものケースを見てきましたが、なぜかこれらのケースはPMだけが責任を負わされていて、端から見ているとまるで生贄のようです。さらに不思議な事に、これらの事象にエース級のPMが巻き込まれることはなく、ワケアリPMが飲み込まれる傾向が強いところを見ると、最初から仕組まれた見えざる手が働いているのかもしれません。いずれにせよ、失敗すると分かっている仕事を受注しておきながら、受注側の上層部や営業が裁かれることはありません。下流工程では考えられないような政治力がものを言う世界がシステム開発の源流には流れているのです。ITエンジニアが心穏やかに仕事にありつけているのは、源流の激流に飲み込まれた数多もの屍のおかげなのかもしれません。

提供元:処世術で高年収を勝ち取るITエンジニアの戦略 kachinige.com

Comment(4)

コメント

ちゃとらん

『怖いお話し』シリーズ、お待ちしております。


> 予算も工期も確定していないのにPMだけが内定している状態


今はだいぶマシになってきていますが、予算と工期(納期)が確定しているのに、仕様(要件)が固まっていない…受注案件と言うのがあります。
「大丈夫です」「お任せください」という営業トークでとりあえず受注だけ取って、あとは技術(SE)にお任せ、「何とかしてあげてください」みたいな。


あと、顧客(海外)⇒商社⇒1次ベンダー⇒弊社 みたいなケースで、うちの名前は出さない、問合せ窓口は1次ベンダーとかの契約で(保守費の予算が少ない)、実質商社と1次ベンダーが中抜きだけのケースで顧客の要求が厳しく、商社と1次ベンダーが降りて(受注金額は当然持って行って)保守を丸なげ…

ああ、愚痴になってきましたので、この辺でやめておきます。

匿名

怖い話ですね。結局政治力って、運ゲームなんですかね。上に行きたいのですが、こういうの巻き込まれるのは御免です。


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匿名さん、勝ち逃げ先生です。


経営課題解決を経営者の仕事だと他人行儀のままでは、政治力は鍛えられませんが、自分ごとに落とし込んで主体的に挑んでいれば、ある程度は鍛えられますよ。

匿名

ワケアリPMが飲み込まれるのではなく、こういう案件に飲み込まれた人がワケアリPMになるのでは?
生贄にされても仕事にモチベーションを持てる人間なんていないでしょ


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匿名さん、勝ち逃げ先生です。


まぁ「鶏が先か、卵が先か」ですね。。。

勝ち逃げ先生

ちゃとらんさん


これもあるあるですね。。。営業と技術の対立構図はよくありますが、構造上どうしても営業の方が強いので、技術側がカバーしているのが現状ですね。そんな関係性が嫌な技術者はフリーになって自分で営業頑張るんでしょうかね。いつか一緒に酒でも飲みながら愚痴りますか。。。笑

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