今、話題の人工知能(AI)などで人気のPython。初心者に優しいとか言われていますが、全然優しくない! という事を、つらつら、愚痴っていきます

274.幼稚園送迎バス置き去りで思う事

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初回:2022/9/14

 この手の話が、なぜ何度も繰り返されるのでしょう。問題が発生した際に、徹底的に原因究明を行い、それぞれに対して対策を行い、それを徹底する仕組みを作る必要がありますが、それが過去の事件の教訓が生かされていない...他の幼稚園、保育園で発生したことを自分たちにも起こりうるという認識が足りない、足りないのではなく『ない』のでしょうか?

P子「もちろん、きちんとしている所はあるでしょうね」※1

 そういう所は、こういう事件が起こる前から、何らかの手を打たれていると思います。

 今回の件で『ヒューマンエラー』という言葉で片付けようとされている記事も散見されますが、そんな生易しい言葉で片付けるなんてできないでしょう。きちんとしていても人はミスする。そういう場合に使う言葉であって、例えば信号のない交差点をいつも突っ切っているが今まで事故ったことがないのに、たまたま衝突したとか、いつも缶チューハイを飲んで車を運転して帰宅していたが、一度も事故ったことがないのに、たまたまハンドル操作を誤ったとか、そういうケースで『ヒューマンエラー』と言わないのと同じレベルです。ミスではなく起こるべくして起こった事故...人災という事でしょう。

1.連続のミス

 園長の会見で、4つの事情が重なり起きてしまったと説明されていました。
 ざっくりまとめてみます。

 1.普段の運転手も3人いる臨時の運転手も用事があり、慣れない園長が運転した。
  そして、バスが到着した際の確認を怠ってしまった。
 2.ホワイトボードの欠席者に含まれていないのにクラス担任は何もしなかった。
 3.タブレットで出欠情報を確認するが、確認時点で未入力だった。未入力は出席とみなされる。
 4.連絡なく休む園児もいるため、勝手に休みと判断して保護者に確認しなかった。

 ≪参考≫
  https://www.fnn.jp/articles/-/413939
  バス置き去りで3歳園児死亡 幼稚園が記者会見【詳報2】4つの事情が重なった
  テレビ静岡 2022年9月7日 水曜 午後5:22

 『ヒューマンエラー』なんかではなく、するべきことをしていなかっただけです。

 園児の送迎になれていなくても、停車後に残っている園児がいないか確認するくらいはできるでしょう。日ごろから、運転手にはそういう指示をしていたそうですが、口先だけという事でしょう。そんな心のこもっていない指示なら、日ごろ慣れている運転手であっても、きちんと出来ていたかどうかも怪しいものです。

P子「確証もなく疑ったらダメでしょ」

 またタブレットによる出欠情報の確認も、運用がきちんとできていないようです。たぶん、タブレットへの登録が『目的』になってしまっており、乗車・下車の確認という『目的』に沿った使われ方がされていなかったのでしょう。

P子「それも決めつけね」

 いや、システム屋として、手段と目的が入れ替わってしまう事例はよくある事だという事を知っています。

 それにホワイトボードでの運用も、出欠を書くだけではなく、欠席になっていない園児の内、来ていない園児の親に連絡を取ったかどうかの確認が取れていないというのも、運用手順に書いてあっても実践されていない...つまり、ルールが形だけになっていたという事です。そんな状況では『ISO 9001』なんて取得できませんよ。

P子「認定こども園って言うくらいなら、『ISO 9001』以上の規定が必要という事?」

 国も自治体も、認定だけして終わり、何かあれば改善指示を出して終わり...誰もかれも適当すぎます。

P子「ちゃんとしてるところもあるわよ」

2.運用手順の徹底

 私の一番嫌いな言葉です。

P子「あなたの一番は、何百とあるものね」

 『ヒューマンエラー』は運用手順を徹底していても起こりうるエラーの事で、そもそも運用手順を守らないという『故意』も人の業というものです。

 ただし、運用手順を作って、正しく運用すれば、事故の発生確率は大幅に減らせます。なので運用手順の実施とチェックをきちんと行う事は重要です。

 例えば、バスを停車後、最後尾まで確認するという手順を決めれば、それが確実に行われているかのチェックを行う手順も同時に作成する必要があります。『徹底せよ』と言っておきながら、やったかどうかは本人まかせなんて、間抜けでしょう。

 欠席連絡のないお子様には、保護者に確認するルールを設ければ、確認したという証左を残し、確認したという事を確認するルールも必要です。この手の確認を上司とか管理者が行うのが一般的ですが、そういう人たちの承認印は、役に立ちません。私なら、上司が確認したという事をさらに第三者に確認させるようなルールにします。

P子「どうするの?」

 上司が確認漏れ...つまり、確認もせず承認印を押した場合、その行為が発覚すれば減給処分にします。さらに、それを密告した第三者に、減給分を支給します。つまり、上司の給与をみんなで取り合うのです。

