ITエンジニアとして時流に乗って高年収を掴み取り、勝ち逃げ人生謳歌に特化した戦略コラム

効率を追求しすぎると非効率に陥る不思議なカラクリ

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仕事をする上で効率を追求するのは、ある意味当然ことです。より少ないエネルギーで、より多くの価値を手にする事が出来れば会社の利益が上がり、結果的に自分自身の年収を上げることにつながるからです。しかしその効率を追求し過ぎると、逆に非効率に陥ってしまう不思議なカラクリについて説明をしていきます。

無用の用

「無用の用」という言葉をご存知でしょうか?一言で言うと、「何も無い部分の働き」という意味です。形あるものが役に立っているのは、何も無い部分が役割を果たしているからです。少し哲学っぽくなってきたので、分かりやすい図で説明します。

以下の絵を見て下さい。子供の頃誰もが遊んだと思いますが、数字パズルです。9マスのエリアに1〜8の数字が埋まっていて、一つだけ空いたスペースを利用して、数字を入れ替えて遊ぶゲームです。

このパズルゲームが楽しく遊べるのは、1マス分の何もないスペースがあるためです。もし、この1マス分のスペースを埋め尽くしてしまったら、ブロックは身動きが取れなくなってしまい、これでは楽しいはずのゲームも散々です。

効率化の盲点

じつは、ぼくたちが普段何気なく取り組んでいる、効率化にも落とし穴があります。無駄を省いたり、削ぎ落としていく考え方自体は間違っていませんが、やりすぎるのは問題です。上の例で言うと、9マス分のスペースを効率よく使おうと思えば、9マス全てを埋め尽くすのが正解となります。1マスには1マス分の生産性があると仮定した場合、効率化する前は8マス分のアウトプットでしたが、効率化したあとは9マス分のアウトプットが期待できるので、生産性は1割程度向上したことになります。しかしそれをやってしまうと身動きが取れません。

何の変化も無い環境下で、同じことだけを淡々とやり続けるだけで収益が上がる仕事が存在するのならば、これでも問題は無いと思いますが、実際のビジネスはイレギュラーの連続です。今回のコロナ禍の様に、予期せぬトラブルが起こることなんて日常茶飯事です。1マス分のゆとりがあれば、状況に応じて臨機応変に対応出来ることが、キャパいっぱいまで効率化してしまうと、変化に対応できずに、結果的に不利益を被る事態に陥ります。効率化したことで、変化に対応できない事態に陥り、結果的に非効率な状態になってしまったと言えるでしょう。

例えば、もともと4人でやっていた仕事があったとして、2倍の効率化に成功したとしましょう。その結果、2人で仕事を回していけるようになりました。2人の人員分の経費が浮いたので、生産性の観点からみると大貢献と言えます。しかしその状況下で1人でも休んでしまうと、アウトプットは半減します。2人休んでしまうと完全に業務が止まります。

一方、もともとの4人で回していた時であれば、1人休んでも25%減で済みます。2人休んでも半減で抑えられます。要するに、欠員が発生した状況下においては、効率化する前のほうが生産性が良かったと言えます。

何が起こるかは予測は出来ないが、必ず何かは起こる

ビジネスをやっていると、本当に色々なことが起こります。震災があったり豪雨被害にあったり、金融危機に遭遇したり、コロナ禍も起こりました。振り返るのは簡単ですが、未来に何が起こるかなんて誰にも分かりません。ただ唯一分かっていることは、今後も必ず何かが起こります。平時ではない状態に見舞われることは、今後も確実に発生します。強制的に環境の変化に迫られるのです。そして、その環境の変化に唯一対応できるのは「ゆとり」です。「無用の用」です。行き過ぎた効率化のなれ果てに、無用の用を削ってしまっているのであれば、組織の死を早めているだけです。

効率化をすればするほど、環境の変化に弱くなり、結果的に非効率な事態に陥るわけですが、だからといって、全く改善をしなくても良いわけではありません。要はバランスです。そのバランスを調整するのは経営陣の仕事ですが、我々ITエンジニアも、少し高い視点を身につけて、経営陣に論理的に進言する力は必要です。こんなご時世だからこそ、働き方や考え方を見直す時期に来ているのだと思います。システム開発をすることだけがITエンジニアの仕事ではないのです。

提供元:処世術で高年収を勝ち取るITエンジニアの戦略 kachinige.com

Comment(2)

コメント

DxD

効率化とリスクマネジメントって本質的に真っ向から対立すると思うんですが、さも両立できるなんて空論が大手を振って闊歩してるのは何でなんでしょうねえ
誰か数学或いは論理学的に証明してくれないものでしょうか

勝ち逃げ先生

DxDさん


難しい問題ですね。
その企業の業界内ポジションやブランディングの方法によって、どのくらいリスクを取っていくのかが変わってくるので、それこそ経営陣の腕の見せ所なのだと思います。

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