第3回 システム開発とは「感謝/助け合いの連続」ではないかという考察(2)
こんにちは!
このところ、だいぶ涼しくなってきて、スーツの上着を着ても、そんなに苦ではなくなってきましたね……。
前回はPJ体制の観点から、仕事における「感謝/助け合い」の仕組みを考えてみましたが、今回は、一緒に仕事をする上司・先輩・後輩といった、「上下の仲間」との接し方を例に「感謝/助け合い」の仕組みを考えてみたいと思います。
上下の連携というと、いろんな観点が考えられそうですので、特に「仕事の任せ方・お願いの仕方」という視点で書いてみたいと思います。
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■強いリーダーシップ。本当に強い? 弱いリーダーシップ。本当に弱い?
今回もPJにおける簡単なエピソードを2つご紹介します。
1つ目は非常に強権的なリーダーシップをとるPMの話。
タイトなスケジュールでの開発だったことは否めなかったのですが、お客様との調整から、細かい設計まで、全て自分が把握していないと気が済まない。しかも自分が正しいと思ったやり方で強引にPJを推進するタイプのPMでした。
結果、彼が強力にPJを推進したおかけで、システムは納期に間に合うようにリリースされました。しかしながら、そのPJで働いていたメンバは、システムが落ち着くと同時に、別の会社やPJへ移っていったのでした。
もう1つのPJ。こちらは調和型のスタイルでプロジェクトを進めていくPMの話。
PJ外の人から見ると、「あの人、本当にPJまわしてるの?」なんて噂される程、メンバーを頼りに仕事を進めます。
相談されるメンバーも、これまで経験したことがない作業も多く、試行錯誤しながら作業を進めるために手戻りや、遅れも多発……。
非常に多忙を極めましたが、メンバーには達成感が残りました。
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この2つのPMの「仕事の任せ方の違い」について、どちらが正解か、などとは思いません。
正解は、その時その時の状況に応じて変わっていくものです。
ただし、プロジェクトマネジメントに求められるものが、「品質」「コスト」そして「人材の維持とハイパフォーマンス化」にあるのであれば、後者の進め方が望ましい場合も多いでしょう。
■SEは機械なのか?
PJメンバは作業要員ですが、機械ではありません。
特にシステム開発の仕事は、「自ら考える」ことが必要な仕事です。自発的に工夫したり、考えたりしながら作業を進めているSEにとって、単なる作業マシーンの役目を指示されることは、とても苦痛なのではないでしょうか。
上記の2つ目のエピソードの「弱腰」PMは、メンバーに相談することで、メンバーは「任せられている」「期待されている」といった認識を持ち、自発的に作業に取り組みました。
自発的に作業をすればするほど、彼らはモチベーションが上がり、つらい状況も乗り超えることができたのでしょう。
もちろん、このPMが単なる「丸投げ」をしていたのであれば、彼らのモチベーションは上がることもありませんでした。試行錯誤するメンバーと一緒に考え、時には手助けをしたからこそ、メンバーは継続的に期待に応えようとしたのです。
■期待に応え、感謝する事でまわる助け合いサイクル
「期待」を感じ、期待に「応える」。応えてもらったことに「感謝」する。
この助け合いサイクルがうまく機能したからこそ、メンバーはモチベーションを維持できたのだと思います。
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このようなパターンは「サーバント・リーダーシップ」とも言われますが、相手の特性に合わせた「任せ方」が極めて重要になります。
異動して間もないPM/リーダーが、最近メキメキと経験と積んできている成長意欲の高いメンバーに単純作業の権限をいくら与えたところで、彼らのモチベーションは停滞するでしょうし、あまりにもストレッチングな作業を期待したところで、期待に押しつぶされてしまうメンバーもいるかも知れません。
要は、強腰なのか、弱腰なのかということではなく、「相手を知る」という事が、仕事を任せる(お願いする)ためには、より重要だということなのです。
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今回のエピソードも、基本的には自分の体験を元にしています。もちろん、この話は上から下への仕事の任せ方に限った話ではありません。下から上に依頼する場合や、横同士で助け合う場合も同様です。相互に、相手を知った上での助け合いサイクルが重要なのです。
相手を知るためには、やはりコミュニケーションのとり方が重要です。次回は、コミュニケーションの観点から「助け合い」を考えていきたいと思います。
それでは次回もどうぞ宜しくお願いいたします。