大学卒業後、バーテンダーを経てIT業界へ。現在はインテリジェンス ビジネスソリューションズにて、PMとして数多くのプロジェクトに携わる。

デキるエンジニアは、段取り力が高い

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 プロジェクト型で仕事が進むIT業界、特にソフトウェアなどの開発分野では、プロジェクトの段取りがすべてのカギを握ります。さまざまな部署や人にタスクが割り振られているため、1チーム、1人の遅れが全体に影響するためです。

 そんな環境だからか、仕事ができるエンジニアは例外なく段取り力が高い。デキる30代になりたい人には、必須のスキルと言えます。

 しかし、言うはやすし。仕事を完全に管理し段取り良く仕事を進めることは、考える以上に難しいものです。実際20代のエンジニアを見ていても、今日割り当てられたタスクに手いっぱいになり、気付いたら明日のテストの準備がまったくできていない……など、段取り良い仕事との距離はまだまだ遠い人がいっぱい見られるようです。

 30歳を過ぎるまでに確実に身に付けておきたい「段取り力」、仕事を通じてどう獲得すればよいのでしょうか。

―― 3年目までは「自分の仕事を遂行する」

 3年目までに確実に身に付けたいのは「与えられた仕事を期日通りにこなす」こと。そんなの当たり前だと思われるでしょうが、期限ぎりぎりに「やっぱりできません」という報告をもらうことがしばしばあります。

 与えられたスケジュールどおりに仕事をこなすために、まず何をやるべきか切り分け、スケジューリングをするところまでは、やっている人も多いでしょう。しかしここで見落としがちなのは、日常業務では急なアクシデントが発生したり、思ったより作業に時間がかかることはよくある、ということ。バッファも見積もったスケジュールを立てるとともに、毎朝そのスケジュールを確認し、予定とずれた分を調整したリカバリプランを立てるようにしましょう。

 また、与えられた仕事をきっちりこなすために必要な、技術の基礎を身に付けるのもこの時期です。スケジュールを組むことで自分の仕事量を見える化し、技術の勉強をする時間を見つけ出すことも、同時に意識しましょう。

―― 4~5年目からは「プロジェクトを俯瞰して捉える」

 技術の基礎も付いてきて、自分に与えられた仕事が確実にこなせるようになるのがこの時期。また、20代後半から30代にかけて、少しずつプロジェクトマネージャとしての役割を求められ始める時期でもあります。プロジェクトマネージャとしてまず問われるのは、プロジェクト全体を俯瞰したうえで、どうタスクを割り振り進めていくかという“段取り”です。与えられた仕事をしっかりこなすだけでなく、プロジェクト全体を見る視野を4~5年目からは持ち始めてください。

 自分たちのチームは、プロジェクト全体のどこを任されていて、この前後にどんな作業があるのか、常に意識してみましょう。例えば、違うプロジェクトの人に仕事内容を聞いてみたり、自分で書いた設計書やWBSを先輩にレビューしてもらったりすることで、自分が今まで知らなかったプロジェクトの面が見えてくるはずです。自分たち以外のチームがやっている作業の流れが見渡せるようになると、プロジェクト内のみだけでなく、そのあとの工程に段取りがくめるようになります。

 例えば自チームが開発しているシステムを、次にテストを担当するチームは、どのくらいの期間で、どんなテストを実施するのか知っていますか? テスト期間から再調整、リリースまでの期間を考えると、自分たちはどの期限までに開発を終わらせるべきか、ざっくりスケジュールがイメージできるでしょうか。

 全体の流れを知っていれば、仮に開発のスケジュールが大きく遅延したときも、どのチームとどう調整をすればよいのかなど、リカバリープランも立てやすくなります。また、次行程を意識することで、テスト運営方法が分かりやすい設計書を書き、テスト実施者が業務をスムーズに行えるようにするなど、より配慮した仕事ができるでしょう。

 「段取り力」とは、見えている期限をもとに、見えているタスクの分配をするだけでなく、起こりうるトラブルや見えざるタスクを想像し、余裕ある仕事の進め方をあらかじめ決めることです。そのうえでも、開発の大きな流れを知っていることは重要になるのです。

- 段取り力があれば、トラブルも怖くない

 もちろん、当初のスケジュールではどうしようもなくなることもありますし、トラブルが起こらないプロジェクトはあり得ません。その場合も、現状をどう確認し、だれに報告し、どう対処するかという段取りをきちんと決めさえすれば、意外とトラブルが大きく発展することは少ないもの。お客様や上司が焦るのは、その段取りが見えないからでもあります。

 20代前半、後半とステップアップし、自分自身にもお客様にも助けとなる「段取り力」を身に付けていきましょう。

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