プロローグ:なぜ、わたしはエンジニアを目指したのか
みなさま、はじめまして。今日からエンジニアライフのコラムニストに参加します「にゃん太郎」と申します。以後、よろしくお願いします。
まずはお約束の簡単な自己紹介と、これから書く予定のコラムについて少し紹介したいと思います。
わたしは現在、某ソフトハウスの地方支社の開発部に勤務しています。わたしの勤務する会社では、自社製品ごとに責任者がおり、企画や開発計画などすべて管理しています。権限が大きい分、当然、売り上げが悪かったりクレームが多いと責められる立場です。わたしも担当の製品群がありますので、自分ではSEだと思っていたのですが、いつの間にか設計や進捗管理がメインのPMになっていました。年齢はいわいる「アラフォー」の世代です。エンジニア生活も20年目を迎えました。
この20年の間、数回の転職をして少し他のエンジニアの方とは少々違うキャリアを積んできました。いろんな人に話をすると「面白い」と言われるので、このコラムではまずわたし自身のエンジニア人生で、面白そうな部分を書きたいと思います。
立場的にいろいろな人を管理、教育するようになって、いままで見えなかったものや考えもしなかった事に対して、少しずつ疑問や危機感を抱くようになりました。これからエンジニアを目指す若者や、すでに活躍している中堅のエンジニアなど、これからのIT業界を背負っていく人たちにエールを送る意味も込めて、「どうすればこの先明るく楽しい業界になるか」をわたしなりに考え、伝えられるようなコラムを書きたいと思っています。
さて、わたしは今でこそ「プログラム」が好きなのですが、実は昔はそうではありませんでした。工業高校に通い、時代的にちょうど学校にコンピューター室ができて情報処理教育が始まった頃でした。授業ではコンピューターの仕組みやプログラミングの基礎を学び、パソコンにはハードディスクはなく、1人1枚フロッピーディスクを持っていました。言語はFORTRANやC言語で技術計算やペンプロッタで図形やグラフを書くようなプログラムを作りました。でも、その頃の私はあまりプログラムが好きではなく、コーディングは仲の良い友達のカンニング、宿題はプログラミングが好きな友人にお願いしていました。それぐらい苦手だったので、この時思ったのは「プログラムをするような仕事にだけは絶対就かないぞ……」でした(笑)。人生、ホントにわからないものです。ちなみにプログラム好きになるのはこの数年先です。
高校時代、私は映研(映画研究同好会)に入っていました。今と違って、当時はまだ8mmフィルムでした(ビデオカメラもありましたけどね)。映画が好きでこの時から将来は絶対に映画監督になる! と決めて高校卒業後、映像関係の専門学校に進みました。2年間、授業を受けながら、テレビ局や映画関係のアルバイトをたくさんやりました。すごくハードでしたが楽しかったです。自分で数百万円(貯金+借金)かけて映画も作り、上映会もしました。
そういう意味では夢がかなって、映画監督になることができました……職業じゃないですが(ちなみに「映画監督」というのは厚生労働省が定義するところの「職業」ではないそうです)。
当時はひとり暮らしをしていましたが、卒業間近になるとさすがに将来の事を真剣に考えるようになりました。バブル絶頂期、フリーターという言葉も当たり前になりつつあった時ですが、やっぱり生活するには厳しい現実がありました。そこでギリギリになって就職活動を始めました。とはいえ、映像関係では生活がなんとかできるぐらいしか給料がもらそうになかった。なので、それなりに給料がもらえそうな中堅のコンピューター会社にハードウェア設計として応募し、見事(?)就職できました。わたしはソフトウェアは好きではなかったのですが、ハードウェアは得意でした。
でも、入社して数カ月後に転機が訪れました(早!)。上司から「きみはソフトウェアの方が絶対に向いているから、そっちに行ってくれないか?」と言われました。今となれば人手が足りなくて何ともならない状況下での社交辞令だったと思うのですが、単純なわたしは、気分良くメーカーでの約2カ月の研修に参加することになりました。
今ではまずないと思うのですが、ご丁寧にSIerの新入社員をメーカーが、配属前に2カ月も教育してくれるという、バブル万歳の時でした。ここからわたしのソフトウェアエンジニア(プログラマー)としてのキャリアがスタートしました。
今考えても、なんだか流されるままにプログラマーになってますね。いいのか、俺? 状態ですが、もともとそんなに深く考えて行動する方じゃないので、プログラマーを目指したってよりは結果的にプログラマーになっていた感じです……完全に後ろ向きだな、これ。でも、現在までなんのかんの言って続いているのは、旺盛な好奇心と負けず嫌いな性格のおかげだと思います(口が裂けても「できない」「やれない」「無理」って言えない)。
