ウサギとカメの寓話でカメが取るべき弱者の戦略
ウサギとカメの寓話、ご存知でしょうか?もはや説明不要だと思いますが、簡単にあらすじをまとめますと、ウサギとカメがかけっこをするのですが、圧倒的な差で勝つと思われていたウサギが、事もあろうに途中で昼寝をしてしまい、カメに逆転負けを喫するというお話しです。ウサギはカメを、カメはゴールを見ていたことが勝敗を分けました。この面白いストーリーは、子どもたちへの教訓、時には反面教師として語り継がれているのです。
現実の世界にも起こりうる話なのでとても良い教訓だと思いますが、ぼくはちょっと物足りなさを感じています。なぜならば、カメに戦略性を感じないからです。圧倒的な劣勢を知りつつ、ウサギに煽られ感情的になって勝負を挑んでいるし、何か秘策があるのかと思えば、以降ずっとノコノコとゴールへと向かうだけであまりにも無策です。現実の社会にもいる、口だけの男に近いイメージでしょうか?ウサギが寝てくれたのは結果論であって、勝利への再現性がまったくありません。ようするに、外的要因に頼らざるを得ない以上、褒められた戦略ではないのです。
現実にも似たような話はたくさんあります。例えば、ライバルと比較してプログラミング能力が劣勢だったとします。当然、プログラミングにおいては勝つことは難しいわけです。ライバルよりもアウトプットを出すためには、ライバルが寝てくれる事を祈るしかありません。現実的には、ライバルが帰宅したあと居残りで頑張るか、ライバルに長期休暇をとってもらうとか、そのあたりが関の山です。これは戦略ではありません。陸の上では勝てないカメならば、水中戦に持ち込むなどの工夫をするのが戦略です。プログラミング以外に活路を見い出すのです。
じつは上記の例、ぼくの体験談でして、ライバルはプログラミングの才能に恵まれていました。ぼくのレベルでは太刀打ちできない程の圧倒的な差で、ビハインドを量でカバーしようと、深夜近くまで居残りをしてました。上述の通りこれは戦略ではないと気づき、プログラミングでの勝負から逃げることにします。彼に勝てるにはどうするべきかを考え、ぼくが出した答えが人との折衝です。
ライバルはコンピュータとの対話に長けていましたが、非常に内気な性格で、他人との対話が苦手でした。プログラマとしては優秀ですが、SEとしては致命的です。兎にも角にも、このライバルの出現によって、ぼくは自分の強みに気がつくことが出来たのです。結果的に同年代よりも早く上流工程にチャレンジさせてもらえたり、経営層の方々と一緒にお仕事をやらせて頂ける機会に恵まれました。もしあの時プログラミングに躍起になっていたら、永遠の2番手としてもがき苦しんでいたと思います。
自分と他人の能力を見極め、勝つための方策を練るのが戦略です。愚直に頑張るのも大切ですが、無策では勝てません。置かれた状況を把握し、状況に合わせた戦略を練り、戦略に沿った行動計画を立て、それを愚直に繰り返す。ビジネスの世界で大切なのは勝率です。勝率を上げるためには戦略が必要です。弱みを認め、強みに集中すれば、例えカメのように劣勢であっても、勝利を手にすることは出来るのです。