073.10万円給付と1000年後の世界
初回:2020/05/13
1.すべての人に10万円給付の意味
P子「今回はまともなお話なの?」(※1)
いつでもまともなお話です。
P子「じゃあ、今回もまともじゃないってことね」
10万円給付に関して、富裕層にはいらないとか、公務員・国会議員にはいらないとかいう意見がありますが、困っている人達に迅速に配るという目的上、所得制限とか職業で分けるとかややこしい事をやっている時間が無いという事です。
では、もし所得制限が上手に素早くできれば、当初の予定通り貧困層に30万円を給付する方が良かったのでしょうか?
私の考えは異なります。
全員に10万円給付で構いません。なんと言っても富裕層はそれ以上に税金を支払っているのですから。
P子「珍しいわね。富裕層と権力者は敵じゃなかったの?」
そんなことはありません。私の基本思想は、ベーシックインカム(※2)=最低限所得保障のさらに進化系のスタンダードインカム=標準所得保障ですから。
P子「何それ」
簡単に言うと『何もしないでも標準的な生活ができるレベルの支給が受けられる制度』とでもいいましょうか。なので、今回の全員に10万円支給には賛成で、毎月30万円程度の支給(手取り 30*12=360万円)=額面年収470万円程度(※3)あれば、とりあえず普通の暮らしができるのではないかと思います。
P子「色々と問題があると思うけど、まずは原資はどうするの?」
やはり税金です。一つは富裕層からの税金を、今以上に徴収します。例えば年収3000万円以上は、100%の累進課税にするとか。さらに、相続税は100% です。つまり子孫にお金は残せません。
それに、企業に課す法人税も、会社規模や従業員数を考慮するにしても、80%とか90%とかの法外な税率にします。
P子「そんなことしたら、日本から会社がなくなってしまうわよ」
いいんです。というより、利益を貯め込んだり役員や株主だけに還元したりするのを規制するだけなので、社員への配分を増やし、設備投資に使い、研究開発に使えばいいんです。
それに、役員報酬も年収3000万円以上にしても意味は無いですし、社員の給与もスタンダードインカムがあるので、お試し期間中は、給与すら払う必要がありません。
P子「給与なしで会社で働く必要があるの」
色んな能力を持った人が共同で大きな事業を成し遂げるには、会社と言う組織があった方が都合が良いでしょう。それに、年収3000万円までなら、年齢に関係なく給与を上げることが可能です。
P子「何もしなくても経済的に困らなくなるなら、勉強も仕事も何もしなくならない」
その可能性は十分にありますが、逆に何でもできるとも思っています。例えば、ゲーム好きならゲーム作成のお手伝いをしたり、アイデアを出し合ったり...どうせ会社から給料は出ないんですから。それに勉強に関しても、今のような感じではなく興味のある内容を深く掘り下げる...とか勉強方法も変わるでしょう。
大河ドラマや歴史の漫画など、今でも楽しみながら勉強する手段はいっぱいありますし、趣味でそういうことを教えたいと思っている人も多くいるのではないのでしょうか?
P子「大河ドラマは歴史の史実じゃなくって、あくまでドラマだけどね」
2.1000年後の世界
さて、夢のような話は置いておいて、本当の夢のような話をしたいと思います。
1000年後の世界はどうなっているのでしょうか?
まずは、1000年前の日本は、平安時代で藤原氏全盛の頃です。全くわかりません。でもこの後戦国時代や江戸時代を経て、明治、大正、昭和、平成、令和とつづいています。
何が言いたいかと言うと、昔は生まれで身分が決まり、農民は高い年貢に苦しめられ、疫病や大火、地震や飢饉などがあり、武士は切腹、悪人は正当な裁判もなくさらし首などとんでもない世界だったと思います。
現在はどうでしょうか?
世界的に見れば身分制度は残っていますが、日本では建前上は生まれで身分が決まることはありません。消費税も10%なら安いと言われています。(私は消費税は弱い者いじめの税だと思っています)疫病や地震は...未解決ですね。戦争やテロはまだまだあります。
技術の進歩で病気や貧困が改善されている一方、戦争などの兵器も強力になっています。
先ほど、日本では建前上は生まれで身分が決まることは無いと書きましたが、本当でしょうか?
