『Mobageを支える技術』――1日35億PVを支える、ソーシャルゲーム技術の全貌
Mobageを支える技術 ~ソーシャルゲームの舞台裏~ DeNA(著) 技術評論社 2012年6月 ISBN-10: 4774151114 ISBN-13: 978-4774151113 2919円(税込) |
■現在進行形で、ソーシャルゲームを支えている技術
本書は、1日35億PVの巨大システムを支える技術とノウハウについて、これでもかというほど贅沢に書いた書籍である(もっとも、1日35億PVをさばくノウハウが必要なエンジニアはそれほど多くはないだろうが……)。
わたし自身、今年にWeb企業へ転職し、現在はソーシャルゲームの開発に携わっているので、大変面白く読めた。
フィーチャーフォン向けのWebアプリケーションの開発ノウハウなど、スマートフォン全盛のこの時代にはそぐわない内容のように思える章もいくつかある。しかし、ソーシャルゲームでは依然としてフィーチャーフォンのユーザーが多く、こういったノウハウは今、まさに現在進行形でソーシャルゲームを支えている技術である。そういった意味で本書は、現実に即した内容であるといえるだろう。
実際、本書に書かれているノウハウのいくつかは、わたしがソーシャルゲームの開発において直面した問題であった。
■目次
本書は、4つのパートで構成されている。
- Part1 ソーシャルゲーム開発技術
- Part2 ソーシャルゲーム運用技術
- Part3 ソーシャルゲーム開発効率技術
- Part4 ソーシャルゲーム分析技術
ご覧のとおり、かなり幅広い内容を扱っている。一方、構成が分かりづらい個所もあった。例えば、RESTfulなAPIの設計についての説明は、なぜか「MySQLとの付き合い方」の章に入っている。
■肝はデータマイニング
ソーシャルゲームの運用にとって、サーバ運用や開発ノウハウも重要なのだが、実際にビジネスとしてのソーシャルゲームの命運を握っているのは、データマイニング技術である。
ソーシャルゲームは日々、ユーザーの動向などの膨大なデータを分析し、UIやパラメータなどについて、1日単位で細かいチューニングを行う。
そういった観点から、Part4「ソーシャルゲーム分析技術」は興味深く読んだ。
Part4は、データマイニングついて、いくつかの技術が紹介している。ただ、データマイニングは、技術もそうだが、「データをどうとらえるか」という判断が最も重要なので、DeNAがどういう観点でデータを分析しているのか、という話題があれば、もっと良かったと思う。
■まとめ:ソシャゲ、Web業界に興味のあるエンジニア向け
ソーシャルゲームやディー・エヌ・エーが提供するプラットフォームに関わる人でない限り、技術書として本書を使いこなせるエンジニアはそれほど多くはないだろう。
ただ、話題の業界に所属する人が、その知見をふんだんに詰め込んだ本なので、ソーシャルゲームに興味のある人や、Web業界を指向するエンジニアにとっては面白く読める本であると思う。
昨今なにかと話題になることの多いソーシャルゲーム界隈。中の人も、そうでない人も、本書を読めばその一端を垣間見ることができると思う。
(『雲(クラウド)の隙間から青空が見えた』コラムニスト
粕谷大輔)