シンガポールでアジアのエンジニアと一緒にソフトウエア開発をして日々感じること、アジャイル開発、.NET、SaaS、 Cloud computing について書きます。

インドでITトレーニング

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 日本は世界で唯一、英語以外の言語だけである程度のIT系の仕事ができる国だと思う。そのせいか、日本のIT従事者の英語の能力は、たぶん世界でも相当低い方だろう。

 それはそれで、日本という国の、国としてのパワーの高さをしめす証拠でもあり、我々日本人にとっても喜ばしいことかもしれない。しかし、その状況がいつまでも続くかと思うと、それは長くは続かないような気がする。

 さらに、日本人が読むIT系の書籍、記事はほとんどが、英語の翻訳であることも見逃してはいけない。翻訳される情報は、世界で出回っている情報のうちのほんの少しにしかすぎない。また、世界には、自分のブログで技術情報を発信している人が大勢いる。そのほとんどは英語で発信している。そのなかのメジャーなものは、日本語に翻訳されたものも同時に公開されていたりするが、それはごく一部。

 本当に技術を極めたい人には、英語の媒体から知識を習得することが絶対に必要になる。わたしの考えに賛同するITエンジニアのみなさん。とりあえず、英語を勉強することを始めてもらいたい。英語の媒体、つまり英語の書籍やインターネット上の英語のブログなどから技術習得することは、最初のわずらわしさを克服さえすれば、大学卒業している人であれば、それほど時間はかからないと思う。

 そしてある程度、英語の媒体から技術を習得するすべを身に着けた後は、今度は口頭の英語から技術情報を習得できるよう、努力してもらいたい。

 そのために日本の駅前留学ならぬ英会話学校に通うとか、語学留学を考えるとか、そんなことを考えてしまうのが、日本人の悪い癖。英語を勉強するためだけに、学校に通うとか、英語の参考書を読むとか、それは学校の中だけで閉じてもらいたい。

 学校を卒業した皆さんがやるべきことは、英語を通じて専門知識をつけることにより、「知らずに英語も身についている」というような方法だ。特にITエンジニアたるもの、英語でITの知識を学びながら、同時に英語で世界で仕事がをできるようになるという道を選んでほしい。その方法として、わたしが勧めたいのが「インドに行ってITトレーニングを受ける」ことだ。インドの優秀な講師が、英語を使ってみっちりと、IT技術を教えてくれる。そしてそれにかかる費用は驚くほど安いものになる。

 ということで、2006年5月にわたしが体験した、インドでのITトレーニングについて少し書かせてもらう。

 わたしが受講したのは、KOENIG が提供するMCSD(Microsoft Certified Solution Developer)取得の、約1カ月のコース。土曜日も受講日になるので、4日×6週の24日のコース。ホテル代、朝昼晩、すべての食事代を含んで約3000US$だった。宿泊先は、バックパッカーの安宿ではなく、一応ビジネス客が泊まるレベルのホテルで、そういうホテルでの、1カ月、つまり30泊の宿泊料まで含まれていることを考えると、格安だと思う。

 コースはインド国内のさまざまな場所で受けられるが、一番料金が安いことも手伝い、わたしがとりあえずに選んだのはデリーであった。デリーの空港には迎えの運転手が来ており、わたしの名前を書いた紙を胸に掲げて、空港で待っていてくれた。運転手が連れて行ってくれたのが、普通のビジネスホテル。それなりのレベルのホテルでほっとした。その後毎朝、同じ運転手が来てくれて、今度は同じホテルに宿泊する他の受講者全員を乗せて、教室までつれていってくれた。わたしが受講したコースは、契約としては、マンツーマンのものではなく、何人かの複数の受講者、といっても3、4人の生徒が一緒というものだったが、実際は4週間のコースすべてマンツーマンだった。事業拡大を狙い、大量の講師を採用した時期で、新しく採用した講師のトレーニングもかねていたのかもしれない。

 MCSDはマイクロソフトのテクノロジーを使ってソフトウエアを開発する技術者の資格で、.NETの基本、C#、ASP.NET、SQL Server、アーキテクトなど約5つの科目の試験に合格して取得できる。1カ月でこの5つの試験に合格しなければならない。コースは大体3、4日で300ページ程度の分厚い教科書を読みこなし、その後試験を受けるというもので、かなりハードであった。

 9時から5時までは、マンツーマンの授業を受けて、その後はホテルに帰って、問題集を解くという日程を繰り返し。学生時代にもこれほど勉強したことが無いぐらいだった。英語で受ける試験。しかも結構時間的に厳しい試験だ。最初は不安だったが、努力のかいあって、結局すべての試験を一発で合格することができた。

 科目ごとに異なる講師が担当するのだが、講師によっては、経験不足で、講師の交代を願ってひと悶着したこともあった。SQL Serverを教えてくれた講師は実に良かったが、逆に別の科目で教えてくれていた講師があまりにひどく、SQL Serverを教えてくれた講師に変えてくれと願い出たことがあった。その返事が、「その講師は、シムラというデリーからバスで1日ぐらい離れた有名な避暑地の教室にいるので、そちらに移動すればその講師に教えてもらうことができる」というものだった。

