エンジニア歴20年のおっさんが語る、いろいろな経験やこれからのソフトウェア業界についてです。

第1話 いじめちゃあかんよ、たとえ上司でも

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 「エンジニアライフ」ということで、少しわたしのことを書きたいと思います。

 わたしはそれこそマイコンから大型汎用機、パソコン、組み込みから言語もアセンブラ、C/C++、VB、Javaなどメジャーなものは一通り経験しましたし、業務アプリからデバイスドライバ、PHSや携帯電話、クライアント/サーバシステムやWebアプリなど言われるがままに作り散らかしてきました。その合間に電気工事や電話工事、テレビアンテナや衛星放送受信アンテナの設置もやりました。ホントに仕事内容に関してはポリシーゼロです。

 あまりわたしの歴史をたどっても仕方ないので、3、4回に分けてあまり他の人が経験しないような(全然いないとは思うけど)変わったエピソードを書きたいと思います。

 1回目は「逆パワハラ」です。他の方のコラムでもいろいろな理由で体調崩した話は書いてありますが、わたしの場合はその逆です。新入社員の分際で、リーダーを追い詰めて転属せざるを得ないような状況にしてしまいました。いや、悪気はなかったんだけどね。それだけに今でも少し考える事はあります。

■逆パワハラ?

 前にも書きましたが、マイコンボード設計者として新入社員で入社して数カ月後にソフトウェア部門(PG)に転属になりました。転属先では大手メーカーに派遣され、2カ月の研修を経てお客様である某銀行のシステムセンターに常駐しました。

 そこでは「メーカーの総括グループ」といって、各地に散らばる開発拠点に対していろいろな連絡をしたり、お客様との会議をセッティングしたり、テスト環境を構築したり、問題点や疑問点を受け付けて調べるか適切な人から聞いて回答するようなことをしていました。

 まだ開発の初めの方だったのでメーカー社員のリーダーR氏とわたしの先輩2名の合計4名で構成されていました。実はプログラムなんてほとんど書かない部署なのですが、テスト環境を構築する時、通信シミュレーションの一部をアセンブラで書く必要があって、どうもわたしはそのために引っ張って来られたようでした。

 いくらアセンブラを知っててもそこはぺーぺーの新入社員。SEや知ってる人に聞きながら毎日細々と作業をしていました。R氏には「なんとかなりませんか?」なんて相談しても「いやー」なんてはぐらかされる毎日でした。このR氏、高学歴で見た目も性格も優しくて、お客様からも他の社員からもかわいがられている人でした。今で言うところの「草食系」でしょうか。話をするとニコニコしながら「分かった」とは言いますが、1度も解決したことがありませんでした。

 配属されて数カ月経ったある日、非常事態が発生しました。先輩2人が一度に退職してしまったのです。聞いたのは退職数日前。引き継ぎどころか仕事もロクに憶えていないのに。ただ、その時はどうせすぐ誰か来るだろうとは思っていましたが、結局そこから約2カ月R氏と2人で作業するハメになりました。

 さすがに会社も2カ月間黙っていることはなく、他の部署の先輩や同期が手伝ってくれたりしました。ただ、R氏は相変わらずでした。さすがに人がいない状況で毎日終電になってしまう程バタバタしてるのに、R氏はマイペース。気がつくと帰っているし、相談しても作業をお願いしても何1つ片付きませんでした。

 これが続いてさすがにわたしも余裕がなくて毎日R氏を責めるようになりました。わたしとしては「使えないリーダー」のレッテルを貼ってしまい、しまいにはリーダーを無視して仕事を進めるようになりました。最初はニコニコ「ごめんねー」って言ってたR氏ですが、そのうち顔色が悪くなり、無断欠勤するようになりました。「いない方がせいせいする」なんて思っていましたが、そのうち本当に来なくなりました。そして、まもなく怖そうな顔した(失礼)R氏の上司が代わりにやって来ました。

 さすがにわたしもこれはどうしたんだろう? と思って聞いてみると、「オマエがいじめるからじゃん」と言われました。

 実は真面目なR氏は自分なりに何とかしようと頑張り、上司にも相談し、お客様にも相談した挙句、それでもわたしに毎日「何とかしろ」と責められて挙げ句の果てに相手にされなくなってショックを受け、会社に行っても仕方ないと思いこんで軽いうつ病になったようでした。

 R氏は自分の力不足をメーカーの人やお客様にお詫びをしながら、何とかわたしの仕事がスムーズに回るように、わたしの知らないところで根回しをしてくれていました。そう、わたしが1人で仕事を回している気になっていましたが、実はR氏のおかげでした。

 わたしが新入社員ということはみな知っていたので特に怒られた訳ではありませんが、R氏の上司からは「大変なのもいらいらするのも分かるけど、もう少し相談しろよ」と言われてしまいました。めっちゃ反省。

 R氏にはその後会う機会があったので、お詫びとお礼を言っておきました。相変わらず「いいよ、僕が悪いんだから」とニコニコ答えてくれました。もっともそれが逆につらかったのですが。

 「若気の至り」と言えば聞こえが良いのですが、たとえ上司でも部下でも感情にまかせて行動したらあかんですね。

Comment(2)

コメント

インドリ

>わたしはそれこそマイコンから大型汎用機、パソコン、組み込みから言語もアセンブラ、C/C++、VB、Javaなどメジャーなものは一通り経験しましたし、業務アプリからデバイスドライバ、PHSや携帯電話、クライアント/サーバシステムやWebアプリなど言われるがままに作り散らかしてきました。

おお、私の理想像です。凄いですね。
そこまで多様な仕事があったのは羨ましいです。
私の場合は全て体験したいのですが、組み込み・デバドラ・大型はやったことないです。
まぁ、まだ30のペーペーだから仕方ないかな・・・
このご時勢ですし・・・


>逆パワハラについて
逆パワハラとは珍しいですね。
私の場合はせいぜい、社長にVBからVB.NETへ移行することを説得して、怠けている社員から「余計な知恵を付けるな!」と怒られたりとか、「お前出来すぎだ」とひがまれたぐらいのものです。
上司を辞めさせるどろか、足を引っ張られたり食い物にされるばかりです。
上司を辞めさせるのはいけないことですが、それぐらいのパワーを持ちたいです。

にゃん太郎

インドリさん、ありがとうございます。

 インドリさんに理想像と言われるとちょっと嬉しいかも。そのうちコラムのネタ
にしようと思っているのですが、携帯電話用のJVMの開発なんてのもやりました。
サンプルソース一式(C言語)をSUN(当時)から買ってそれをベースに改造しま
した。キャリアのガイドラインに合わせて改造、ビルド、組み込み、Javaのサンプ
ルプログラム作成の繰り返しでしたがこれは楽しかったです。特にサンプルプログ
ラムはテストと称しかんたんなゲーム(ブロック崩しとかテトリスとか)をいろい
ろ作りました。実際JVMより頑張りました(笑)

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