閑話休題:時給を上げる話(2)
さて、時給の話のつづきです。
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で、今の自分の時給は1万円ぐらいだと思います。これは私のひとつの目標でした。この目標をクリアできたので、今は次の目標を探しているところです。
いちおう、誤解のないように補足しておきますが、「え?オレと同じように(月の労働時間250時間)働いたら月給250万!? ふざけんな!」と思われた方、それは誤解です(笑)。世の中にそんなうまい話は(私の知っている範囲では)ありません。
時給の話をしているのであって年収、月収の話ではありません。
とある成果物に対する報酬(単価)は最初から決まっていて、それはほとんど変動しません(交渉次第で少し動きますが)。ということはその成果物を、どれぐらいの生産性でもって、どれぐらい効率化して、かつ品質も担保して、働くかということです。
時給●●円を「もらっている」というよりは時給●●円に「する」って感じなんですよね(ここ大事です)。いろいろ創意工夫や調整をして、上げていく、と。
そして、この「品質も担保して」がいちばん重要なんですよね。これを視野にいれておかないと次の仕事はないのです。(苦笑
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IT業界のいわゆる「成果物」の品質というのは「作業」の品質の勝負では必ずしもないのです。そういうところでの競争には私は勝てないので、とっくに降りています。技術的な「作業」が得意な方はたくさんいらっしゃいますので私でなくともよいのです。
みなさんご存じのとおり成果物というのは単なる作業の積み重ねで完成するものではなく、というか作業によるアウトプットなんてほんの一部、成果物の中のほんのひとつのパーツにすぎません。
たとえばシステムを納品するにしてもいちばん重要なのは「どんなシステムをつくるか?の決め」ではないかと思います。それを決めるためにたとえばカネ関係とか、あるいは要件定義とか?接待のようにみせない接待とかwさまざまなやることがあります(これが「仕事」)。決まったらあとはそれをドキュメンテーションをし、決まったとおりにつくればいい話です(この工程が「作業」です)。
SEは「つくりたがり」であって決めたがりではないのです。もっというと「つくりたいようにつくりたがり」です。不思議なことに、決めたがりでないくせに、上流で決めた設計どおりにつくることはあまり好きではないという…
決めろよ!と文句をいい、決まるとまたその内容に文句をいう…というか、文句をいいながらつくっていくのが好きなのかもしれないですね。そういう「性質」といいますか。職人系の方々ってそういう傾向があります。
そういう性質に対してずっと違和感というか「合わないなー」と感じていたのも、私が「降り」た理由のひとつなんだろうな、と、今になるとそう思えます。
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ところで、技術労働者の時給はほとんどスタティックですし、作業手順やナレッジ、あるいはFAQの類が整備されているのであれば、その作業範疇で自力で効率化するのは難しいです。
そして、「作業」単体ですとその成果物に対する単価が安いです。誰でもできる作業、あるいはちょっとトレーニングすればできるようになるような作業に対して企業(ユーザや元請け)は安い賃金しか出しません。また、その作業を行える人間も業界内に多く、競争率が高いのでいわゆる「レッドオーシャン」ということになります。
ただし、技術労働の中でも給料の高い職種はもちろんありますが、それはやはり「作業」そのものではないですよね。プロマネだったりコンサルだったり… もちろん作業そのものも包含されていますが、SEでも上流であり、ステイクホルダとの調整等が主な仕事になってきます。
そういった、技術労働も含めた「複合的な動き」ができる方に、企業というのはカネを出したがります。
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ま、それはそのとおりなんですけど…私もそのような給料が高い仕事をやってみたいのですが…私のような人種が狙う職種というのはもっと「ふわっとした」仕事です。
私が「降り」て「向かった先」というのは、SEがイヤがるところです。そこにいろいろな仕事が落ちている。
「向かった先」は、いわゆる「上流」にのぼっていったわけではないのです。ありがちなPG⇒SE⇒コンサル みたいな変わり方ではなくて、「横にそれた」感じですかね。
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世の中には、「ふわっとした」仕事も実はたくさんあるのです。IT業界には少ないのかもしれませんが業界の際(きわ)だったり、IT業界以外の世の中にはそういう仕事がたっくさんあります。
ふわっとした仕事はとりとめがないがゆえに、求められるスキルもはっきりしていなくて、けっこうゼネラリストが向いていたりするのですよね。自分は世の中がスペシャリストを希求している時勢であっても頑なにブレなかったゼネラリストですので(笑)たまに自分にぴたっとくるふわっとした仕事が、あるのです。探していれば。
必ず自分に向いてる仕事がある、と信じることですね。こちらが日々のちょっとした努力を怠らずに、かつブレないでいれば、必ず時勢はこちらに少しだけ寄ってきます。そして、手を伸ばせば届くところにまではきます。メインストリームに押しやられることは決してありませんが(笑)。
続けます。