キャリアや「働く」ということについて考えます

第2回 システム開発とは「感謝/助け合いの連続」ではないかという考察(1)

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 このコラムを読まれている方は、現在あるいは過去に、何らかの形でシステム開発に関わった方が多いと思いますが、改めて、システム開発の仕事は、様々な「感謝」の連続で成り立っている、ということを感じています。

 今年前半は、職場の活性化に関する書籍や雑誌の特集が多かったような気がしますが、仕事はやはり雰囲気良く進めて行きたいですよね!

 これから何回かに分けて書く内容は、職場で雰囲気良く仕事をするための要素として「感謝/助け合い」が1つのキーワードになるのではないかという内容です。

 モノの本にあるような形式ばった類の話ではなく、自分の経験などからざっくばらんに書いて行きたいと思います。

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入社早々に思い知る、PJ体制における助け合いの仕組み

 それは、入社後初めて配属されたPJでのこと。そのPJは人事給与ERP導入を目的とした、非常に大規模なPJで、最盛期には延べ400人は関わったのではないかと思います。入社1年目のわたしは、そのPJに、人事業務チームの業務SEとして配属されたのでした。

 新入社員だった当時のわたしは、人事給与の業務知識はもちろんのこと、「仕事として行う」システム開発の全体像も掴み切れていない状態。さらにはPJメンバも、システム規模も相当だったこともあって、「自分がやっていること」が一体何なのか、全体の中でどんな位置づけにあるのか、等、把握に手間取っていました。

 そんな中で、なかなか理解できなかった、「個々の作業」と「全体」を結び付けてくれた出来事の1つが、「共通関数」チームとの出会いでした。

共通関数チームとは?

 プログラミングをされる方は、考え方についてなじみ深い点もあると思いますが、1つの連続する処理の中で、何度も同じような処理を実施しないとならない場合、その処理はサブルーチン化してコールした方が、工数だけでなく、その後のメンテナンスを考えても効率が良いと思います。

 そして、わたしが所属した大規模PJには、PJ全体の機能を確認しながら、共通化できる処理をサブルーチン化するチームが存在したのです!

 こういったチーム体制は、PJ管理における標準化の一環だったと、当時を振り返れば分かります。しかしその時のわたしに強く印象づけられたのは、「PJで働くということは、それぞれが助け合いをしていくということなんだな」というメッセージでした(もちろんPJの全体理解も進んだわけですが)。

 そう、わたしはシステム開発におけるPJ体制を「皆がうまく助け合いができる体制」と捉えたんですね。

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開発フェーズで頻繁に飛び交う影響調査。ありがたいと取るか? 迷惑と取るか?

 もう1つ、エピソードにお付き合いください。

 それは、仕様調整も大詰めに入ってきた段階の、あるPJでの話。各業務機能の担当SEが、それぞれお客様と機能の詳細要件を詰めていました。かくいうわたしも業務機能の担当者として、お客様との要件詰めの打合せに連日明け暮れる日々……。

 そんな中、徐々にPJ内で回覧が始まったのが「影響調査票」と呼ばれるものでした。

影響調査票ってなんだ?

 仕様固めも大詰めになれば、確定した仕様について、関連する他の業務機能や、システム全体への影響を考えねばなりません。

 自分で考えただけでは、その影響度合いは計り知れないのが正直な所。コード値を変更したことによって、そのコード値を参照していた他の機能にどんな影響が出るか(そもそもどの機能がそのコード値を参照しているのかも?)、大規模システムになればなるほどその影響度は見えづらくなります。

 影響調査はそんな状況を回避するために回覧されるのですが、仕様確定最終段階になると、ちょっとした変更でもその影響は甚大になりかねません。そんなこともあって、この時期は、たくさんの影響調査が回覧されていたのでした。

 この影響調査。ありがたいと取るか、迷惑と取るか。

 当然、ありがたいものです。とはいえ、忙しくしていると、どうしても沢山の調査票を見るのが億劫になる時もあります。

 億劫になっている時は、その調査票が「助け合い」のために回覧されていることなんて、きっと頭の片隅に行ってしまっているんでしょう。ひいては自分を助けてくれるかもしれないのに……。

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全ての仕事が「助け合い」の仕組み

 本当にちょっとしたエピソードではありましたが、そんな経験からわたしが感じたのは、組織であれPJであれ、人が集まって何かを成し遂げるということは、どれだけ助け合いながら(感謝しながら)進めることが重要であるか、ということです。

 非常に単純なことなのに、とても奥深く、難しいことです。

 PJ(組織)で仕事をするということは、助け合いをしていくということ。

 そんな当たり前の所から感謝の気持ちを再確認してみるのも、よいのではないでしょうか。

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 次回はもう少し、違った側面から同じテーマでコラムを書いてみたいと思います。

 その昔、新卒採用のリクルーターをしていた際に、システム開発は例えるなら文化祭、なんて学生さんにお話ししていましたが、皆で力を合わせて(助け合って)1つのものを作っていくこの仕事って、まさに文化祭だと思いませんか?

 それでは次回もどうぞ宜しくお願いいたします!

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