第4回 システム開発とは「感謝/助け合いの連続」ではないかという考察(最終回)
だいぶひんやりとしてきましたね。夜は肌寒い位です。温かいコーヒーがおいしい季節になってきました。
さて、前回までは
- システム開発は体制的にも「感謝/助け合い」の仕組みである
- 上下や横とのリレーションには「助け合いサイクル」が重要で、サイクルをうまく機能させるためには「お互いを知る」ことが大事
という内容を書いてきました。
本テーマでの最終回となる今回は、「お互いを知る」ために重要なコミュニケーションについて考えていきたいと思います。
■SEは機械ではない。もちろん、あなたの話し相手も機械ではない
前回のコラムにも書きましたが、SEは機械ではありません。当然あなたの話相手も機械ではないはずです(ですよね?)。
0か1を返して欲しい場合も、単純に「0か? 1か?」なんて聞き方をしても答が返ってこない場合もあるということです。
もう少し具体的にお伝えするために、今回もエピソードを1つご紹介します。それは以前所属していたある企業で、採用リクルーターをやった時の事前研修での話です。
内容はもちろん、採用方針や内定者目標数、チェックポイントなどの共有がメインだったのですが、わたしが今に至るまで忘れることができないのが「学生さんとの話し方」についてのある演習なのです。
本当に単純な演習でした。皆さんももし可能であればやってみると面白いと思いますよ。
- まず2人1組になります。仮にAさんとBさんとします
- Aさんは相手に向かって座ってください。Bさんは、Aさんに対して90度右(あるいは左)を向いて座ってください(要するに体ごとそっぽを向いている感じ)
- AさんからBさんに向かって話しかけてください。BさんはAさんに聞かれた内容について、いつもどおりに受け答えをしてください(決して姿勢は変えないで下さい)
■たったこれだけ?
これだけです。
たったこれだけなのですが、普段はあまり意識しないことに気づくことができると思います。
まず、なんといっても話しづらいですよね。話しづらいですし、たぶん聞くほうもつらいと思います。
そのうちAさんは、Bさんにむかって話すのをやめてしまうかも知れません。BさんもAさんの話を聞くのをやめることだってあるかもしれません。
要は、コミュニケーションとは「伝えたい・聞きたいという姿勢」があって初めて成り立っているということです。単に要件を伝えることがコミュニケーションではないのではないでしょうか。
このことは、本当に単純な気づきではありましたが、わたしにとっては耳の痛い話でした。
なぜなら、お客様と仕様の打ち合わせをし、帰って資料を作成し、次の日に再度お客様と打合せをし……というエンドレスなサイクルで多忙を極めていた当時のわたしは、PJメンバーとの会話も、PCから目を話さずにしていたり、あるいは考え事から頭を切り替えられずに、「上の空」と取られかねないような態度をしていることが多かったからです。
こんな対応をされたら、相手はわたしに気軽に話しかけなくなるばかりか、大事な話もしづらい状況になってくるでしょう。そのうち、PJ運営に支障をきたすようなリスクにもなりかねません。
■潤滑油としての、コミュニケーション
コミュニケーションは、「言うは易し、行うは難し」で、実際はなかなか奥が深いと思っています。
けれども、組織で仕事をしている以上、本当に重要な「ビジネスの根幹」なのではないかと考えています。
助け合いや感謝の仕組みも、使う側の気持ちや姿勢では硬直化していってしまいます。コミュニケーションは、機械を動かす潤滑油のようなものですね。
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なんだか難しそうなタイトルで、3回に分けて自分の考えを書いてみました。
もしかすると、どんな業界でも共通かも知れませんが、仕事は「人」と「人」との関わり合いである以上、その関わり方はもっとも大事にしないとならない要素なのかも知れませんね。
さて、次回からはまた違ったテーマでコラムを書いて行きたいと思います。
それでは次回もどうぞ宜しくお願い致します。