ドラッカーだって言ってるもん。「あなたは何をしているのですか?」
◆そういう仕様です
新卒で入社し、配属されてすぐの頃の上司との面談。
「仕事とは?」というような漠然とした質問を投げかけられた。その時どう答えたのか細かく覚えてはいないのだが、なぜか「たとえコピーの依頼だとしても何らかの仕事の一部であり、頼まれた相手が何のためにコピーを依頼しているのか、何を望むかを考えて取り組むことが大事だと思います」というようなことを言ったら、上司にとても感動された覚えがある。
模範解答的な印象もあるが、今になって手前味噌ながら、「コレって大事なことじゃん?」と思う。
システム構築は、大規模になればなるほど分担が細分化され、自分の担当箇所は、大きな枠組みの中の一部分だったりする。するとプログラマは、仕様書どおりに製造することだけに注力し、そこに発生するかもしれない漏れや抜けをスルーして、「仕様書どおりに作りました」と発言してしまう。当然仕様書どおりに製造できる能力は必要だが、短納期や新しい開発手法の登場で、そもそも仕様書不要論まで出ている昨今の環境を考えると、仕様書の奥にある「そもそもどんな目的なんだっけ?」が読めないと、言われたことをやるだけの要員になってしまう。
◆全体像を把握できるよう仕向けているか
言われたことをやっているだけでは、問題解決力はなかなか身に付かない。「応用が利かないヤツだ」とか「気が利かないヤツだ」とか部下を批難する人がいるが、そもそも上司は「何のための仕事か」「何の目的で行う仕事か」ということを説明できているのだろうか?
たとえ一部分であったとしても、全体像が掴めているのといないのとでは、迷ったときの判断が格段に違うはずである。
◆あのドラッカーだって言っている
ドラッカーの話に出てくる石切工のたとえ話がある。
彼らは何をしているのかと聞かれたとき、第一の男は、「これで暮らしを立てているのさ」と答えた。第二の男は、つちで打つ手を休めず、「国中でいちばん上手な石切りの仕事をしているのさ」と答えた。第三の男は、その目を輝かせ夢見心地で空を見あげながら「大寺院をつくっているのさ」と答えた。(ピーター・ドラッカー「マネジメント」より)
第一の男は、仕事を労働による対価しか見ていない。第二の男は、THE・職人。第三の男は、自分の仕事の全体像をとらえている。
職人ワザも大事だが、芸術でも趣味でもなくビジネスである以上、お金と時間に制約された状態で、何らかの目的を達成する必要があるわけだ。その中で、第三の男のような視座をもって仕事に取り組めると、あなたの仕事も一味違ってくるし、顧客がみえる仕事ぶりになるだろう。
もちろん、あなたがリーダーやマネージャーという立場であれば、自分の部下にその視座を与えること、職人を使いこなすこと、というのも役割であることを忘れずに。
さぁ、あなたの仕事はどこへ向かっていますか? あなたの会社はどこへ向かっていますか?
コメント
Anubis
初めまして。Anubisと申します。
ちょっとドラッカー読んでみたくなりました。
たぶん、私の仕事は"その場の対処"に向かっています。そして会社は"仕事の取り合い"に向かっていると思われます。
そんな現状に、すぱっとメスを入れてみた今日この頃です。
ぴらい
コメントありがとうございます。
ドラッカー、ぜひ読んでみてください。
仕事の取り合いとは...可哀想な光景ですね。
現状にメスどころか、バッサリ斬っちゃってください!応援してます。