満34歳。社会人歴17年目に突入。特定労働者派遣で働くこと10年目になる高卒エンジニアが綴る日々の所感です。

前工程の粗ほどよく見える

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 お疲れ様です。ちょりぽんです。

 6回目の投稿は『前工程の粗』です。エンジニアが前工程の不備に直面した場合と、前工程で不備を出さないための方法について考えます。

■お前が優秀なわけじゃない!

 これは私が19歳のとき先輩から言われた一言です。

 コラムニストとしてのデビュー作に自己紹介を書きましたが、わたしは印刷会社(誰もが知ってる大企業です)に7年間勤めており、社内の作業工程の最終段階にあたる品質保証課という部署にて、誤字・脱字の検査と修正に2年間従事しました。冊子のもとになる印画紙は、この部署での検査を最後に社外へ向けて発送されるという非常に責任ある部署です。

 文字は社内の別部隊により入力されますが、わたしがいる部署に流れてくる時点で幾つかの誤字・脱字(※)を伴っています。わたしは徐々に、誤字を発見するたびに前工程への不満を持つようになりました。

(※)「初稿」→「再稿」→「三稿」→「四稿」……という段階を踏んでブラッシュアップしていくのが一般的。

 そこそこ仕事ができるつもりになっていたわたしは、調子に乗って前工程への不満を口にするようになります。そしてある日、限度を越えた私の愚痴に、先輩から雷が落ちたのです。

 『お前が優秀なわけじゃない! 黙って手動かせ!』

 一喝されました。直後、消沈したわたしに対しベテランの女性から一言。

 『前工程の粗ほどよく見える、ってね。』(←大塚寧々さんのイメージで)

 この体験から学んだことは『前工程の粗ほど目につくもので、それを見つけることが優秀性の証明ではない』ということです。後から見る者が見つけられるのは当たり前ですから。

 初稿の段階はたとえるならプロトタイプで、細かな誤字脱字よりも版面のレイアウトが優先であり、初稿から誤字脱字を意識し過ぎれば入力部隊の効率が低下して業務の遂行に支障をきたすでしょう。

 つまり、こういう視点を持たない調子に乗った未熟者が吠えていただけなのです。

 この時期に調子に乗っていたわたしに対し、『お前、言うほどやってないぜ』という”現実”を知らしめてくれたのも前述の先輩であり、人間、基本は謙虚であるべきだという姿勢と『自己評価なんてあてにならない』、『調子に乗ってると痛い目に合う』ということを教わりました。

 印刷会社での話は以上です。次からはシステム開発について記します。

■”粗”への対処法が真価を問う

 システム開発において、各工程の担当者が責任を持って成果物を残すことは当たり前です。特に上流でのミスは後々火を噴く元凶となりうるので責任は重大ですね。

 これは本来あってはならないことですが、検収を済ませた設計書でも実装時に不備が発覚することがあります。皆さんも経験していることでしょう。ここで『こんなんじゃ実装は無理』といってつっぱねるか、代替案を提示して作業を進めるかで、エンジニアとしての価値が決まります。

 前回の記事では、何者であろうと全工程を経験することを薦めています。プログラマも要件定義から設計まで経験していれば、前工程での粗に直面した場合も代替案を提案できます。逆に言うと、上流を経験していなければユーザーゴールに直結する高い精度の代替案(方針や今後の段取りを含む)が思いつかないのです。誰かが方針を明示してくれない限り作業ができないわけですから、役を成さない賃金泥棒になってしまいます(昔、「仕様が確定したら呼んでください」といって連休をとったプログラマが居ました……)。

 さらに、リーダーから言われなくても危機感や今後のスケジュール感を共有することが容易になります。ここでも、チームが有機的に機能するためには複数工程の経験が必要であることが判るでしょう。

 一方で設計者は、実装フェイズの前にプロジェクトを撤退してしまうと、後に発覚する不備を知らないままとなり、その後も多くのプロジェクトで同じような火種を撒くことになりかねません。設計者も実装をやるべきとするのはこのことで、設計時の不備を自身にフィードバックすることが大切なのです。

 設計者と実装者が別れているから余計なコンバートが生じ、これが齟齬を生む元凶となって見えないリスクを埋没させます。これは全工程を同じ人間ができるのなら、そもそも生じる事のないリスクです。新規参画者のアイドリングも見積る必要がなくなりますし、それまでの顛末や背景、培ったノウハウやチームワークなどをフェイズ間で引き継ぐことができますから、誰にとっても良いこと尽くめです。

 チームの監督者も例外ではなく、むしろ監督者こそ”深く広く”経験して然るべきです。これは『何をどう、どれくらいの精度で管理できるのか』という疑問に帰結します。知らないことを管理できるとは到底思えないのです。

