IoT技術開発者が、IoT技術について、コラムを書いていきます。

#3 「IoTシステム」をどう構築するかという(自分なりの)考え方

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こちらは「IoT技術開発者のコラム」です。今回も、IoT基盤(IoTプラットフォーム)が題材です。

前回のコラムで、IoT基盤を「開発」しようとすることには大して価値がないと記述いたしました。それでは、IoT基盤は構築しなくてよいのでしょうか? しかし、そうだとするなら、なぜ世の中で「IoT基盤が必要」だと叫ばれているのでしょうか? IoT基盤とは、システムではないということでしょうか? ...これからしばらくは、この辺のテーマを掘り下げていきたいと思います。

その前に、まず私がこうしたらよいと思う考え方を先に提示しておきます。

  • IoT基盤の「あるべき姿」などない
  • 必要なIoTシステムは、基盤を使って構築するのではなく、「作って、あっさり捨てる」くらいがちょうどよい

ここからは、これらの考え方について説明をしていきます。


IoTシステムに関しては、よく「小さく始める」「スモールスタート」というフレーズで語られます。しかし、IoT基盤を構築すべきという話題を聞くたびに、「小さく作る」という意味を誤解している(あるいは、させている)のではないか? と感じています。

私が考えるIoTシステムのイメージは、ITエンジニアに共感されやすいイメージで書くと、ちょうど「半日で書いて、そのまま書き捨てるアドホックなスクリプト」です。何か業務上発生したちょっとした仕事を片付けるのに、検索するとか、ソートするとか、整形するとかをやってくれるちょっとしたスクリプト達をITエンジニアはよく書いています。私はPerlで書きます(ここでは言語は問題ではないですが)

そういうスクリプトは、仕事が終わったらどうなるでしょうか? Githubに入れて管理しますか? ドキュメント書きますか? たいていそうはなりません。どこか(たいていは、ローカルPCか、社内共有ファイルサーバ)に姿を消します。でも、それを咎める人はほとんどいません。「再利用性が...」ということをいう人もいなくはありませんが、しばらくすると、みな忘れます。

ただ、一度こういうスクリプトを書くと、将来似たような状況になっても、なぜか書けます。しかも今度はもうちょっと上手に書けます。社内共有ファイルサーバ上に消えたファイルも、運が良ければサルベージできて、コピペコーディングがはかどるかもしれません。

こういう、ガチガチの基幹系システムを作る人からすると眉を顰めるような作り方が、IoTシステム構築の勝ちパターンだと考えます。必要なのは、堅牢な設計とパッケージソフトウェアで支えられた「基盤」ではなく、過去の経験とその時に利用可能な技術を組み合わせる「ノウハウ」です。

「そんなやり方で、業務で使うIoTシステムの品質が保てるのか?」「誰がそのシステムを運用できるんだ?」「システムを拡張したくなった時にメンテナンスできなくなるじゃないか!」

この辺が予想される反論ですが、確かにごもっとも。重要な観点ですね。では、次回は、その観点でもう少し掘り下げてみましょう。

それでは。

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