奥深く悩ましく、そして楽しいソフトウェアテストの世界

経験という武器

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年の瀬も押し迫る11月になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
例に漏れず私もバタバタしており、更新が滞っていました。
しばらくスローペースかも知れませんが、変わらずお付き合いください。

あらためて振り返ると、私はこれまでテストエンジニアとして約14年、これまで様々なプロジェクトを経験してきました。
覚えているだけで15プロジェクトくらいでしょうか。スポット対応なども含めるとさらに多くなります。
組み込み系を主にしているエンジニアとしては数が多いと思いますが、クビになっているわけではなく、テストチームの立ち上げやコンサルとして携わることが多く、軌道に乗ると引継ぎを行い次へ・・・というのが多かったからです。

プロジェクト経験の多さがあっても、ではあらためて、
「自分はテストをわかっているか?」と問いかけた答えとしては、
わかっているとは言えないかも知れない、むしろ、やればやるほどテストは難しい
と痛感している今日この頃です。

経験の多さは武器になるか

よくキャリアが長いことでベテラン扱いされ、重宝され、即戦力だのともてはやされますが、実際に一緒に仕事すると「ん?」となること、あるかと思いますし、私もそう思われたこともあったかもしれません。

  • 長くやっていた割には知らないことが多い
    ⇒テスト設計と書いていても実際はテスト実装で、観点を考えたりはしていない
    ⇒同じポジションでルーチンワークだった
  • 昔やってたけど、あまり覚えていない
    ⇒「その時はバリバリコード書けたんだけどね」とか

つまり、時間=経験=スキルとは安直に結びつけられない、ということですが、
これをしっかり結びつけられている人は、生き残ることができる"強いエンジニア"であると思います。
シンポジウムやカンファレンスで講演している"強いエンジニア"達は、理想論を話しているわけではなく、自分の経験と知識をしっかり結びつけて話しますが、
だからこそ、その講演を聞いて、自分事として捉えて「聞いてよかったな」「気付きを得たな」と感じるんじゃないかと思います。

経験を武器にするために

毎日の仕事をスキル=自分の武器の糧にするか否かは、日々の少しの行動と意識で変わってくると思います。
よく、仕事は無難にこなしつつ、勤務時間外の勉強を主体に置く人がいますが、それは少しもったいないと感じます。
本や研修で得られた知見ももちろん大事ですが、現場での実際のプロセス、実際に書いた設計、レビュー、様々なトラブルから得られるものの方が実践的な知見として血肉になります。
例えばアジャイル開発、Scrumを勉強していても、実際の現場ではウォーターフォールなプロセスだったとします。
ここで「この現場はアジャイル開発ではないから」と自ら壁を作るか、
「この現場でアジャイルができない理由は何か」「現場のウォーターフォールなプロセスを理解し、最適なテストを考えてみよう」とポジティブに捉えるのでは、その後の自分の身に付くスキルに大きな差が生まれそうです。

また、長く業務に携わっていた『だけ』か、
その中で、新しい技術にチャレンジしたり、少しでも生産性や精度を上げるべく改善活動をしたのかでも大きな差が生まれます。
これはそもそも論ですが、請負契約にせよ派遣契約にせよ内製にせよ、ある程度の経験の長さに応じて自分の価値=単価、賃金は上がるわけで、安穏と同じ業務をこなしているという仕事のスタンスがそもそも間違っている、と言ってよいかと思います。

最後に

残念ながら、自分のキャリアというのは自分主導で決まるとは限りません。
自分が学んだ技術が、実践で使うことなくキャリアを終えることもあるでしょう。
自分のキャリアを形成するものは、過去~現在のプロジェクトの経験がベースになるわけで、であればこそ一日一日の過ごし方が重要になると捉えると、明日からの業務も少し見方が変わってくるんじゃないかと思います。

今回はこの辺で。ではまた次回お会いしましょう。

Comment(1)

コメント

匿名

初見なのと一時期やっていたけど忘れたはぜんぜん異なりますよ。
肝になるイメージ、思考は残ってきて、細かな書式がわからないとか、名称を忘れた程度のもので、経験者は血肉となっているので、忘れていても良いんです。すぐに思い出しますから。

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