「エンジニアの人生=エンジニアライフ」に役立つ本を紹介します。

『Vimテクニックバイブル』――魔法使いに1歩近づくためのテキストエディタ活用術

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Vimテクニックバイブル Vimテクニックバイブル 作業効率をカイゼンする150の技

Vimサポーターズ (著)
技術評論社
2011年9月

ISBN-10: 4774147958
ISBN-13: 978-4774147956
2980円(税込)

■ITエンジニアにとっての聖域、テキストエディタ

 私たちITエンジニアは、日常的にコンピュータに向かって文字を書く。ソースコードに設計書、上司に提出する週報など、1日にコンピュータに打ち込む文字数は計りしれない。

 EclipseやVisual StudioのようなIDE、表計算ソフトやワープロソフト……文字入力にさまざまなツールを用いる。これら文字入力を行うソフトウェアの中で、テキストエディタは最もシンプル、かつ最も手軽に利用するツールである。

 テキストエディタには、さまざまなな機能を求めたい。文字の検索や置換に矩形選択。ある一定の規則に従って文字に色をつけたり、フォントを変えたりするシンタックスハイライトだって欲しい。マクロを組んで、複雑な編集の自動化もしたい。

 テキストエディタの機能の使いこなし次第で、作業効率は劇的に改善する。高度にテキストエディタを使いこなすITエンジニアのディスプレイをのぞくと、まるで魔法でも使っているかのような鮮やかささえある。

 だからこそか、「いかにテキストエディタを使いこなすか」という点で、ITエンジニアたちは独自のこだわりを持っており、時にはそのこだわりが「Vim vs. Emacs」のような宗教論争を巻き起こすことだってある。

 テキストエディタとは、ITエンジニアにとっての聖域なのだ。Vimは、そういったテキストエディタの1つである。

■Vimをもう1つ高いレベルで使いこなす 

 本書は、Vimを効率的に使いこなすためのTips集である。1つ注意しておきたいのは、本書はVim初心者にとっては少し難しい本であるかもしれないということだ。

 Vimといえば、「モードを切り替えて作業する」という他のエディタにはない特徴を持っている。そのため、初心者はまずVimを動作させるためのキーマッピングを学ぶわけだが、本書はVim入門の要素をわずかに説明するのみで、大部分は中~上級者向けのTipsだ。ただ、Vimの入門情報はWeb上で検索すれば山のように存在するので、初心者はそちらを参照すると良いかもしれない。

 本書のターゲットは、ある程度Vimを知っている中級者以上が該当する。私自身はどちらかというとVim初級者の部類に入ると思うが、本書を読んでVimの持つポテンシャルの高さに驚かされた。この本を読めば、Vimを今よりもう1つ高いレベルで使いこなせるようになると思った。

■プラグインの解説も充実

 Vimは、多様なプラグインを導入することで機能を拡張できる。本書は、Vimの標準機能だけではなく、各種プラグインを導入することで得られる機能についても紹介している。

 例えば、Vim上で計算処理を実行するVimClacや、図を描画するためのDrawIt! など。これら多様なプラグインを使いこなせれば、日常の仕事などすべてVimだけで完結させることが可能なのではないかと思わせてくれるほどだ。

プラグインについては、作者自身がたくさん解説している。Chapter 10は、1章まるごと作者自身によるunite.vimの解説で、非常に読み応えがある。

■魔法使いになる

 テキストエディタを高度に使いこなす人を見ていると、華麗なキータイピングと一瞬で出てくるアウトプットが、まるで魔法使いによる魔法のように感じられる。特に、Vimのようにマウスを用いずにキータイピングのみで全機能を扱えるエディタを使いこなす人の指さばきは、映画に登場するハッカーのようだ。

 本書を読み、自分にとって最適なエディタの使い方を習得すれば、そのような魔法使いやハッカーに1歩近づけるかもしれない。

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