富裕層の子供は高度な教育を受け、親の財産を受け継ぎ、富裕層となります。貧困層はよほどのことが無いと這い上がることが出来ません。結婚も出来なければ子供も持てません。貧困層が淘汰されて無くなるかと言うとそうではなく、富裕層の中で更なる富を集めることで、従来の富裕層が中間層に、従来の中間層が貧困層に落ちてゆきます。
https://www.huffingtonpost.jp/2017/01/15/eight-men-own-half-the-worlds-wealth_n_14194250.html
この8人の大金持ちは、世界人口の半分と同等の資産を持っている
昔でも、足軽から天下人まで上り詰めた秀吉は特別としても、混乱した時代では、農民から武士などの成り上がりは結構あったんではないのでしょうか?その分、犬死も多くあったことでしょう。
それでも現在よりひどかった事は事実でしょう。ただ、貧富の差は開く一方と言うのも事実です。
原因は、『資本主義』にあります。資本主義とは、そもそもそういうものだからです。それを政治の力で出来るだけ抑えているだけです。
P子「なぜ抑えるの?」
ほっておくと、貧困層が増えすぎて不満が爆発して制度そのものが崩壊する可能性があるからです。フランス革命が、絶対君主制から資本主義への転換を図ったように、資本主義から民主主義への転換が起こると、既得権益者や富裕層が困るので、適当にガス抜きしているだけです。
1000年後の世界がどうなっているかは判りませんが、1000年後の世界から現在を見ると、資本の有無による差別的な扱いや、子孫に継承されていく制度は、絶対君主制と区別が付かないかもしれません。一部の富裕層と多くの貧困層に分かれ、生まれた国や家によって、その人の人生の大半が決定されてしまう。そのように見えるのではないかと思います。
3.資本主義は、1000年後の世界にもあるのか?
まず、お金について。金本位制ではないからと言って、無尽蔵にお金を作り出すことは出来ません。ここではややこしい事は避けますが、お金は有限であるという事です。それを人々が分け合うとすれば、競争が起こります。強いもの、能力のあるものが勝ちます。有限の物を取り合う訳ですから、勝者が居れば敗者がいる。それが資本主義です。能力があるものが勝つのではなく、資本があるものが勝つので、チャンスがあるかも知れないという幻想がある身分制度みたいなものだと思います。
『全人類が幸せになる』と言う事を目標にするなら、資本主義では達成できないという事です。
1000年後の世界では『全人類が幸せになる』という目標が達成できているとすれば、それは資本主義ではない別の何かの制度の下での『民主主義』なのではないかと思っています。
ただし、ひとつだけ資本主義が生き延びる方法があります。それは、有限であるはずの資本(お金)の総量が、十分に存在し全世界の人々のスタンダードインカムが確保できた場合です。もちろん、ある程度の富豪は許容できても、それを独り占めするような大富豪の存在は認められないでしょう。
P子「お金の面はともかく、自分の好きな事だけやってる世界って、本当に成立するの?」
というと、やはり人工知能やAIロボットに期待してしまいます。
P子「1000年後の世界の話だったわね」
今の勢いだと、200~300年も必要ないかもしれませんね。
P子「所で理想郷を作る場合の最大の問題は、食糧問題なんじゃない」
そうですね。今のコロナ危機で顕著に表れてきたのが物流問題であり、食料を輸入に頼っている日本にとっては今後大きな問題に発展するかもしれません。
牛や豚などのタンパク質は製造コスト(環境負荷)が高いので、高タンパクなコオロギが良いそうですが(※4)日本も食料を工場で量産できる技術を持つのが、車や半導体に変わる新しい産業になるかもしれません。
P子「食糧問題は、20~30年後の世界の話じゃない?」
ほな、さいなら
======= <<注釈>>=======
※1 P子「今回はまともなお話なの?」
P子とは、私があこがれているツンデレPythonの仮想女性の心の声です。
※2 ベーシックインカム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%A0
ウィキペディア(Wikipedia)
※3 年収470万円程度
https://www.sakai-zeimu.jp/blog/archives/7051
年収別 手取り金額 一覧 (年収100万円~年収1億円まで対応)
※4 高タンパクなコオロギ
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/18/102500462/
コオロギは食料問題の救世主となるか?