これが、わたしがエンジニアになったきっかけです。ちなみに今でも映画監督の夢は捨ててません。「チャンスがあれば」と未練たらたらですが、これに関しては奥さんに知られると間違いなく説教されるのでナイショです。安いデジタルムービーで撮影してパソコンで編集して細々と楽しんでます……もう少し、お小遣い欲しいなぁ。
こんなわたしですが、これからよろしくお願いします。
コメント
にゃん太郎
生島さん、ありがとうございます。
生島さんとはまた違ったアプローチでいろいろ書いていこうと思ってます。
技術的な深い話は生島さんを始めとした他の方にお任せして、私はもっと
業界全体の事や私自身の経験をなるべく明るく楽しく真面目に書こうと思っ
てます。
温かくつっこんでもらえるとありがたいです。
これからもよろしくお願いします。
インドリ
にゃん太郎さん、おはようございます。
>映画監督の夢は捨ててません。
これは何時か叶うと思います。
というのも、マトリックスの様なCGをPCで行うための技術などが既に開発されているからです。
(確かマイケル・ハーレイ氏達が作って、スピルバーグも利用しているとか)
ですから、後はこの技術が普及し、価格が下がるのを待つだけです。
他にも音声合成や効果音編集もPCで出来るようになっていますから、これも技術力向上と価格が下がるのを待つだけです。
あと10年もすれば、インターネットでスタッフを募集し、自宅で監督なんて事できるようになると思います。
これからの時代は、皆が情報を発信できるようになるでしょう。
その時、にゃん太郎さんがどのような映画を撮るのか非常に楽しみです。
にゃん太郎
インドリさん、ありがとうございます。
インドリさんのおっしゃる通りここ20年の技術発展はすごいですよね。当時は
ビデオ編集機材も揃えると何百万円もしましたが、その時以上にきれいな映像や
エフェクトが今はおこずかいレベルで出来るので大したもんです。ニコ動やYou
Tube見ても(面白いかどうかは別にして)プロ顔負けの作品がたくさんあります
し。
インドリさんらしい切り口のエールに感謝します。これからもよろしくお願い
しますね。
ビガー
私のコラムでのコメントありがとうございました。
にゃん太郎さんのようなベテランエンジニアの情報やご意見(本音ベース?)が聞けるのは大変参考になります。
私ごとで恐縮ですが、高校時代にゲームが好きだったという理由だけ(2進数の存在すら知らない状態)で→情報系大学(勉強せずパチンコ・マージャン漬)→社会人という流されまくった挙句にとりあえずエンジニアになってみたという感じでした。社会に出てから、ようやくある程度勉強し出した感じで、ちょっとにゃん太郎さんの流れに通じる?ような気がしました。
今後ともよろしくお願いします。
にゃん太郎
ビガーさん、ありがとうございます。
あんまりベテランって自覚はないのですが(笑)
昔に比べ技術も進歩し規模も大きくなり、使う側から見れば便利になった半面
その恩恵よりもしわ寄せが顧客にもエンジニアにも来てる気がしています。私は
ビガーさんの「真の顧客満足を目指して」という言葉はその通りだと思いますが、
それにはやはりエンジニアの幸せも不可欠です。みんながみんではないでしょう
がやはり3Kや5Kなんていわれてしまうこの業界の先々が正直不安です。でも決
して暗い事ばかりではないので、なるべく明るく誰もが憧れて目指したいと思う
ような業界にするために少しでも役に立てるようなコラムを書きたいと思ってい
ます。
こちらそこ今後ともよろしくお願いします。
saki1208
にゃん太郎さん、こんばんは。
saki1208です。
生島さんのコラムでコメントを拝見しました。
にゃん太郎さんの話も生島さんの話も私自身の目線とはまた違った目線で
いつも考えさせられます。
# 経営者としてのご経験がやはりそういったところに現れるのでしょうか。
# プロジェクト単位で見た場合にはマネージャー、リーダーもやはりその
# ような目線で物事を判断する必要があると思いますので意識しているつ
# もりではありますが、どうしても技術的な目線での考え方が抜けないよ
# うです。
これからも拝見させていただきますので、よろしくお願いいたします。
にゃん太郎
saki1208さん、ありがとうございます。
私は技術的な目線で考える事も重要だと思いますが、優秀なエンジニアほどそれ
が顕著だと感じます。経験年数によりますが、エンジニアが下流から上流に行くな
らば技術だけではダメでトータルなバランス感覚が大事だと思っています。他のエ
ンジニアの方と違うと感じるのは私はエンジニアの仕事をモノ作りとは捉えていま
せん。サービス業と捉えています。提供するのは技術を駆使したサービスであって
技術では無いのですから。
今後ともよろしくお願いします。