株式会社D・F・Sに在籍するキャリアコンサルタント。CDA(Career Development Advisor)の資格を取得し、希望を叶えるキャリア構築の支援をモットーとしている。

【割り込み企画】 書類でNGにならない職務経歴書とは!?

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 連載中の企画をいったんお休みさせていただきまして、今回は『「書類でNGにならない職務経歴書とは!?』というテーマでコラムを書きたいと思います。

 といいますのは、現在キャリアコンサルタントとして日々接している方々の多くは、『将来のキャリア構築とは?』といった問題よりも『早く仕事を見つけたい!!』という方が圧倒的に多いからです。

 内定を勝ち取るために、いま一番高いハードルとなっているのは『書類選考』です。そのため、どうやったら書類選考に通過するのか!?という視点で書きたいと思います。

 キーワードは 『即戦力性』 です。

A.まずは書類選考の現場で何が起こっているのかを理解しよう!

 ~就職希望者の圧倒的な増加が生み出した悪循環~

 2008年上期以前、世の中にあふれていた求人に対して、転職希望者の数は少ないという状況でした。採用担当者は数少ない応募者をいかに抱え込んでいくのかが焦点であり、目を皿のようにして応募者の応募書類を見ていました。

 2008年下期以降は、まったく逆の現象が起きています。会社都合による転職者が市場にあふれ、企業側は採用を限界まで絞っているため、1つの求人に対して応募者が殺到する状況となっています。応募者側は、なかなか書類選考が通過しないため、自分の希望やスキルなどに目をつむり、少しでも可能性のありそうな求人に対して、なかば「駄目もと」での応募を始めました。その負の悪循環が今の転職市場では起きてしまっているのです。

 そんな状況下での書類選考は『2秒、10秒、2分』というステップで行われています。つまり……。

 (1)のステップ……書類を一目見て、可能性がありそうか否かを判断する

 『文章を読むというよりは、画像として捉えている』 

 (2)のステップ……文章を読むのではなく、応募要件に合致しているかを見る

 『単語による、キーワードマッチング』

 (3)のステップ……初めて文章を読む。ただし隅々まで読むわけではない

 『重要だと思われる記載のみ、詳細を確認する』

 上記3つのステップをすべてクリアできて初めて、現場の責任者に書類がまわります。いかにこの壁をクリアするのかが、書類選考通過のポイントなのです。

B.誰が書類選考をしているのか、理解しよう!

 ~現場に回されるはずの書類が、人事NGになっている~

 それでは、上記3つのステップを誰がやっているのでしょうか。多くの企業では、第1スクリーニングを行っているのは人事担当者です。

 たとえ人事担当者がエンジニア出身であったとしても、専門分野以外の技術に関しては、概要しか分からないわけです。そのため、本来であれば最終的な技術力やスキル、業務経験の細かな部分は現場のマネージャクラスが行います。人事担当者はある一定の条件でスクリーニングして、有効であろうと判断した書類を現場に回します。

 しかし現場のマネージャの本分は採用活動ではありませんので、書類選考に割ける時間は限られています。より厳しいスクリーニングが人事には求められます。目を通さなければならない応募書類の数が圧倒的に増えている状況下では、「該当者を漏らさない注意深さ」よりも「漏れてもかまわないので、短時間で書類をさばくスピード」が求められます。

 その結果が『2秒、10秒、2分』なのです。「素人が見ても読みやすく、何がいいたいのかわかる応募書類」でなければNGとされてしまいます。

 NGとなってしまった応募者が、企業の採用担当者に対して「詳しく見れば、わたしがその求人に該当していることがわかるはずだ」と叫んでみても後の祭りです。その方以外にも、該当している応募者が多数いるわけですから、1人くらい漏れてしまったも、企業側にすればまったく問題ないのです。

C.企業がどんな人を取りたいと思っているのかを理解しよう!

 ~相手が求める内容でなければ、自分の気持ちは伝わらない~

 「技術に詳しい人がみれば、わたしが書類でNGになるはずがない」。大不況下の転職活動において、この主張はまったく意味がありません。素人が見ても、プロが見ても、どちらが見てもわかる内容で、かつ効果的に自己アピールしなければ、応募書類の役割を果たせないのです。

 書類は元来、誰に読まれるかを想定して作成するモノで、自己満足のためにあるわけではないのです。ではどうすれば良いのでしょうか。そのポイントをいくつかまとめてみました。

 (1)職務経歴書の一番上部に、得意分野として箇条書きに自分のスキル・経験などを記載すること。その内容はあくまでも応募する案件にとって必要とされている要件、『即戦力として働けるか否か』を意識して作成すること

 (2)「この技術とあの技術は互換性があるから、説明しなくても大丈夫だろう」とか、「この技術を知っていれば、あの技術を身につけるのに造作もないので、即戦力として判断してくれるだろう」などの、「技術分野の常識」が通用しない可能性を視野に入れて内容を作成すること

 (3)応募要件に「必須」となっている技術やスキル、経験などは、なるべくその語句を使用して、その要件に合致していると伝えること。例えば「LAMP環境での開発経験必須」とあれば、たとえ自分が今まで経験した技術要件をまとめた欄に「Linux、Apache HTTP Server、MySQL、Perl、PHP」などの記載があったとしても、得意分野欄に「LAMP環境での開発経験は約3年」などと記載すること

 1つ間違えて欲しくないのは『大風呂敷を広げましょう』といっているのではないということです。

 自分を正確に理解していただくことに、書類作成の技術を使用しなければならない時代だということです。家電製品のパンフレットのように、素人にもわかりやすく、マニアもその製品の良さが伝わるような、そんな応募書類を作成しましょう。

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