開発言語と、通販対応配送センターERPの開発者の視点を中心としたコラムです。

とある言語開発者と、技術を武器にするベンチャー起業の一例

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 ベンチャー企業を起業することを考えている方は、今の時代、かなりたくさんいらっしゃると思います。

 自分も、IT企業を起業した1人なのですが、そうした中で、当然、ベンチャーは小規模で少人数ですから何か、きらりと光る「武器」が必要だと実感しています。

 武器は、自身が得意なものが良いと思います。

 例えば、営業が強い方は営業力を武器に、今まで働いてきた実績があり、強力な人脈と信用がある方はそれを武器に、モノづくりで他の人が作れないようなものを作れてしまう人は、それを武器にプランを考えるのが良いと思います。

■ITエンジニアの武器

 ITエンジニアは「技術力」という武器を持っていますが、自分は正直、この武器は非常に強力な武器だと思います。しかし、強力ながら、すべての武器にはメリットもあればデメリットもあり、この場合は、「単にそれだけでは分かりにくい」というデメリットがあるとも考えています。

 自分の場合もそうでしたが、ITエンジニアの起業の場合には、このデメリットをいかにカバーして、メリットを発揮できる状況を作れるかどうかが成功するかどうかの大きなポイントになると思います。

■自分のいままでを振り返って

 私が起業したときも、はっきりといって、この「分かりにくさ」というデメリットとの戦いでした。

 起業したての自分には、営業経験もなければ、マーケティングの技術もなく、ただ、「技術力だけには自信がある」という起業でした。

■技術を突き詰めて生まれた開発言語

 最初は、自分は、基幹系システムのフレームワークの設計開発と開発推進が今までのメインの仕事でしたので、フレームワークにこだわり、フレームワークより一歩上をいくソースコード自動生成ツールを作りました。

 しかし、そのツールでは、使う方にいろいろと説明が必要で、販売する障壁が非常に高いと当時は感じ、「開発言語を作ろう」ということを思い、開発言語を作り出しました。

 それが、今ある、Alinous-Coreです。

 もともと、フレームワークに加えて、EclipseやNetBeansのソースコードをいろいろといじって知識があったので、開発環境も用意しようと考え、デバッガーなどもそろえて開発し、かなりの自信作を作り上げることができました。

■武器を分かりやすくECサイトパッケージを開発

 しかし、まだ、「開発ツール」というカテゴリでは、分かりやすさが足らないと当時は判断しました。

 もっと、営業力やマーケティングスキルがある会社であればそうではなかったかもしれませんが、当時は、まったくそのスキルが自分になかったので、「何か、売りやすいものを作らなくては」という考えになりました。

 そして、ECサイトパッケージとしてOpen-Ecommerceを自分で開発した言語のAlinous-Coreで開発し、自社のWebサイトを作成しました。

 そうしたところ、当時、「ec パッケージ」というキーワードで、検索エンジンで1ページ目に入り、そこから、エンドユーザーから開発案件を受注することができました。

 正直なところ、ECサイトの開発ではなく、そのバックオフィスにあたる注文管理の仕事でしたが、今までのような同業者からの下請けではなく、エンドユーザーから仕事を直接受けられた経験は、非常に当時、新鮮でした。

 そして、この経験から「良いものが売れるとは限らない」ではなく、「顧客が欲しがっているものは必ず売れる」という感覚が芽生え、マーケティングについていろいろと考えるようになりました。

■そして、通販物流対応の配送センターERPパッケージベンダへ

 当時もECサイト構築パッケージというものは世の中にたくさんあり、大きな力のある会社がレッドオーシャンで激しく競争していました。

 そういう状況と、実際に売れたのは、パッケージではなく、それを作った自分の技術力だと思い、今度はパッケージ製品を売りたいと考えました。

 そのためには、「顧客が欲しがる」に加えて「他にないもの」を作らなくてはいけないと思うようになりました。

 そして、それまでの経験でECのバックオフィス(注文管理)では、配送センター(物流倉庫)との連携が必須であり、倉庫管理システムも通販に対応して受注管理システムと連携できるものがあればと考えました。そして、知り合いのスミレジョイントロジ社という通販がメイン業務の倉庫の社長にお願いして、通販に効率よく対応している物流倉庫の業務を、現場を見ながら教えていただき、今のOpen-Ecommerce2.0を完成させました。

 そうしたところ、通販に対応している配送センターERPは他にないことから、多くのお問い合わせをいただけるようになりました。

 そうすることで、どんどん、新しい知識も入るようになり、より高度な機能のアイデアも浮かぶようになり、物流との連携部分を次々に強化することができる状態になってきました。

 そして、今後は、このパッケージを軸に今後は拡販のための次のステップに入ろうとしています。今も、スミレジョイントロジ社との良いお付き合いが続いていて、この事業に関する提携も次のステップに入ろうとしています。

▼現在のOpen-Ecommerceのサイト
http://www.open-ec.jp

 

■開発言語Alinous-Coreはどうなったのか?

 Alinous-Coreは、ECサイトのパッケージをリリースしたあたりから、広報やHPの更新はストップしていましたが、今までこの言語を使い続けながら拡張してきたので大幅にパワーアップしました。

 そこで、今年、無料の開発言語とサーバモジュールとして公開しました。今後は、マーケティングの体制もだんだんと良くなってきましたので、Alinous-CoreのバージョンアップとHPのメンテナンスを続けていこうと思っています。

▼Alinous-Coreのサイト
http://jp.alinous.org

■IT技術者の起業で大事なポイント

 手前味噌ではありますが、これが自分の今までの、技術者としての起業の経緯です。

 実際に行ってみて分かったことは、新しく技術者が起業するためには、「顧客が欲しがる」に加えて「他にないもの」を作るということが最も大事だと思いました。

 それができていれば、何かを欲しがっている人は向こうから探してきてくれるということもあり、「分かりやすさ」を自分の力だけでなく、相手の力でも補うことができます。

 そして、技術者の方で、腕に自信があるかたは、ぜひ、他業種の方と交流してみると、面白い情報が手に入ると思います。

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