「ビジョンを持て」と言われると窮屈なんです
◆ビジョン、ビジョンってうるさいなぁ
「ビジョンがないのは、そんなにダメなことなのか」
この言葉は、先日参加した交流会で、ある会社の代表がおっしゃっていた言葉。
中小企業診断士としては、会社を導くためにも「ビジョンは大事ですよ」と言うけれど、中小企業の経営者で、しっかりとしたビジョンを描いている人は少ないのが現実だったりする。もちろん、それを引き出して描くことをお手伝いするのも仕事の1つであり、コンサルタントというよりは、カウンセラーやアドバイザーと名乗った方が近いのかもしれない。と、これは余談だが……。
もちろん、従業員側の立場から「ビジョン」といえば、会社のビジョンを意識するのも大切だが、まずは自分の「キャリアビジョン」である。とはいえ、明確に描いている人が少ないのも前述の経営者と同様。それでも、研修に参加したりすると「将来何したいですか?」「ビジョンを持ちましょう」と言われる。そうすると「あぁ~ビジョン、ビジョンってうるさいなぁ」と思うのが、従業員の気持ちなんじゃないだろうか。
◆まぁ、ムリに考えなくても
まぁ、あんまり窮屈に考えることはなく、どんなことが楽しいか、好きか、心地よいか、そういうことが大事だったりするんだと思う。
私でいえば、「モノづくりがしたい」という大きい枠組みでソフトウェア開発を選んだし、「ヒト」に感心が向いているのも、そもそも大学時代にコミュニケーションについて勉強していた経緯があったからだった。わりと原点は10年ぐらい前と変わっていないんだな、とあらためて思う。
組織の中にいると、その歯車に縛られているように感じてしまう人もいるが、自分の好きなことや、やってみたいことと、今の業務から得られることに共通点がないか探してみてはどうだろうか?
私みたいに「モノづくり」という大きいレベルで考えていれば、当てはまるものは多い。窮屈になることなくビジョンっぽいものがモヤっと見えてはこないだろうか。
無理に考えなくても、答えは自分の中にあったりするものである。
◆「ビジョンはあるんです! で、どうすればいいですか?」の人には
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」とは、野村克也さんがよく引用する言葉で(江戸時代の剣術の達人「松浦静山」の言葉である)、私も大好きな言葉である。
「運で勝つことはあるけど、運が悪かったから負けた……なんていうことはあり得ない。負けには負けの原因がある」という意味だ。
売り上げが上がらないと「景気が悪いから」と安易に外部環境のせいにする人がいるが、実際にひもといてみれば、お客様の視点への気遣いを怠っていたり、自分でできることを考えていなかったりと、自分の怠慢が原因だったりすることが多いものである。
試験、受験などもそうで、落ちると予備校、学校、先生のせいにする人がいるが、不合格の原因の多くは「勉強不足」であることが多い。合格不合格のボーダーライン上には、1点2点の差の中で膨大な受験生が含まれており、このことを考えれば、ケアレスミス、みんなが落とさない問題を落とすというミスを犯すことが一番怖いことである。そして、変な言い訳をしないためにも、目の前の仕事や目標に対して努力をすることが必要なんだ、とノムさんは言いたいわけだ。
そして……
「チャンスの神様は前髪しかない」
チャンスの神様はツルッぱげなんですよ。知ってました? だから、やって来る瞬間でないと捕まえられないんですよ。後ろに毛がないですから、捕まえられません。
つまり、チャンスがやってきたときに捕まえられるかは、「今だ!」と思ってつかむ勇気と、日々の努力によってチャンスを引き寄せる力を身に付けること、この2点なのです。イチローだって毎日素振りやトレーニングをしてますし、チャンスをものにする力をつけるには、努力……なんですね。
◆走りながら考える。
ビジョンがあってもなくてもね、コレは大事だと思います。
人生やキャリアだから、途中でルート変更だってあるでしょう。だから、走りながら考えることが大事だと思うんです。そりゃ、疲れちゃいますから途中で休むこともあるでしょうけど、「立ち止まりすぎは厳禁」ってことだけ念頭においていただいて。
眼前の山が、エベレストでも富士山でも、1歩ずつ登らないといけないわけだし、頂上ばかり見上げて登っていたら、不安で不安で到底登れない。でも、人生引き返せないですから、少しずつでも前進していくことが大事だし、それを「努力」と言うんでしょうね。