非エンジニア、ゆるIT女子のひとりごとです。

いつかまた、どこかで

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 こんにちは。エンジニアライフ担当Kさんが異動されたことに驚き、寂しく思っています。一度しかお会いしていませんが、私の中で「The 聡明」な印象が残る担当者さまの今後のご活躍を祈りつつ、異動の季節やその他もろもろで避けては通れない別れについてお話ししたいと思います。悲しい内容ではありません。たぶん。

■仲がいい人より、微妙な距離感の人の方が寂しい

 誰かと別れることについてずっと感じていることがあります。すごく仲のいい友だちよりも、中途半端な知り合いだけどひそかに好きな方と別れる方がもう圧倒的に寂しいということです。

 仲良しレベルまで関係が構築できた人に関してはたとえ事情があって離れてしまっても、タイミングが合えばやりとりしたり、会う約束をしたりすることが比較的容易だと思うのです。だって友だちだし。

 もちろん、会えなくなることはとても寂しいのですが、心の距離が近い人との別れはある程度は受け入れられると思っています。友だちまでいかなくても連絡を取れる、相手から連絡が来たりもする、という関係であればこちらに入ります。

 一方、単なる知り合いレベルだけど実は大好きだったり、大切に思っている方と別れることがすごく苦手です。ある期間は定期的に会っていたのに急な事情で突然会えなくなる。時には、あいさつすらできずに。

 いつあってもおかしくない話ですが、私は本当に本当に苦手で、ひそかに好きで大切だった人がいなくなることに一生慣れそうにありません。知り合いから仲がいい、という関係まで持っていけなかったのは私の魅力不足やコミュニケーション能力不足、相性なんかももちろんあるのですが、出会った場所やタイミングによるところもあると思っています。

 仕事関係は、こっちに入りがちですね。約束しなければ会えない状況になるのに、約束するほどの仲ではない。距離がある関係、異性同性に限らず私の片思い的な関係。永遠に続く当たり前なんてどこにもない。苦労なく会えていた日々を懐かしんだところで何の意味もなく、時計の針は決して戻ることはないのですが、それでも突然の別れを恨まずにはいられない心の狭い私。自分が好きだと思う人から、また会いたいと思ってもらえるような人間になるしかないと思いますけど。一番厄介なのは、会えなくなってから初めてその大切さに気付くパターンですね。


■IT がつないでくれた

 ただ、本当に良かったなあと実感していることがあって、それは言うまでもなくITの発展です。メールやSNSの進歩は明らかに人と人の距離をつないでくれました。最近はコミュニケーションを取るためのハードルがどんどん低くなっています。

 「電話はもはや原始人のツール」と某ITベンチャーの社長が言っていたのですが、電話よりメール、メールよりSNSといった感じでしょうか。気軽に連絡が取れる手段が充実してきたことは、単純に喜ばしいことだと思っています。世界中の天才エンジニアに感謝しなくてはいけません。マーク・ザッカーバーグのように表舞台に立つ方は分かりやすいですが、人と人をつなぐインフラを日々地道に支えてくれているエンジニアさんも少なくないでしょう。感謝と尊敬の念を抱かずにはいられません。

 隣の席にいるのにメールでしか連絡しない、SNSに何時間も費やしてしまう依存症などネガティブな話が耳に入ってくることもあります。それでも、今この世の中に存在する技術がなかったらやむなく縁が切れてしまったであろう人は現実問題少なくありません。ポジティブな効力もいかんなく発揮してくれていると思います。

 技術やツールに頼らずとも保てる関係のみが本物なのでしょうか? 私はそうは思いません。もちろんITがなくても、物理的な距離などに負けない人間関係もあると思います。ひと昔前であればインターネットという概念は存在しなかったのだし。

 でも、私たちが今生きている世界というのはなんて素晴らしいのでしょうか。私はIT発展の恩恵にあやかり、突然会えなくなってしまった方にメッセージを送れ、友人が慣れない土地でも元気に暮らしていることを知れます。

 さほど親しくない人でも、連絡先が公開されていれば一瞬でコンタクトを取ることも不可能ではありません。ITの真価ってこの辺りにあるのではないかと思う今日このごろです。


■そんなにうれしいことはありません

 最後に、話は変わりますが数年前あるプロジェクトで経験したエンジニアさんとの別れのことを。当時そのプロジェクトは結構炎上に近い状態にありました。私がクライアント側として加わったのはエンジニアさん多数の尽力によりだいぶ落ち着いてからでしたが、うまくいっていない時期が長かったせいか、正直あまり居心地はよくありませんでした。

 私自身、今よりだいぶ若く、技術的なことに疎く、PMには好かれておらず、開発会議の時はいつも憂うつでした(今思えば、私の問題点は決して技術が分からない点ではなかったのですが、それはまた別の機会に)。

 そんな状況でも中には信じられないくらい優しい方々もいて、私の判断ミスによるやり直しに快く応じてくれたり、つまらないこだわりに付き合ってくれたりもしました。どんな時もキレることなく、不機嫌になることもなく、いつも穏やか。Sさんもそのうちの1人でした。

 ある時Sさんが事情によりプロジェクトを離れることになり、MLであいさつのメールが届きました。最後の一文にはこう綴られていました。


「また同じメンバーで一緒に仕事ができる日が来たら、そんなにうれしいことはありません」


 いろいろな会社や立場の方の寄せ集めで、エンジニアさん同士も仲が良いようには見えませんでした。ベンダも人も入れ替わりが激しく、何よりSさんは円満離脱ではなかったので、今後まったく同じメンバーで仕事をするということは99.999……%あり得ない話でした。

 別れのあいさつにきれいごとを書いただけといったらそれまででしょう。でもあり得ない話だからこそ、私はメールを読んでちょっと泣きそうになりました。あまり楽しい気持ちになれることがなかったプロジェクトでしたが、もしかしてSさんはここにいて良かったと感じることが1mmでもあったのかもしれない。私の心に、一筋の光が差し込んだように思えた瞬間でした。


 別れのタイミングで放たれた言葉が心に響くことは多いと思います。異動されたエンジニアライフ担当者さんが後輩に送ったメッセージはかっこ良すぎですね。私は残念ながらあまり交流できませんでしたが、いつかまた何かでやりとりできる日が来たら、そんなにうれしいことはありません。心から、そう思っています。

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