2018.10.29
コメント
buhiii
人類なんて塵みたいなもんだ。コロナ禍で人が一時的に町からいなくなった一か月間の間に人がいなくなった街に繰り出してきた。天敵である人がいないからだ。一年いなくなれば道に木が生える。農地は瘠せ草ボーボー。猿や鹿が山から降りてくる。畑の食い物を漁るためだ。そして農地は原野にかえってく。10年いなくなると道はボロボロになる。家のなかに動物が住処をえる。100年で都市のビルが朽ち果てる。稼働中は無人での原発とソーラー発電だけになってる。いずれ電線の耐用年数や蓄電池が絶えられなくなり漏電、爆発が起こり火災が発生する。最後にのこるのは水力発電のDAMと原発。こいつらも200年持たないだろう。ダムは朽ち果て決壊し下流を押し流す。原発は水がなくなり、核燃料が加熱、大爆発をおこし死の灰を空中にまき散らす。世界中の原発が稼働を停止するか爆発して放射性廃棄物をまき散らす。1000年後は租の死の灰に耐えたものだけ生き残る。租の生物のDNAが書き換えられ別の生き物に進化する。2000年経過すると都市は跡形もなくなくなる。4000年経過すると文明はなくなる。1万年後、新たな生物が陸上を制している。10万年後その制した生き物も別の個体に進化するか淘汰されるかどちらか、、100万年経過、大地震でいまの亜大陸が地殻変動をおこして放射能漏れを起こした原発などは海中か火山に飲み込まれてしまい、またあらたなマントル層で核物質となりはてる。1億年経過、、、10億年経過、、、45億年経過、、、太陽は肥大化し地球を飲みこむ。地球は太陽の一部となり生命は絶滅する。そうして地球は終わる。 人間なんて塵みたいなもんだ。55億年の地球の歴史の中ではなんだろ、まったく意味がないものなんだ。だから100年後、1000年後がどうのこうの考えるのはナンセンス。なるようにしかならない。
ちゃとらん
コメント、ありがとうございます。
改行に関しては、このコラムのシステムの制限の様で、とりあえず、無修正のまま登録しておきます。
読んでて、詩を朗読しているようで、結構感慨深いものがあります。
本当に、どうなっているのか、見てみたいですね。
熊猫
最初に一つ突っ込み。
>フランス革命が、絶対君主制から資本主義への転換を図ったように、
正確には絶対君主制から資本主義かつ自由民主主義への転換です。現在享受している個人の権利や自由については、資本主義に基づいた概念になります。
本コラムの主張は、富の偏在を100%あるいはそれに近いくらいなくすべきと、その手段として富裕層への非常に強い課税をする方が良いだろう、と受け取りました。
#あくまでも強調だと思っています。
>進化系のスタンダードインカム=標準所得保障
ある程度の所得補償は一応賛成。緊急時においての生存権を守るときに特に有効でしょう。
フィンランドが報告書を出していいたと思うので今度確認してみようと思います。
>富裕層からの税金を、今以上に徴収します。例えば年収3000万円以上は、100%の累進課税~、相続税は100%
>企業に課す法人税も~80%とか90%とかの法外な税率
行き過ぎた課税は、国から人も民間の組織もいなくなる可能性が高いので反対です。
また強い推進力がなくなるため、国のあらゆるところで衰退します。
結果的に、富の再分配の原資が消え、その国の人が不幸になることに繋がります。
>利益を貯め込んだり役員や株主だけに還元したりするのを規制するだけなので~社員への配分を増やし、設備投資に使い、研究開発に使えばいいんです。
内部留保は雇用の維持に利用する側面があるのでなんとも。
現在、企業における留保、還元先と還元量、設備投資、研究開発は、大過剰や大不足の二極に見えるので、バランスをとればいいのにと思ってます。
>『全人類が幸せになる』という目標が達成できているとすれば~
