たかが椅子の話
先週、アイティメディアさんのイベントに出席させていただきました。
本来の目的は、コラムニストが読者さんからのリクエストに応えて2時間でコラムを書き上げる、とかいうむちゃぶり企画に顔を出すことだったんですけど、誰にも声をかけられなかったので、同じ場所で開催されていた「年の暮れにエンジニア採用を考える会」というイベントの方をのぞいてみました。
『47歳のハローワーク』とか『47歳のハローワーク→それからどうした』とかで書いたんですけど、現在、流浪の身なので、これからの職探しの参考になりそうな話がきけないかな~、と思いまして。
実はそのイベント、採用担当者さん限定だったんですが、「コラムニストさんなら入ってもいいですよ」と言っていただけたので、すみっこでお話を聞かせていただきました。席が足りなくなりそうな気配だったので、10分くらいで引き上げたんですけど、短い中でもおもしろい話を聞かせていただけました。
特におもしろかった、というか気を引かれたのは、「ITエンジニアが就職先に求めるもの」的なアンケートの中に「値段の高い椅子」という答えがあって、「そんなんでいいのか!」というツッコミが入ったとこでした。
プログラマにとって、椅子は大事です。座りっぱなしの仕事だから、あんまり質のよくない椅子に座ってると、おしりやら腰やらいろんなところが痛くなってきますもんね。
という理由が、普通に思い付くわけですが、なんとなく、それだけですむ話ではないような気がしたんです。
わたしは、飾り気も窓もない殺風景な部屋に、折りたたみ式の机がずらーっと並べられて、折りたたみ式のパイプ椅子がやっぱりずらーっと並べられている、というところで何カ月も仕事をした経験が何度かあります。
これって、なんというか…… せつないんですよ。
2~3日だけおじゃまする客先テストのような場合なら、そんな環境でも気にならないんですけど、何カ月もそこに常駐することが決定しているような場合でそれだと、なんだか「仕方ないから場所つくってやったぞ」って感じがして、正直、いい気はしません。歓迎されるとこまでは期待してませんけど、なんかこう、邪魔者扱いされているような気分になるんですよ。
数カ月しかいない人たちのためにそんなにコストをかけられるか、と考えるのはもっともですし、実際、わたしも逆の立場なら、「適当に場所をつくっとけ」とか言っちゃうかもしれません。
そういったことは重々、承知していても…… やっぱり切ないわけです。
そういった、もやもやとした気持ちを抱えたことのある身としては、座り心地がよくて、座ったまま背伸びをしても後ろに倒れる心配がない椅子が用意されていると、それだけでなんとなくテンションがあがるんですよ。
この職場は、プログラマを気持ちよく仕事させたいと思っている、プログラマを大事に扱う気持ちがある、そういったメッセージを受け取ったような気分になるんです。
たかが椅子のことで、そんなぐだぐだ言ってるなんて、めんどくさいヤツだな、と言われればそれまでですけど(苦笑)。
結局のところ、就職活動の際に欲しいものは、「あなたにここに居続けてほしいと思っている」、「あなたにここでいい仕事をしてほしいと思っている」というメッセージで、それをわりと分かりやすく(?)示したのが、「値段の高い椅子が用意されている」という意見だったんじゃないかなあ、とわたしは思ったわけです。
まあ、単なる腰痛持ちの可能性も高そうですけど(笑)。
「どうしたら、いいプログラマを採用できるか」と悩んでいる採用担当の方は多いと思いますが、「どうしたら、ここはプログラマを大事にしている会社だ、と感じてもらえるか」を先に考えた方がいいんじゃないかな、とわたしは思うんですよ。だって、プログラマは大事にされてない、と感じる環境で仕事をしているプログラマは多いですもの(←泣ける)。
最後に、イベントでピザとドリンクを大盤振る舞いしてくださったCodeIQの中の人に、その見返りを要求されていたので、ここで支払っておきます。
「CodeIQっていいらしいよ! 使ったことないけどね!」(ピザとアップルジュース、ごちそうさまでした!)
コメント
いすか
> 椅子大事
個人的にはサイドチェストもリクエストしたいですが。
さておき、「机」と「イス」、要するに「エンジニアの自席」が確保されていない現場は、炎上前提だと個人的には思っています。
新しい現場にお邪魔することになったら、まず自席を確認して、それによっては覚悟を決めます(苦笑
なんでそうなるかと言えば、
「まともに席を確保するスペースがない」
なぜか?→「詰めたスペースには人がいる」
なぜか?→「人を入れるにはスペースを詰めるしかなかった」
なぜか?→「スペースを考慮した人的リソースの投入なんかできない」
なぜか?→「とにかく人を入れないとプロジェクトが終わらない」
……すなわち、そのプロジェクトは炎上寸前か、既に炎上している…。
という感じに考えてます。「風が吹けば桶屋が儲かる」方式ですけれど…。
もっとも、自席が確保されているからと言って炎上しないという保障ではありません、あしからず(苦笑
ひでみ
こんばんわです。ひでみです。
いすかさん。
エンジニアをとにかく詰め込んどけ! って現場ありますよね……。
最初、6人で使ってた場所に、気づけば10人くらいいるとか……。
無計画に人だけ増やしてる感が満載で、そういうところはもれなく炎上案件でした。
逆に、10畳くらいはありそうなスペースに自分ひとりきり、なんてこともあったりして、狭すぎるにしろ広すぎるにしろ、その「とりあえず置いとけ」って気配に、「プログラマはマシンの付属物かい」ってグレてみたりしたのも、せつない思い出です。