退職への旅に出ようとするエンジニア
こんにちは、キャリSEのMocoです!
「ITエンジニア採用とマネジメントのすべて」
とあるイベントで、著書の久松剛さんのお話を伺う機会がありました。本の中に紹介されていた退職ジャーニーマップが、まさにSEの退職までの旅を示していて、最近チームメンバーが離職したこともあり、考えさせられました。
退職は1つの旅であり、その道のりには様々な要因や背景が絡み合います。
特にシステムエンジニアとして働く我々が退職を決断するプロセスは、SEという職種ならではの特性や課題が影響します。
今回は、システムエンジニアの退職に至る旅を、キャリアコンサルタントとしての視点も含めて考察していきます。
1.退職までの道のり
退職を決断するまでの道のりは、単純な決断ではないですよね。
また、退職を考えるときには何が一番大切でしょうか。
金銭面、キャリアの方向性、自分や家族の健康やワークライフバランスなど、多くの要素が考えられます。
幸せや輝かしい未来に向かって人生が豊かになる選択を間違いなくしている、と思い込みます。そして少しずつ迷いながら、この道は間違っていないと退職までの旅に踏み出します。
2.入社時が一番エンゲージメントが高い
転職して、新しい会社で新しい一歩を踏み出す瞬間、誰もがわくわくと期待で胸が膨らみますよね。
新しいチーム、新しい挑戦、そして新しい可能性が広がっています。その時、会社と社員のエンゲージメントが一番高いと言われています。
エンゲージメントに関する調査やアンケート結果からも、入社時のエンゲージメントが高い傾向がみられることが示されています。
なぜ入社時がエンゲージメントが高いのか?
新しい環境や仕事に対する期待や興奮、新しい目標への情熱が高まっているから。
これまでの経験とは異なる新しいチャレンジや成長の機会が待っていることに興奮し、モチベーションが高まることが多いです。
新しい仕事に取り組むやりがいや、自分の能力を試すチャンスに胸を躍らせることでしょう。
この初期の感覚が、モチベーションやエンゲージメントを高める要因となります。
3.上司にできること
上司として、部下が退職を考えてから退職への旅に出ようとする状況は、リーダーシップやチームの健全性に影響を与える重要な課題になります。
退職を考える部下に対して、上司になにができるのでしょうか。
まず第一に、対話と理解。
部下の退職を促す背景や動機を理解するために、定期的な対話を持つことが必要です。部下の感情や考え、価値観を尊重し、オープンで信頼できる関係を築くことが大切です。
次に、キャリアプランニング。
部下のキャリア目標や志向を把握し、その目標に向けての支援やアドバイスを提供します。部下のモチベーションやエンゲージメントを高めます。また、新たな挑戦や成長の機会を提供することも効果的です。
さらに、フィードバックと評価。
部下の成果や貢献を適切に評価し、フィードバックを行うことで、部下が自身の能力や成長を認識し、やりがいを感じることができます。
部下が退職を考える背景には、仕事上や個人生活での様々な課題やストレスがあるかもしれません。
部下が抱えている、小さな悩みや違和感を拾い上げて、転職しなくても部下が求めるプロジェクトやキャリアを、未来を一緒に見せてあげることが大切です。
4.毎月実施していたチーム会では、退職への旅を止められなかった
チーム会を開催してチームのコミュニケーション不足を解消しているつもりでも、部下の不満や懸念を見逃してしまいます。
チーム会というほかのメンバーもいる場で、個人的なナイーブな思いや考えは、直接表明するのには無理があります。仕事上の進捗や問題点、課題などは共有しますが、個別のお悩み相談はできません。
部下が不満や懸念を抱えている場合、きっかけは何にせよそれを早期に察知し、解決策を模索することで、退職への旅を阻止する可能性が高まります。
個別に会話を持ち、部下がチーム会では表現できない懸念を理解し、解決策を共に模索して、退職への旅を阻止することが必要です。
退職への旅を止められなかった場合には、チーム全体の士気やモチベーションが低下する可能性があります。また上司本人の評価にも影響しますよね。
6.キャリアコンサルタントとして(上司として)
キャリアコンサルタントと、上司としての役割は、一部重なる部分があります。しかし、それぞれ異なる視点やアプローチが求められます。
上司としての視点では、部下の退職を防ぐことが主な目標です。そのためには、部下のニーズや不満を早期に察知し、適切な対応を行う必要があります。また、チーム全体の健全性やモチベーションを維持し、チームの成果を最大化することも重要な役割です。
一方で、キャリアコンサルタントとしての視点では、部下の個々のキャリアや人生に関する重要な決定をサポートする役割があります。そのためには、部下のキャリア目標や志向を理解し、彼らが自己実現を果たせるように適切な支援を提供する必要があります。
キャリアコンサルタントとしても上司としても、部下の成長と幸福を促進するためには、彼らのニーズや志向を理解し、適切なサポートやアドバイスを提供することが不可欠です。
まとめ
どの立場においても、退職を防ぐためには彼らのニーズや志向を理解し、適切なサポートを提供することが求められます。
以前、メンバーに対して仕事の幸福度や満足度についての調査を実施しました。会社やプロジェクトから求められていることを理解しているか、理解した上で熱意をもって働いているか、支援があるか、モチベーションは保たれているか、などのような質問です。
メンバー個人が抱いている違和感に、感覚的に気づけなくとも、定期的に実施することで、ポイントが高い状態から低い状態に急に変化した、など数字で見ることもできます。
退職を考えるきっかけは、些細なことかもしれません。やりたいプロジェクトがあるが今の会社では実現できなそうだ、同じ現場の他のBPさんの会社のほうがよさそうだ、ちょっと転職サイトで自分価値を調べてみよう。。。など、でしょうか。
一歩退職への旅に出た部下に対して、その後の対応や提案によって彼らの戻ってくる可能性が変わります。
部下が組織やチームとの関係を再構築し、再び満足度を感じることができれば、彼らの復帰も可能性の一つとなります。
退職の旅人のニーズや志向を理解し、支援や提案、解決策を提供することで、彼らの復帰を促進することができると考えます。
一度組織から離れてしまった旅人ですが、アルムナイ採用という希望を持っても良いですね。
アルムナイについては、また別の機会で触れたいと思います。