幸せの定義をどうするかにかかってきますね。一つ間違えば私権のはく奪と全体主義(思想の統制etc.)に繋がりかねません。究極的には、自由を否定するか、完全平等を否定するか、になるかと。
私は、経済や政治の制度よりも、ある程度の差は受け入れて、富裕層では意識の改革、特にノブレスオブリージュの浸透と、富裕層以外への教育(とくにお金の教育)が『全人類が幸せになる』カギだと思っています。
最後に、
>人工知能やAIロボットに期待してしまいます。
人間の作るものなので…任せすぎて火の鳥みたいなことにならないといいですけど。
ちゃとらん
コメント、ありがとうございます。
極端な課税で、企業や人がその国から逃げるという議論は、社会保障の充実の原資をどうするか議論で必ず出てきますね。
また、全体主義にも、もちろん反対です。ただし、資本主義の否定が全体主義とは思っていませんし、標準所得保障があれば、今以上に自由(職業も行動も)になると思っています。
> 内部留保は雇用の維持に
これも、標準所得保障があれば、雇用の維持費を考える必要はありません。逆に企業として雇用を意識する必要もなくなると思います。
それに、税金を一旦国が集めて再配分するという仕組みではなく、もっと直接的な配分方法があるかも知れません。
# ここ、数十年で実現するとも思っていませんが、このまま貧富の差が広がり続けるのは、おかしいと思っています。
アマゾンのベゾス氏の資産は、12兆円と言われています。人のお金を羨ましがっている暇があれば、自分で稼がなければいけないんでしょうけど、どうなんでしょうね。
モンティホール
おひさしぶりです。
>極端な課税で、企業や人がその国から逃げるという議論は、社会保障の充実の原資をどうするか議論で必ず出てきますね。
企業は簡単に逃げるので法人税率は下手に上げられませんが、所得税は上げても個人はそう簡単には逃げられません。有体に言って金持ちが逃げるだけだというのは私は根拠レスな妄言だと思ってます(笑)。もちろん逃げる奴がゼロだとも思いませんが、収支がプラスになればいいのであって…。
なので本当に今回はチャンスだったんですけどねぇ。COVID-19対策の費用捻出だと言えば反対もできないし、海外に逃げようにも現状逃げる先がない(金持ちが快適に暮らせるような国はほとんどが日本よりCOVID-19リスクが高いし、何より入国拒否される)。
何より『コロナウィルスとの戦争』と抜かしてるんだから、戦時なら戦時なりの策を取るのが当然でしょうに(二次大戦中英米の所得税率は最大90~95%に達しています)。
まぁ日本の政府は昔から金持ちの言いなりなので無理でしょうけどね(苦笑)。
いやしかし、検事総長の定年延長問題がああなるとはさすがに思ってませんでした。だいぶ前からこの国の人間の政治意識には何も期待すまいと思ってたんですが、まだ多少は希望があったようで。
まぁ単にCOVID-19騒ぎのおかげで危機フェイズがはっきり目に見えるようになって、MMPが一気に上昇しただけかもしれませんが(#ターチンしぐさ(笑))。
ちゃとらん
コメント、ありがとうございます。
税金問題は難しいのですが、貧富の差が開くのは色々な弊害が出てくると思っています。そもそも金持ちが働いているというより、働かせて金持ちになっている訳で、働いている(日本の国力に寄与している)人々が冷遇されると、ますます日本の国力が落ちていくのではないか、とも思います。
> いやしかし、検事総長の定年延長問題がああなるとはさすがに思ってませんでした。だいぶ前からこの国の人間の政治意識には何も期待すまいと思ってたんですが、まだ多少は希望があったようで。
これ、すごく賛同です。
もちろん、どのあたりに対して、反対されているかは知りませんが、あれだけの声が上がるというのは、「まだまだ、捨てたものじゃないないな~」と感じました。