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テストエンジニアがいなくなる日

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DXと黒船来航

経済産業省が2018年に公表した「DXレポート」から2年。
2020年末に中間とりまとめ資料とした「DXレポート2」によると、
DX推進状況としては、95%はまったく取り組んでいない/取り組み始めた状況とのことで、企業の危機意識は全く高いとは言えない状況のようです。

ただ、コロナ禍の影響でテレワーク化の加速や、オンライン会議がデフォルトになるなど、これまでの働き方の固定観念が覆されたのを目の当たりにしたわけで、
幕末の黒船のように、得体の知れない脅威が来たことで倒幕~明治維新に傾いていったように、変革というのは何かのきっかけで一気に進むものなのかも知れません。
とはいえエンジニアというのは、脅威が来てから対処する、では時間的に間に合わすのが難しい職業です。
今の生活水準を維持するには、自分のエンジニアとしての価値が変わらないように、
時代の流れを読んで、対応するスキルを常に獲得し続ける必要があります。

「今のプロジェクトでうまくいっている、顧客の満足度も高いし問題ないだろう」

大手メーカーで同じ製品を同じようなテストを繰り返し、向上心の薄れたテストエンジニアを幾人も見てきました。
確かに5年前は全く安定していて、この状況は変わらないと私も思ったものです。

しかし、今はそのテストチームはありません。
彼らは今何をしているのでしょうか。

アジャイルに変えることの難しさ

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進によってビジネスの在り方が変わり、開発モデルもそれに追従する必要が出てきました。
従来のIT開発の手法ではスピード感(市場の変化への対応力)で物足りなくなり、アジャイルによる開発がデフォルトになっていきます。
これについては、主に組込み開発の現場にいる私が見たところでは、開発現場のアジャイルへの移行は、DXレポートの前から始まっていました。
完全なWF(がそもそもできていたのかという疑問もありつつ)から、「ハイブリッド・アジャイル」などと呼んでみたり、アジャイルへの階段は登り始めていた印象です。

ただ問題は開発チームとビジネス側(商品企画など)が一体となっていないケースがほとんどで、
何のためのアジャイルなのかと思いつつ、
大手であればあるほど簡単には変えられない壁もあるのだと感じていました。

テストエンジニアがいなくなる日

国際競争力を増すため、開発モデルを完全にアジャイルに移行した時、
テストエンジニアと呼ばれる独立した第三者視点で評価・検証する人達は本当に必要なのでしょうか。
(これについてはJaSST'21 Tokyoのパネルセッション「アジャイル開発にQAはホントに要らないのか?」で興味深い議論がありました)
さらにAIによる自動コーディング、自動デバッグ、自動テストが進んだ世界で、テストエンジニアは何をすればいいのでしょうか。

江戸時代の武士が、命と同じとした刀が必要なくなったように、
テストという"手作業"がなくなった時、
テストエンジニアという呼び名は消えるかも知れません。

その時、テストエンジニアだった自分は何を手に、何を名乗っているのか、
そう遠くない未来として今から備えておいても無駄ではないと思います。

Comment(4)

コメント

侘助

組み込みの方はあまり詳しくありませんが、物理デバイスの影響が大きいところは実機検証が残ると思います。
職場の隣の席でも、Windows、Mac、スマホ、タブレットの新旧機種をずらっと並べてテストしています。

半面、仮想環境やエミュレータで確認できるようなものは、ビルド~テスト~リリースがどんどん自動化されていっています。

今後そこの仕組みづくりをする側に回っていけるかどうか・・

なんなんし

大手のメーカーでQAやってましたけど
マーケ領域踏み込んで要求検証やればいいんです

すでに「テストエンジニア」
ではないんですけど
技術領域と見るか職種と見るかで
視点かわりますよ

テストエンジニアという職種が定義されたことで
職務範囲を狭められたのが
最近の人の不幸だと思います

昔はテスト環境構築とか
テスト屋さんは何でも屋でしたのでw


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