GWにオススメのRuby on Rails 3の解説書籍
ゴールデンウィークに、まとめてRubyやRailsを勉強したいと思ってらっしゃる方も多いと思います。Rails3に対応した待望の日本語による解説書籍が新たに2冊出ましたのでご紹介したいと思います。
1冊目は達人出版会から出た電子書籍、「はじめる! Rails3(1)」(黒田努著)です。A4のPDF換算で111ページ、価格は1000円です。PDFもしくはePub形式でダウンロードできます。新たに出た、と書きましたが、この本は実はベータ版という形で、すでに2月に出ていて、4月27日に正式版となりました。
全16章で、基礎知識やインストールから始まり、実際にタスク管理アプリを作っていく中で、MVCの基本と実践を学ぶという構成です(目次やサンプルは、ここで見られます)。最初の導入は別として、1章ずつ開発を進めていく中で試しながら学び、ひと通りRailsを使った開発を経験してみたいという初心者向けということです。ただ、この本はシリーズの第1巻で、モデルやビュー、テストについては続刊となる第2巻で解説予定とのことです。
著者の黒田さんは、Railsのコンサルティングと教育に取り組んで来られた方で、2006年にRubyとRailsに出会って以来、「Rails関連の仕事しか引き受けない」というポリシーで仕事を続けているそうです。すでにRails関連書籍の著書もあり、今回の書籍も、安定感がある説明のテンポが印象的です。
ちょっと余談ですが、同じ達人出版会から出ている「はじめる! Cucumber」(諸橋恭介著)は、Twitterのようなミニブログサービスを実装するという例を使ってBDDを解説してあって、手を動かしてやってみることが好きな方には、こちらも良いかもしれません。
さて、もう1冊は、先日(4月28日)、@IT編集部に届いたばかりで、これから書店に並ぶ予定の「Ruby on Rails 3 アプリケーションプログラミング」(技術評論社、山田祥寛著)です。本文だけで460ページある大きな本で、解説の網羅性が高く、レファレンスとしても使えそうです。3500円です。まだざっと全体を見渡して読み始めたところですが、以下、どんな感じかご紹介したいと思います。
基礎知識やインストール方法の後は、ScaffoldでRailsの全体像、そしてMVCの解説とオーソドックスな構成という感じです。4、5、6章で順に、ビュー、モデル、コントローラと説明してあって、ビューが最初なのがちょっと意外な感じがしました。でも、確かに入口としてはビューをいじるのが分かりやすいのかもしれませんよね。M、V、Cの各章は、それぞれ80~100ページとボリュームがあり、基礎から応用まできっちりと解説してあるという感じです。7章はルーティング、8章はテスト、9章が応用編でAjax、国際化、キャッシングなどの解説です。
特徴は、環境構築でWindows向けのRubyやSQLiteを使っているところでしょうか(もちろんLinuxもあります)。もう1つ、HTML5への言及もあり、最新技術への配慮があるところもいいなと思いました。例えば、Form関連のメソッドでは、実はHTML5のタグが吐き出せるんですね。HTML5非対応ブラウザでも問題なく表示されるので、こういうのって使っていいんですよね。
図表が豊富で非常に丁寧に編集されているのも好印象です。特に図の量とクオリティには、ちょっと驚かされました。ささいなことですが、スクリーンショットについても、読者に見せるべきものは何か、どういう順番で見せるべきかをキチンと考えた上でリサイズや配置、矢印で工夫している、というのが、いちおう編集者でもある私としては頭が下がる思いです。
ソースコード中には番号が振ってあるケースが多く、コードのどの部分が何をしているかという解説があるのもいい感じです。コマンドやメソッドを解説する構文解説は、必要な場面で本文に登場しますが、APIと簡単な解説、実際の使い方、オプションなどの追加情報がまとまっていて、後からリファレンス的に使えそうです。ただ、Ruby言語に関する解説は必要最小限で標準クラスのメソッドを説明するという程度のようですので、RubyとRailsの両方をこれから始めるという方は、Rubyの入門書も別途買ったほうが良いのかなと思います。
著者の山田さんは、元々NECにお勤めで、2003年からはフリーライターとしてJava、PHP、JavaScript、ASP.NETなど幅広いジャンルで執筆されているそうです。