 5月のデリーは1年で一番暑い時期。昼間の気温は40度を越していた。教室はエアコンが入るため、授業中は暑さは気にならなかったが、やはり外に出たときの暑さは尋常でなく、かなり参っていた時期。願ってもない申し出と、週に1日しかない日曜の休みを使って、デリーからそのシムラにバス旅行をした。

 バス旅行は、シムラについたらすぐに受けることになっていた試験の準備のために、必死で試験問題を解くわけで、あまり楽しめなかった。しかし、シムラは別天地だった。デリーはインドの悪いところがすべて集まっているところだ。暑いうえに乞食は物乞いに来るし、町中騒音の嵐だった.。一方、標高2000メートルのシムラは、待ち行く人はジャンパーやコートを着て歩いている町で、もちろんエアコンなどまったく必要がない。一番うれしかったのが、町に乞食がいないということだった。インドがイギリスの植民地だったころはシムラは夏の間の臨時首都だったらしいが、それもうなずける立派できれいな町だった。

 すべての授業はマンツーマンで、他の生徒と一緒に授業を受けることはなかったが、ホテルでの朝食時、朝の送り迎えの車の中や、昼食時などに、他の受講者と知りうことができた。当然だが、日本人は1人もいなかった。過去に受講した日本人がいたことがあるかと聞いてみたら、過去に2、3人来たことがあるらしかった。

 ほとんどはイギリス人だが、若い人から中年のおじさん、女性もいた。女性はインド系イギリス人、つまり先祖がインド人のイギリス人だった。会社から派遣された人は1人もおらず、すべて自分のお金で受講している人で、転職の合間に来た人や、プロジェクトの合い間に資格を身につけようという人たちだった。ナイジェリアからの受講者は、政府の要職につく人だったが、時々アフリカの民族衣装を着てやって来ていた。

 会社に勤める日本のITエンジニアが、ITトレーニングのため30日休みを取ることは難しいかもしれないが、うまく話を持ち出せば、会社が費用を出してくれるかもしれない。それなら大手を振って、30日のコースを受講できるだろう。30万円程度で社員のスキルレベルが相当上がるのであるから、会社にとっても悪い話ではないはずだ。

 フリーのエンジニアなら、プロジェクトの合間に30日程度の時間を空けることは容易だろう。自費と言っても、30万円程度を払って、自分の価値を一段アップさせることは無駄な投資ではないだろう。

 わたしは約25年前の学生時代に2カ月程度インドに旅行したことがあったし、インドのシステムインテグレータの日本法人に勤務したことがあった。そのためインドという国自体にはある種の親近感みたいなものもあったわけで、かなり気軽にこのコースを受講することができた。そうでない人にとっては、インドという国に何か恐れみたいなものを抱いてしまい、なかなか勇気を持ってこういうコースは受けられないかもしれない。そこは勇気を振り絞って、としかいえないが…….。

Comment(4)

コメント

さいぼーぐ

インドで英語の講義を受けるということになると、
「インド英語」の発音が問題になってくると思います。

山本さんは、英語を使っての仕事の経験を持っておられるので、
大丈夫だったのかもしれませんが、アメリカ発音にしか触れていない
一般の日本人には、まず聞き取れないのではないかと思います。

yamamoto

確かにインドの訛りはあります。しかし、インド人の英語はブロークンなものでは
ありません。しっかりと文法も、用法も正しい英語を話します。それゆえ、最初の
数日は分かりにくいかもしれませんが、すぐに慣れると思うます。英語はアメリカ
人が話すから、使うわけではありません。世界の共通語だから話すのです。世界に
は日本人の話す英語、ドイツ人の話す英語、フランス人、インド人、中国人など数多くの英語があり、さらに英語ネイティブでも、スコットランド、ウエールズ、イングランド、コックニー、カリフォルニア、ニューヨークとさまざまです。シンガポール人の話す英語は、めちゃめちゃブロークンで、実はいまだに良く聞き取れませんが、インド人などのように、正しい文法で話してくれる英語は、以外にすぐに分かってくるものです。

さいぼーぐ

現在インド人に囲まれて仕事をしていますが、
慣れるまでに相当かかりましたので

「ご参考」

ということで書かせていただきました。

日本の英語教育では米国発音が主体です。
なので一般人には、いきなりインド式発音だと辛いかもしれない、ということです。

彼らは3~5歳くらいから英語教育を受けており、
基本的にはネイティブと同等、ということは存じております。

英語のアクセントに関して言うと、シンガポール人の英語がいまだにわかりません。かれらの英語はアクセントがひどいだけでなく、文法もめちゃくちゃです。しかし、そのひどい英語で、シンガポールの中国系は英語で、お互いのコミュニケートしています。中国語ではありません。徹底的にブロークンにもかかわらず、しっかりと高度な内容をコミュニケート。良く分かりません。

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