 チームの一員としてとれる漸進的な行動を『自分の仕事じゃないし』と敬遠する人は、残念ながらそこまでの人です。業務に興味がなく、エンドユーザーと視界を共有できないエンジニアが生き残る道は、狭く険しいものです。現に案件そのものが減っている昨今では、専門プログラマのポジションは飽和状態で、酷い価格競争に陥っています。所属会社への売り上げも減少し、社員の給料も上がらないという悪循環があります。

 この不況でエンジニアに求められるニーズが浮き彫りになっていますから、現在不遇に嘆いている方々は業界の構造を批判するよりもまず、自分自身を造り変えることに尽力すべきでしょう(批判も意味があると思いますが、何年後に改善されるかわかりませんから)。

■まとめ

 前工程の粗(不備)は有るという前提で考えておく方が現実的です。そしてエンジニアは粗への対処法で真価が問われます。実装者も設計者も監督者も、全工程を経験することで適切な行動を選択できるでしょう。

 またわたしはこのような理屈を抜きにして、そもそも自分ができもしないことを誰かに指示したり、自分ができもしないことを批判することに抵抗があります。もちろん専門PG時代は設計への不満ばかりでしたが、自分がもっと上手くやってやろうという思いの方が強くあったものですから、結果的にPGからPLまで経験することになりました。

 大は小を兼ねると言いますから、経験は広げた方が面白いのです。それまで見えなかった物が見えてきます。そして、仕事が面白くてやってる人はさらに加速します。

Comment(15)

コメント

何らか前工程の資料があれば、残っていれば、なんて案件も現実に存在するし、受発注の力関係で丸投げして何にもしない発注者もいるし。
資料が、何か残っていれば、存在していれば、まだマシな方だと思う私がいます。
酷い経験をしすぎなのかもしれませんが。

ぐて~さん、こんばんは。
すっかりサボっていたコラムに、不意にコメントを頂いて少し驚きました(笑)反応が遅れてしまい、申し訳ありません。

どちらかと言いますと、私は上流から一貫して関わることが多かったので、ドキュメントの類が残されていなくても困らなかったクチです。

ですが、何のドキュメントも残っていない案件は幾つか経験しています。ほとんどの場合、ドキュメントを書くべき人は既に居ないという状況ですね。

そうなると、今動いているアプリケーションのソースコードから、ボトムアップで仕様を探るという作業になるのですけど、今思うとこれは正解だと思うんですよね。

誤解を恐れずに言いますと、ドキュメントを作成する時間があるなら、コーディングして良いと思っているんですよね。文章化の祖語などを懸念する前に、現実にプログラムが仕様を語っていると思うのです。


確かに、ドキュメントが残っていないことが原因で、無駄な解析工数が生じるのは出来れば回避したいですね。経験上、ドキュメントを残す暇も無かった様なプロジェクトは、後から引き継ぐ者から見てもろくなもんじゃないです。

大抵が、1から作り変えになってました(笑)

ロジック

先輩のアドバイスがまるで生きていないな
自分の憶測や妄想と現実の区別がついていない

自分が間違っているのではという自分を省みる能力に欠けている

俺は君と違って、自分の会社に愛着がある
自分の会社を馬鹿にされてだまってはいられない

派遣なんて仕事をしている君にはわからない気持ちだろうがな

余裕の問題ではなく、犯罪者を許せないのと同じ気持ちだ

君や生島に怒りを感じる多くの人は、君や生島の主張に対してではなく、君や生島の決めつけに腹を立てている

それがわからない時点で、終わっているな
正社員として働いていく適性はない

ロジック

後、システムアーキテクトはともかくゴールドごときを自慢気に書くような若造と仲間扱いされるのは不快だな

エンジニアなら自分の発言には確たる根拠を出すべきではないか?

派遣にそんなエンジニアスピリットを求めるのはレベルが高すぎか?

>ロジック

熱くなってるようですが冷静になってください。コメントも私が発言すらしてないことに対して怒ってるようですし、全体的に意味が解りません。

その文体や態度で相手が『あ、なるほどね』と展開すると思っているのでしょうか。残念ながら貴方の文章を丁寧語に翻訳しても、もう少し議論が必要だと思いますが、怒り狂った人に対してそんな気は起きません。

まずは会話する最低限の礼儀を備え、同じ土俵に上って下さい。少なくとも私には『この人の意見は聞くべきだ』と思える人間には到底見えません。

あと、生島さんのところで貴方が述べた『生島さんの評価はどうでもいい』と同じ理由で、私も貴方の価値観で”終わってる”と言われても意に介しませんので、あしからず。

老婆心で言いますが、貴方の一連の言動や振る舞いが、有資格者や貴方の会社、同僚の品位を下げていると思います。

貴方が今ネットで行っていることを、胸を張って人に言えますか。私に自戒を促す前に、その高圧的な態度を改めて頂きたいと思います。

ロジック

さすが派遣、自分の言ったことややったことに責任がとれないようだな

お前がツイッターで発言してた内容についてコメントしてるんだよ

否定するなら一応Web魚拓取ってるから内容しっかり載せてやろうか?

