奥深く悩ましく、そして楽しいソフトウェアテストの世界

テストエンジニアとQAエンジニア

»

SNSやサイトでの情報を見る限り、QAエンジニア(QA:Quality Assurance、品質保証)は非常に不足していて求人も多いようです。
ソフトウェアテストを生業とする者としては、この市場価値の上昇は何を意味するのか、自分のキャリアも含めて考えるきっかけにはなっています。

そもそもテスト要員が充足したことなどない

私はソフトウェアテストでの業界は約15年になりますが、この業界で人が溢れて困ったなどは一度も聞いたことはなく、常に人手不足のイメージがあります。
ですので、QAエンジニアが不足というのも今に始まったことではありません。
そんな常に不足している職種なのに、それでも求人の声が次々と聞こえてくるというのは、市場がよほど必要としている切羽詰まっている状態ということなのでしょう。
DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に伴い開発の内製化が進んだことが一因かもしれません。
また、市場が求めているQAエンジニアと現状のQAエンジニア(もしくはQAのできるテストエンジニア)にも大きなスキル差があり、それが埋まらず少ないパイを取り合っている状況もありそうです。

テストエンジニアとQAエンジニア

同じソフトウェアテストを扱う"テストエンジニア"と"QAエンジニア"ですが、テストに対する捉え方は異なります。
(※このあたり、少し前までは曖昧な定義でしたが、最近では用語として定義が固まったのではないかと思っています)

まず、テストエンジニアはその名の通り、テストのスペシャリストとして、どうテストを組み立てるか、どうテストを実現するか、効果的/効率的であるか、テスト技術を活動の軸に置いているエンジニアであると捉えてよいかと思います。SETエンジニア(テスト自動化エンジニア)などはまさにこちら側と捉えてよいかと思います。

一方、QAエンジニアはソフトウェアの品質保証を軸に、テストによってどのような品質が担保できるかといった活動になっていきます。

ここでややこしくなるのは、ではテストエンジニアはQAを一切無視するか?と言えばそうではなくQA的な立ち位置のテストエンジニアも多いこと、またQAエンジニアもQAテスターなどと呼び、テストの実務に寄った立ち位置もあったりして、境界線がぼやけているわけです。

また、意識する工程にも違いがありそうです。
テストエンジニアは開発設計~実装といったテストと隣接する上流工程を意識する一方、QAエンジニアはそれよりさらに上流の要求や、ユーザ視点、リリース後の運用・保守工程も考える、といった具合です。

私はこれまで、開発チームとしてのテストチームと品質保証側のテストチームと両方経験していますが、実際テストに対する考え方が随分違っていました。
特に品質保証側のテストでは、ソフトウェア品質やユーザクレームへの意識が高い一方、テストの項目数とかテストアプローチ、技法などはほとんど何も言われず戸惑った記憶があります。

その先にあるもの~明るいキャリアに繋げるために

現在はQAチーム立ち上げの需要からQAエンジニアの求人が増えていますが、その先はどうでしょうか。
良い品質を担保するための良いテストとして、ハイレベルなテストエンジニアが求められるといった未来もありそうです。
ですので、QAエンジニアかテストエンジニアか、どちらよりのエンジニアで進むか、振り子のように迷う必要はないと私は思います。
それよりも自分が得意とする(アピールできる、エンジニアとしてやっていて楽しいと感じる)技術を見つけておくことが、明るいキャリアに繋がるような気がしています。

今回のコラムはここまで、次回またお会いしましょう。
何とか月2回程度のスローペースで申し訳ありませんが、気長にお付き合いください。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する