顧客に寄り添う~UX駆動への取り組み
9か月ぶりの記事更新・・・お久しぶりです!
エンジニアライフ御覧の皆様、お久しぶりです、HOLLYです。
9か月間、記事の更新ができていませんでした。
今年の4月から仕事の環境が大きく変わり、またプライベートではパパ活(育児の方ですね)もあり、これまでの活動をいくつかセーブしていたという経緯がありました。
徐々に新環境にもパパ活(育児の方ですよ)にも慣れてきたので、またこちらのコラムも更新していきます。
なお、今回のコラムはアドベントカレンダーとしての投稿でもあります。
「ソフトウェアテストの小ネタ Advent Calendar 2022」も併せてお楽しみいただければと思います。
What's "UX駆動" ?
表題の"UX駆動"ですが、これは私が今QAとして関わる一つのプロジェクトで取り組んでいるアプローチの話になります。
とあるWebサイトの開発の計画に際し、ひとつの品質として"ユーザの使い勝手"を考えるのは当然ですが、
これを品質の軸にして「顧客の価値を最適化・最大化し続ける」アプローチを考えてみないか、と私から提案して始まりました。
"UX駆動"の名称は何かを参考にしたわけではありません(もし公式?にアプローチがあったらすみません)。
『○○駆動開発』と名乗るアプローチは多く、ユーザビリティに寄せたものとしてもユーザ機能駆動開発(FDD)やビヘイビア駆動開発(BDD)が挙げられますが、どれも情報を齧る限り、自分のやりたいアプローチとは少し異なっていました。
具体的なアプローチは後述で書きますが、UX駆動の方向性は以下で考えました。
- ユーザの価値はユーザから引き出す
- ユーザから引き出したユーザの価値を最適化・最大化するための改良を軸に開発・テストする
- ユーザビリティは平面的なデザインや操作性だけでなく、感情・印象も考慮する
- ユーザと共に作り上げることをユーザに宣言する・理解頂く
- ユーザの価値が最終的にどのようなビジネス価値を生むかまで繋げて評価する
(こちらはインパクト・マッピングを活用して整理した)
そして、開発・テストプロセスは以下(添付画像)になります。
-
ファーストリリースまで
・UX駆動に先立って、UX観点のレビューをするための"最低限の品質"を担保する
・ファースト・リリースまでは実際のユーザが操作しないため仮想UXとして、QAや開発チームによるエキスパートレビューを行う -
2ndリリース以降
・UXリサーチとして、実際のユーザへのヒアリングやアンケート、問い合わせ内容、操作ログから情報を集約・分析し、次リリースの仕様を策定する
・リリース後のUXの変化を捉えながら、改善を継続していく
ユーザストーリーとユーザビリティ
アジャイル・Scrumのアプローチで、ユーザストーリーからバックログを策定するというのは聞きますが、
これはユーザビリティの向上~UXと必ずしもイコールではない、と思っていました。
あくまでリリースの速度を上げるため、ユーザの利用パターンから優先度を決めているだけです。
"ユーザ"と名を付けているのでユーザビリティを考慮してそうなのが、好ましくないなぁと思っていました。
さらに、それ以降ユーザビリティのアプローチはなかったりします。
不具合があった時にそれを早く直せば、ユーザビリティは向上しUXが良くなっていく、というのはユーザに後ろ向きに思えます。
ユーザに寄り添うならば、ユーザを巻き込むプロセスをイテレーションの先頭に持ってくる必要があると考えました。
それがUXリサーチをイテレーションの先頭に置いている理由です。
エキスパートレビューからUXリサーチへ
ファーストリリースまでに、ユーザビリティ/UXを向上するエキスパートレビューを行うわけですが、このレビュー内容についてもどんな視点・観点を用いるべきかは悩ましいところでした。
品質特性-使用性やユニバーサルデザイン7原則などが一般的かと思いますが、レビューのチェックリストを作成するポイントとしては以下に気を付けました。
- 平面的な見方にならないようにする(デザインの文句にしかならない)
- 価値は一意ではない(年代、リテラシを考慮する)、といった点です。
このエキスパートレビューにより、仮想ユーザにとっての良いユーザ品質(仮想UX)として、無事ファーストリリースを迎えることになります。
リリース後は、ユーザをサンプリングしこのチェックリストを用いたエキスパートレビューを実施したり、アンケートによる意見の収集、ログの解析といった様々な視点から次のイテレーションのバックログを策定していくわけですが、まだ実践ではこれからの段階なので、こちらは続報を楽しみにしておいてください。
UX駆動には課題も多い
後半駆け足になりましたが、現在取り組み中のプロセスですのでまだまだ試行錯誤するでしょう。
UXという定義自体の理解もまだまだで、以下のように課題も多いです。
- 常に進化し続けるとは限らない。良かれと思って退化することもある。A→B→C→Aというケース。
- UXリサーチに掛けるボリューム、コスト
- ユーザの価値の妥協点の策定が困難
- "慣れ"が生まれない
などなど
課題はこうしてあるものの、ユーザのためにどうあるべきかを考え続けることが大事である、などと良さげなまとめ方で今回のコラムを終えたいと思います。
また来年、2023年もよろしくお願いいたします。