疲れた身体と心に響く書籍をご紹介

書籍「誰もが時間を買っている」を読んでみた。時間と消費の関係を理解し、『時間価値』を生み出す!【第11回】

»

皆様、いつもご覧頂きありがとうございます。平岡麻奈です。本を購入する時、大きな本屋に出向き、多数の中から選りすぐりの1冊を見つけ出そうとする傾向があります。この時私は、「選ぶことに時間をかける」ことに意味があると感じ、実際に行動しています。日々、自らの生き方を「選ぶ」立場である中で、出来る限り時間の掛からないスマートさを求めながらも、大切なことに時間をかけることは「必要」とも感じます。

近年、コンビニでは雑誌だけでなく、単行本も販売されることが増えました。定期的に本を購入する方からすれば、本に触れる機会が多くなったと感じ、あまり購入しない方に関しても、目に触れることが多くなれば、自然と読んでみようかという気持ちが湧き出るかもしれません。今回紹介する本は、仕事帰りのコンビニで出会いました。何気なく雑誌コーナー近くを歩いていた時にタイトルが目に留まりました。エンジニアライフコラム「平岡麻奈のちょっと一息」の第十一回は『時間』をテーマに「誰もが時間を買っている」を紹介してみようと思います。

誰もが時間を買っている.jpg

★誰もが時間を買っている★
【著】鈴木 謙介
https://www.amazon.co.jp/dp/4860088247/

目に留まった理由はおそらく、休日にテーマパークへ行く予定があるからです。テーマパークといえば、各箇所に『時間』を有効的に活用し、なるべくストレスなく楽しみたいという「効率」に重点を置くと同時に、「ゆっくり色々なことを体験したい」という気持ちも生まれます。本書では冒頭より、東京ディズニーリゾートとUSJを比較し、「時間価値」を高めるふたつの手法を紹介しています。「体験や感動は、効率的な時間の使い方と相反するもの」であること、また「どうやって消費者に時間を使ってもらうか」という視点から、「時間と消費」の関係を紐解いていきます。

・減算時間価値(引き算の時間価値)
→消費に関わる時間(選択、検討、待機、廃棄など)のうち、消費者にとって無価値な時間をできる限り減算することで価値を高める

・加算時間価値(足し算の時間価値)
→消費に関わる時間とその周辺の時間のうち、消費者にとって価値のある時間をできる限り加算することで時間の価値を高める
(Chapter,引き算の時間と足し算の時間 P.12-13)

東京ディズニーリゾートでは、少ない待ち時間でアトラクションを利用できるアトラクション単位での「ディズニー・ファストパス」の発行を、従来は園内の発券機まで出向いて行っていました。「ファストパスを発行するための行列」は、時間を短縮するために「時間をかけて」並ぶこととなります。この「ファストパス」をアプリで取得できるサービスを開始したことにより、「ファストパスを取得するために並ぶ」時間が差し引かれ、園内で過ごす時間の価値を高めることに繋がりました。これは、無駄な時間を短縮する「減算時間価値」の提供と紹介されています。

またUSJでは、待ち時間に対して「行列に並んでいる時間もアトラクションの一部に組み込むような工夫」が施されてることにより、ただ並ぶだけの待ち時間ではなく、「アトラクションの世界観」の一部として受け止められる時間価値が生まれます。これを、価値ある時間を付け加える「加算的時間価値」の提供と呼び、東京ディズニーリゾートとの違いがあることが解ります。この2大テーマパークの戦略の違いは、優先搭乗券の扱いの違いとしても現れています。東京ディズニーリゾートでは、発行時間などに制限はあるものの「無料のサービス」であり、USJは追加料金を支払う「有料サービス」です。こちらは事業戦略上の差となりますが、どちらにおいても、消費者に対して「いい時間」を提供することを目標としています。「時間価値」が重要である理由、それは「人類に最後に残された限界こそが『時間』」であるとされ、人類にとって「時間の制約」こそ、どうしても克服できないことである為です。

消費者にとっては、どれだけ体験の内容が素晴らしくても、それに時間を費やすことで、ほかのことができなくなるというリスクがあります。
(Chapter2,なぜ時間価値が重要になったのか P.67)

お金は貯めたり、増やしたりすることは可能ですが、時間はそのようにはいきません。「その体験に時間を支払ってもいい」という価値の提供こそ重要であり、送り手中心の「魅力的な体験」を作り出すだけでなく、「消費者はどのような時間価値ならば、ほかの時間よりも優先したいと思うか」という発想の切り替えが求められる時代となります。

時間価値を提供するためには、「ムダな時間を引き算する」という減算時間価値と、「価値ある時間を足し算する」という加算時間価値のふたつの視点が必要となります。減算時間価値だけでは、時間を短縮することが自己目的化となったり、時間をムダにしないための「絶対に失敗しない選択(テッパン主義)」が、本当に欲しいものを見失うことにもなりかねません。本質的に価値が高まるような取り組みを提供すること、これは「加算価値の提供」と繋がります。例えば人気のあるレストランの待ち時間。周りにはすぐに入ることが出来るレストランがある中で、敢えて「時間」を多く消費する場所を選ぶ。ここには「期待度」が存在し、「長くても構わない」という時間が提供されています。「期待度」が高まるこそ、「待たされている」という感覚が小さく、「待っている」という気持ちの強い「待ち時間」として過ごすことが出来ます。「せっかくなら、いい時間を過ごしたい」という消費者の気持ちは、「自分にとって心地の良い時間」です。「いい時間」を生み出す消費とは何かについて考えるきっかけとなる1冊です。

私のコラムは私のTwitterアカウントやInstagramでも紹介しますので、よかったら、フォローください。

※Twitterではコラム紹介が主になり、FacebookとInstagramではプライベートを投稿しています。

・Twitter:https://twitter.com/GBy49

・Instagram:https://www.instagram.com/hhmanariru/

・Facebook:https://www.facebook.com/manariru.htt

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する