薬物やってんじゃないかってコメントも含めてしっかり魚拓とってるぞ?

まず自分の発言に対する責任や、他人の発言の意図を書いてあるとおりに読むことが出来るようになってから偉そうな口は聞くことだ

誰がいつ資格を評価しろと言った?

誰がいつ俺が資格を持っているといった?持っていないともいってないが持っているともいってないな

その俺が資格を持ってるやつの評価を下げる?
なぜ俺と資格所持者を結びつける?

俺は俺の会社を派遣会社扱いされたのが許せないだけで他の資格所持者がどう思われようがどうでもいい

態度は相変わらずですね。残念です。

先のコメントで私が”言ってない”としたのは、ゴールド云々のことです。ゴールドのゴの字も言ってませんけど。薬物発言に関しては撤回します。ですが、魚拓は公開してもいいですよ。むしろ貴方の手で公開して頂きたい。ここや全ての発言、URLに至るまで全てお願いします。

あと、貴方の会社を侮辱した憶えはありません。派遣派遣と卑下するのはもうやめてください。

> 俺は俺の会社を派遣会社扱いされたのが許せないだけで他の資格所持者がどう思われようがどうでもいい

そうですか。私も、貴方の怒りはどうでもいいのです。この無意味な問答、貴方はどんな決着を望んでいるのでしょうか。コメントを閉じることもできるんですが。その前に一応聞かせてください。

言い忘れました。

魚拓に関してはこちらでも撮りましたが、公開する際は当事者以外を伏せるよう加工してくださいね。

ロジック

ゴールドについて言及してるのは俺で、お前がやったのはツイッターで生島ともめたゴールドごときを自慢げに載せる若造と俺を仲間扱いしていることだ
よく読め

前にも誰かに書かれていた言葉を再度お前に送ろう

自分の非難が自分自身に当てはまらないかを考慮できない人間だな

もっと自分自身に余裕を持って凛と生きろ
他人を批判する前にそれがお前のやるべきことだ

ロジック

後卑下というのは自分を卑しめへりくだる言葉だぞ?
派遣じゃない俺が派遣を卑下するとは言わん
この場合見下すが正しい

日本語の用法を守って正しくお使いください嘲笑
まあ、無理だろうがな

ロジック

「同じ大阪~…」のくだりのツイートの話だよ。
あの若造と仲間扱いしてるだろうが。

あの若造はツイートをみる限り派遣業やってる弱小会社だろ
そんな会社の社員の仲間と言われることが侮辱だ

人を犬の糞扱いする前に自分がダニでしかないことに気付いたらどうだ

> 俺は俺の会社を派遣会社扱いされたのが許せないだけで他の資格所持者がどう思われようがどうでもいい

どっちなんでしょう。ブレてますよ。

> そうですか。私も、貴方の怒りはどうでもいいのです。この無意味な問答、貴方はどんな決着を望んでいるのでしょうか。コメントを閉じることもできるんですが。その前に一応聞かせてください。

この質問にも答えてください。
「よく読め」を連呼してますけど、どうでもいいことなのでスルーします。貴方が、貴方の手と時間を使って引用するのが筋というものでしょう。

ロジック

だから最初から読めよ

ゴールドごときを書く奴と仲間扱いするなと書いてあるだろ

お前が引用した部分は、お前が、

資格所持者の価値を下げますよ

と書いてきたから
生島に対して批判しているのは資格の価値や資格所持者のためではないと書いているだけだ

勝手に資格に対する話が怒りの原因と思い込むその考え方、なんとかしたほうがいいぞと教えてやっているんだよ

最初からですが、馬鹿馬鹿しくなってきました。
読め読めと言う割りに読んでないようなので再度言います。


> そうですか。私も、貴方の怒りはどうでもいいのです。この無意味な問答、貴方はどんな決着を望んでいるのでしょうか。コメントを閉じることもできるんですが。その前に一応聞かせてください。

@IT自分戦略研究所 編集部

お世話になっております。@IT自分戦略研究所 編集部の岑です。
明らかにコラム内容と無関係な投稿が続いているため、一旦コメント欄を閉めさせていただきます。

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