P子「ものすごくギスギスした職場になるわよ」

 ただ、こういうずさんな運用をしている職場では、職員全員に問題があります。見て見ぬふりをしている職員がいるという事です。そういう人たちも私は同罪だと思っています。

P子「でも、園長にさからったり、上司や同僚に苦言を言う職員は嫌われたり仲間外れにされるわよ」

 ハブられるから黙っているという考えを持った時点で、同罪です。

3.システムの導入

 アメリカの場合、エンジンを切るとアラーム音が鳴り、バスの後ろに設置されたボタンを押さない限り、警告音が鳴りやまないシステムがあるそうです。では完璧かというと、そういうシステムをOFF にしたり、単に警告音を消すためだけに、後ろまで行くが、子供の存在を見落としたりしないとも限りません。

P子「手段と目的の入れ替わりね」

 同様に、検知システムの問い合わせも増えているそうです。

 ≪参考≫
  https://hochi.news/articles/20220908-OHT1T51288.html?page=1
  【園児バス置き去り死】再発防げ 検知システムに問い合わせ急増 車内上部に呼吸にも反応するレーダー
  2022年9月9日 6時0分スポーツ報知

 もちろん、ないよりある方が、事故を防ぐ確率は向上しますので、導入が無駄とは言っていません。でも費用が掛かります。送迎後に車内清掃するとか忘れ物チェックするついでに、子供が残っていないか確認するだけのことを、システムで対応する必要性を私は感じません。

P子「システム屋がシステム導入を否定するの?」

 そもそも、必要のないシステムはいづれ使われなくなりますし、下手にシステムを入れると、それに安心して本来やるべきことをやらなくなってしまいます。それに、システム導入の目的を忘れて、システムを使用することが目的になってしまうかもしれません。

4.もっと単純化しては?

 運用手順の徹底とか、システムの導入を義務付けるとか、そういう固い事を言う前に、もっと単純に考えてはどうでしょうか?

 例えば、箱にきちんと入っている積木をバスに乗車する時に手渡し、下りるときに元に戻す。そうすれば下りていない子供がいれば箱に空きができます。もちろん、積み木を取り忘れた子供が降り忘れる...なんてことが起こらないとも限りませんが、確率的に減るでしょう。

P子「工場で工具置き場にウレタン等に工具の形状をくりぬいて紛失チェックするみたいな...」

 タブレットで乗車、下車を確認するといっても、バス通園の園児もいれば徒歩の園児もいるわけで、出欠確認は別の仕掛けが必要でしょう。役に立たないタブレット運用より、バス限定の積木の方が、数十倍理にかなってると思うんですけど...

P子「積木に過信しすぎでしょう」

 また、そもそもバスのドアを施錠せずに、開放しておけば良いという意見もありました。そうできる所は、そのようにしてもよいかもしれません。

P子「子供が勝手に乗り込んで遊んだりしない止め方が出来れば、いいかもね」

 また、閉じ込められた場合に備えて、クラクションを鳴らす練習を防災訓練と合わせて行うとかいう意見もあります。やはり、実際に体験しないと、いざというときに鳴らせないでしょうから、そういう訓練を自治体などが義務付けるとかなら、費用も掛からないでしょう。

P子「幼児の力でクラクションを鳴らすのは難しいから、水筒を当てて体重をかけるという技もあるみたいね」

 さらに幼稚園児に防犯ブザーを持たせるとかいう意見もありました。先ほどのクラクションと同様に、バス車内に防犯ブザーの設置と実地訓練を義務付けるというのもありかもしれません。

P子「クラクションと違って、防犯ブザーの場合は、電池切れチェックも必要ね」

5.最後に

 実際問題、普通にきちんと手順通りに運用していれば、防げたはずです。運用手順自体は、それぞれ大した手間はかかりませんし、きちんと運用していれば、一つや二つの『ヒューマンエラー』が発生したとしても防げるはずです。つまり、すべての運用がずさんな場合に発生する人災であり、一部がずさんで一部がきちんと運用されているなんて事は、まれでしょう。その場合は、守れない運用が課されている訳で、善良な組織ならそういう守れないルールは置き換えれるるはずです。

 つまり、いくつもの不運が重なった...のではなく、どれ一つ満足に実施されていない運用の中で、たまたま今まで発生しなかっただけ...事故が起こっていない事の方が偶然だったという事です。

 各園にたった一人でいいので、きちんと声をあげられる人がいれば、このような悲しい事が起こらなかったと思います。

P子「味方に付けるとめんどくさい人になれと」

 敵に回すと厄介なので、そういう人は多少めんどくさかっても味方につけるべきです。

ほな、さいなら

======= <<注釈>>=======

※1 P子「もちろん、きちんとしている所はあるでしょうね」
 P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。

Comment(2)

コメント

匿名

マスコミで、『ヒューマンエラー』と言っていますが、確かに、とても違和感を感じます。言葉の使い方が間違っていますよね。お金を掛けて、システム化しても、ちゃんと運用出来なければ、同じ事を繰り返す恐れがありますね。

ちゃとらん

匿名 さん、コメントありがとうございます。


守るべきルールを守ってないから起こるので、赤信号で常に突っ込んでいて、ぶつかったら『ヒューマンエラー』とは言わないのと同じだと思います。
そういうルールを守らないという人の行動(心理)をなんと表現すべきか…


また、あの事故以降も、ヒヤリ・ハット事例が何件か報告されているようですが、皆さん、他人事なんでしょうか?
せめて、記憶が新しい間は、ルールを守る事を心がけるとか、何らかの手を打たないのでしょうか?
非常に残念です。

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