「できることをする」の範囲は?能力の過小評価による機会損失(1)
こんにちは、蓑原です。
今回も引き続き、日本で一番人口が少ない県、鳥取県の片田舎から、IoT導入のための社内改革について、情報発信をしたいと思います。
とその前に、10月21日に発生した地震では、たくさんの方々からの励ましのメッセージや援助をいただき、大変ありがとうございました。この場をお借りしてお礼申し上げます。
前回は、生産現場の現状として、5S活動のお話をいたしました。
5S活動の仕組みの悪さ、特に「躾」という仕組みに、否定的な意見を言わせていただきました。会社に起こる問題の原因は、すべて経営者次第だと思いますが、現場レベルではどうでしょうか。
管理職についておられる方々や上司と言われる立場の方々、さらに5S活動の事務局のような方々についても、「組織が機能するマネジメントができているか?」を問われる立場にあると思います。
「人が育つ」環境、風土づくりが大切・・・と書きましたが、今回はその風土づくりについて、より現場レベル、個人レベルで考えてみたいと思います。
■ どこまでが仕事?
早速ですが、みなさんにとっての「仕事」とは、何をすることでしょうか?
小売業なら「商品を売ること」、飲食業なら「食事を提供すること」、IT業なら「ソフトウェア・システムを構築すること」、・・・など、ごく簡単にではありますが、このような定義になると思います。
弊社のような製造業では「モノをつくること」が仕事になります。
しかし、間接部門といわれるような方々は、モノは作りませんね。また、製造部門におられる方の中でも、「管理者」と呼ばれるような方々もモノを作りません。たとえば、前述の管理職・上司・5S活動の事務局の方々・・・。モノを作ることも並行しておられるプレイングマネージャーもおられるかもしれません。モノを作っていない時間も、ちゃんと仕事していますよね。
会社には「定款」っていうものがありまして、そこには会社の事業の目的が書かれています。一般的に、
第〇条 当会社は、次の事業を行うことを目的とする。
(1) ○○の製造及び販売
(2) ××の輸入及び販売
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(n) 前各号に附帯又は関連する一切の事業
と、必ず最後に、「附帯または関連する一切の事業」と書かれ、結局、何でも仕事だと謳われています。
私はこれを、(1)~(n-1)までを「直接業務」、(n)を「付帯業務」と分け、「直接業務」は事業の売り上げに直接貢献する業務、「付帯業務」は直接業務の効果をより高めるものと定義づけています。
■ 監督とプレーヤー
少し話を脱線させますが、プロ野球の名監督が弱小球団の監督に就任された当時の話です。
練習後のミーティングの中で、ある選手が監督に対し、
選手 「監督が代わっても、私がやることは変わりませんから・・・」
監督 「変わってもらわないと困る」
というようなやり取りがあったそうです。
まだ、社会人になって間もない私は、確かに野球をすることが変わるわけではないし、変われって言われても、監督が代わったからって、強くなるとか上手くなるとかって、すぐにそうなるものでもないし・・・。何なら「私を上手くなるようにしてくれ!」とでも言いたかったのでしょうか?
なんとなく不思議なやり取りだなぁと思っていました。
しかしその後、その選手は、試合中ベンチで座るときには、ずーーーっと監督の傍に座り、監督の小言やボヤキまですべて聞き取っておられたんです。
■ 「変える」ということと「できることをする」ということ
私は2代目社長ですが、後継者は、ほとんどの場合、「変える」ということを迫られます。
先代のやり方に疑問を持ち、反対し、時にはぶつかり、でも変えられず・・・という後継者さんが多いんじゃないでしょうか。
逆に、先代に言われるまま、先代のやり方のまま、今はオヤジのいうことを聞いておけばいい・・・みたいに、悪く言えば波風立てないようやり過ごす、よく言えば火消し役の後継者もまた多いと思います。私は、悪く言えば・・・の方でした。
この期間にどちらだったかはどうであれ、社長に就けば必ず何かを変える必要があります。(正確には決める必要がある)
現場サイドでも、人事異動などによりその部門の長となり部下を持つ立場になるとき、前部門長のやり方を変える必要が生じることもあるのではないでしょうか。そういう意味では後継者と同じような経験をされると思います。
しかしいくらがんばっても、その時突然に、偉大な経営者のようになれるわけではなく、急に売り上げや利益が回復・上昇するはずもなく、人が育つ環境になるわけでもなく、経営が良くなる5S活動ができるようになる、はずがありません。
では、この時にやらなければならないことは・・・?
「できることをする」
ということだと思います。
それも社長をはじめ、新入社員に至るまで、会社に属する人全員が「できることをする」。
前述の野球選手は、今自分ができることは何か?ということを考え抜いた結果、監督の一挙手一投足すべてを自分のものにしようと行動された結果だと思います。自分の考え方を変え、まずは勉強されたんですね。
野球選手の仕事は野球をすること。バットやボールを触っていませんし、グラウンドにも出ていませんので、一見仕事をしていませんが、定款でいうところの (n)前各号に附帯又は関連する一切の事業 → 野球が上手くなるための仕事 にあたる業務をされたことになると思います。(多少強引)
仕事の定義をしたところで、現場レベルの仕事について上司と部下の関係から分析をしてみたいと思います。
少し長くなりますので続きは次回に。
有限会社ミノハラ製作所 蓑原康弘