健康について第28回 医者とSEは似ている その2(医療制度との距離感その3)
お世話になります。龍澤と申します。
今回は「医療制度との距離感」の3回目になります。
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私の母が今も続けていますが、病院に薬だけもらいにいく、ということをしている方が、特にお年寄りに多いです。
本当は、やめたほうがいいのだろうと思います。
病院のほうも、「薬だけ」というのは(本当は)受け付けていないので毎回医師の診断を受けてください、というのがタテマエとしてあるようなのですが、実際のところ「1時間待ち、3分診療」では……。
お医者さんも、サービス精神がないのですよね。1時間待った患者に対して「どうですか? お変わりないですか?」「変わりないようでしたら同じ薬を出しておきます(以上!)」だけですからね。患者(客)が「薬だけ出してくれればいい」と考えるのも当然かと。
まぁお年寄りならば、仕方がないのかもしれません。薬が心の拠り所となっていて、薬のおかげで苦痛が和らぎ、幸せに生活できているのであれば。
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少しだけでもいいから毎回お医者さんとお話はすべきだとは思うんですよね。カウンセリングの意味合いで、会話することで楽になることも多々ありますし。
医者(専門家)の見解とは、医療費を払う対価として当然私たちが受けるべきサービスの1つなのです。その権利をこちらから放棄してはいけません。そして、見解を「引き出す」のも実はテクニックなのです。
重要なのは、診断の結果を聞くだけという受け身の姿勢ではなく、こちらから会話をしてみることです。こちらが受け身だと、医者側は意識的にルーティンを継続しようとするので、こちらから話題を投げかけてみてルーティンを壊してゆきましょう。
ただの世間話でもかまいません。たとえばお医者さんのひととなりをそれとなく聞いてみるとか……。「お医者さんになって何年ぐらいなんですか?」「ここの病院の前はどちらにいらしたのですか?」「内科の先生になろうと思ったのはなぜですか?」などなど……。
最初は「ちっ、後ろに患者がたくさん待ってるのに、こんな世間話につきあってらんないよ」という態度を明確にしてくる方もいらっしゃいますが、とにかく続けることです。医者のほうが心を開いてくれれば、もっともっと有用な話をしてくれるようになります。
前回書きましたが、お医者さんも私たちと同類なのです。同類ということは(はっきりいって)「コミュニケーションに難あり」ということです。彼らは最初から彼らなりのバリアを張っているので(それは彼ら自身も気付いていないのでしょう)まず私たちのほうから心を開いて、コミュニケーションを求めることが肝要です。
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正直なところ、ホンネをいえば、なんで患者である(つまり、お金を払っている)私たちがそこまでしてあげなきゃいけないのか……と思ったりもしますが、そのへんは、医療費に対して最大の費用対効果を出すためのテクニックということで、割り切る必要があります。
もっと根本の話をすれば、医者というのは自費診療の患者に対しては最大のサービスをしますが私たちのような保険診療の患者に対してはそれなりのサービスしかする気がありません。自費診療に切り替えた場合、医療費が3倍以上かかりますので、どれだけきめ細やかなサービスを受けられたとしても、コストパフォーマンスは上がってゆきません。やはり、保険診療の中で最大限のサービスを「引き出す」ほうが得策なのです。
そのへんの駆け引きもビジネスマンとまったく同じですよね。
読んでいただきありがとうございました。