@IT編集部の西村賢がRuby/Rails関連を中心に書いています。

英辞郎によるSRS単語学習アプリ「Reijiro」を公開しました

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 SRS(Spaced Repetition System)と呼ばれる学習方法があります。復習する間隔を1日、2日、4日、1週間、2週間、1カ月と徐々に伸ばしていき、忘れたころに復習することで記憶の定着効率を高める方法です。

 SRSは外国語学習者の語彙習得などに威力を発揮します。実際、SRSを取り入れたソフトウェアやサービスは多くあります。ただ、自分が欲しいものがなかったので、「Reijiro」というWebアプリをRuby on Railsで作りました(GitHubのリポジトリ)。機能追加をしながら4カ月ほど使っています。個人的に作ったアプリですが、もしかすると英語など語学を勉強している他の人の役に立つかもしれないと思って公開してみることにしました。

Reijiro01

Chart

 Reijiroでは辞書として主に「英辞郎」を使います。特徴は以下のとおりです。

  • 182万エントリと、膨大な実例を収録する英辞郎を利用(CD-ROM、もしくはオンラインコンテンツの購入が必要です。英辞郎の辞書データの著作権はEDPに帰属します)
  • 各単語・用例の復習間隔を自動管理。1日、2日、4日、1週間、2週間、1カ月……、と徐々に復習間隔を伸ばすことで、最小の学習時間で記憶を定着させるSRS(Spaced Repetition System)を採用
  • アルクが独自に選定した基礎語彙1万2000語を、全12段階のレベル別に単語帳に順次登録可能(レベル別データはインストール時に英辞郎CD-ROMから抽出します)
  • サーバにデプロイして空き時間にスマフォやタブレットで利用可能(CD-ROMを購入した本人以外に閲覧可能な状態とするのは著作権侵害になります。念のため)

なぜ作ったのか?

 英辞郎は大変に良い用例集ですが、株式会社アルクが提供するオンラインの「英辞郎 on the WEB」は使いづらいところがあります。有償のPro版も少し使ってみましたが、やっぱり私のニーズには合いません。私は、単語の意味を素早く知りたいとかメールを書くにあたって用例を調べたいのではなく、調べた用例を丸ごと覚えたいのですね。

 一度引いただけでは覚えられないので復習が必要です。英辞郎 on the WEB Proでも単語帳機能があるので、復習自体は可能です。でも、最小の労力(時間)で効率的に覚えたいんですね。そこでSRSです。

 当初はローカルのMac上でだけ動かすつもりで作り始めたのですが、VPSに置いてみると想像以上に便利でした。英語を聞いたり読んだりしているときには、Chromeの検索エンジンとして登録してあるReijiroで辞書を引くようになりました。Reijiroで引いておけば、その単語・熟語は自動でクリップされます。クリップされた単語は、1日後、2日後……、と提示されるので、通勤や移動の空き時間にスマフォで復習できるので、とても良い感じです。いま、スマフォ用にjQuery Mobileのビューを足そうかと考えています。

Smartphone

 英辞郎が良いのは用例が豊富なことです。単語を調べた時、関連する用例や文例を眺めて、声に出して読むことが重要だと思っています。多くの単語帳アプリは「英単語:訳語」というフラッシュカード形式で、訳語だけを提示します。しかし、これではその語が作るイメージが分かりませんし、他の語と形作るネットワークが見えてきません。用例や文例で覚えないと自分で使える語彙になるように思えません。

 ちなみに現在、私の英語の推定語彙数は1万2000~3000語程度だと思います。「読む・聞く」では、あまり困りません。でも、書いたり話したりすると、結構残念な英語になります。語彙力を増やしてどうにかなるものではないかもしれませんが、ともかく向こう3、4年ぐらいで8000〜1万語ぐらい上積みしたいと思っています。自分で言うのもなんですが、無理せず効率的に語彙学習を継続できるという意味で、Reijiroは、すごくいいですよ。

 詳しい説明は、「Reijiro」をどうぞ。

Comment(2)

コメント

5.5

素晴らしい!
ところで,本筋とは関係ないのですが,忘却曲線の図の青紫の曲線がやや不正確というか,誤解を招くかなと思いました。
「忘却曲線」で画像検索すると一杯出てきますが,絵に描くなら↓こうなると思います:
①一回目の復習までの間,「本来の忘却曲線」に従って記憶が薄れていく。(指数関数的)
②一回目の復習により,最初の定着度まで回復する。
③二回目の復習までの間,忘却曲線に従って記憶が薄れるが,忘却の速度は①よりも緩やかになるため,二回目の復習までの時間を長めに取ることができる。
④二回目の復習により,また最初の定着度まで回復する。
④三回目の復習までの間の忘却の速度は②よりさらに緩やかになる。
つまり,復習の時点では矢印はまっすぐ上に上がり,学習と復習,復習と復習の間は指数関数的な忘却曲線で結ばれるが,回数を重ねるごとにその忘却の係数が小さくなっていく,というような。

西村賢

5.5さん、ありががとうございます。そうですね、復習の時刻の前から定着度が上がったらおかしいというのは気付いていましたが、まあイメージということで。というか、描画ツールでぐりんとやったらそうなったので、それでいいかという程度で……。スミマセンw

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