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健康について第25回 働けなくなったらジ・エンド

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 お世話になります。龍澤と申します。

 今回は実践編を離れ、「そもそも論」のところを。

◆働けなくなったらジ・エンド

 例えば、企業に勤めているエンジニアの皆さんは、長期の入院を余儀なくされたら、その間の毎月の収入はどうなるのでしょうか。

 8割ぐらいは保証されるのか、それとも5割なのか、あるいはゼロなのか、そのあたりは会社によって違うのかもしれませんが、入退院を繰り返すような病気になった場合、中小のSIerなどはもうその人材を抱えていられないのではないかと思います。あるいは、閑職にまわされて、華々しい活躍はもうできないのではないでしょうか。

 そして、私のようなフリーの人間は、一度そうなってしまったらもう「終了~」でしょう。いつでも恐怖感を持っています。 

◆それは突然やってくる

 ある日突然重病人になる確率は、この現代社会においては、実はけっこう高いです。日本人の平均寿命はどうなってゆくのかわかりませんが、私たちの世代は今の時代のお年寄りよりは、長生きできないような予感があります。

 そして、この業界のワークスタイル、および諸々の業界特性により、私たちは一般のサラリーマンよりもさらに、身体を壊したり、重病人になる確率が高いと確信しています。(イヤな確信ですが)

 だからまずは、この業界オリエンテッドなライフ・スタイル/ワークスタイルからまず脱却して、「一般的なサラリーマン程度」の健康をゲットしましょう、まずはそこからです、ということをこの連載で書いてきました。

 ただし! この業界の人たちは幸いなことに「酒」というドラッグに対ししてこだわりが薄い方が多い。これは、相当な救いですね。おそらく、私たちはストレス発散のチャネルをたくさん持っていて、酒はひとつの選択肢にすぎないということなのだろうと思います。みなさん、酒だけは深入りしないようにしましょう! (酒は、適量をたしなめば「百薬の長」であるとともに、当然強い副作用もあるドラッグです)

◆昔も今も、そしてこれからもディスプレイとにらめっこ

 私たち世代は壮大な実験台といっても過言ではありません。私たちは身心の成長期に家庭用ゲーム機が爆発的に普及し、それにどっぷりはまって家にこもって遊ぶことが多くなりました。その最初の世代なのです。

 ちょっと補足すると、確かにどの時代であっても、家にこもらずに外で元気に遊びまわるタイプの子はたくさんいます。でも、この業界に入ってくる人間は子供の頃に家にこもって遊んでいたタイプのほうが、多いのです。(それが「業界特性」です)

 それからずーっと、大人になっても「ディスプレイ」に慣れ親しんできました。まず、私たちの世代が特殊なのは、「大人になってもゲームを手放さなかった」ということです。

 一方では大人ゲームに親しみ、さらに、もう一方ではパーソナルコンピュータの爆発的普及の波に乗り、PCの画面とにらめっこ、ということになりました。私たちの上の世代はテレビだけでしたが。

 で、結局今でも、私たちは基本的に仕事でもプライベートでもPCとにらめっこです。さらにスマートフォンまで登場してきました。それらが、これから身体にどのような影響を及ぼしてゆくのか、まだ誰もわからないのです。ですが、健康という観点で「良くはない」だろうというのは、直感的にはわかっています。今からでも遅くはないと思うので、少しでも「にらめっこ」の時間を減らすべきです。

◆スキルを磨く前に

 エンジニアとしてのスキルアップやら、コミュニケーションスキルうんぬんやら、そんなことよりもまず、健康になること。そして、健康的な生活を送ること。これをまず、第1に考えなければいけないと思っています。

 なぜなら、スキルをいくら磨いても、業界から退場を宣告されたらもうおしまいだからです。

 と、いうことを考えるようになったのは、30代後半からです。徹夜ができなくなったり、年齢が下の同業の人たちの活躍をみて「もうかなわないかも……」という寂しい気持ちになったり、そこに至るまでにはいろいろな葛藤があったように思います。

 いちばん大きかったのは、やはり子供が学校に上がったことでしょうか。とりあえずは子供が大学を卒業するまでは学費を稼がなければ……というのが現実問題として自分に重くのしかかってきました。

 逆にいえば、30代の中盤ぐらいまではもう目一杯、寝る間も惜しんで働いて、寝ずに不健康な遊びをして、やりたいことをやって、人生を謳歌すべきだと思います。

◆定年まで

 ある程度大手の、名の通ったSIerの方々とお話ししていると、おおよそ安定志向で、「定年まで勤め上げる」のを前提に働いていらっしゃる方がほとんどです。

 それが実現できたら、素晴らしいことだと思うんですよね。でも、この業界の仕事(激務)によりだんだんと身心ともに「すり減ってくる」のは間違いないわけで、たとえ企業側が「定年までどうぞ、お勤めください」という気持ちであっても、自身が60歳(あるいは65歳?)までの企業戦士レースに自ら 「不健康」を理由に脱落してしまってはまったく意味がないと思うのです。

 ちょっと考え方を変えてみますが、仮にその「激務」が、この業界で働く企業戦士たちを「ふるい落とす」ための策略だったとして……。

 それでも、安定志向であれば、その会社にしがみついていかなければならないのです。私は、その「しがみつく」努力というのはものすごく尊いものだと思うのです。(私も含め)家族を抱えていらっしゃる方々は、そのときの気分で「仕事や~めた」なんて、ゼッタイにできないわけですから(すでに退路は断たれているといってよい)。

 皆さまがよくご存じのとおり、IT業界は、一線で活躍したければ激務を余儀なくされますし(そして、一線で活躍しなければ経験値が上がってゆかない&出世もできない)、それはイコール不健康を余儀なくされるということです。

 でもそこで、できる限り自分を守ってほしい、と思います。不健康な生活を余儀なくされるからといって不健康なままで過ごしていたら、若くして倒れてしまいます。(言い方が悪いかもしれませんが)企業の言いなりになるばかりでなく、面従腹背の精神で、裏では健康をキープするための努力をしていただきたいのです。

 激務が続いても「オレはぜんぜん平気です 自己管理・健康管理ができる人間ですから」と、すまし顔で企業の上層部にアピールできる人材になりましょう。私は、そういう方が増えることを心から願っています。そして、そういう方々が企業の上層部に上がっていけるのだと思いますし、この業界ひいては日本のIT産業そのものを変革していけるに違いないと思っています。

 今回も読んでいただきありがとうございました。

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