男の子はみんな、魔法使いになれるんだよっ!
■君の力で世界を救ってよっ!
夢見る男の子のみんな、こんにちはー! 今日はみんなにお話があるんだ。君の力で世界を変えて欲しいんだ。今、この世界はえらばれた戦士たちによって平和が保たれているんだけど、新しい戦士がまだ見つかっていないんだ。
そこで君にお願いなんだけど、君に秘められた力を開放して、僕達と一緒に戦って欲しいんだ! さぁ、恐れるはないよ。僕の言うとおりにしてくれれば、君は最強の勇者になれるよ!
■以上、変な魔法をかけられると、このように世界が見えるそうです。
とある求人広告に大人の魔法をかけると、こういう風に世界が見えてしまうそうです。
実情は、市場のシェアを奪うための戦いで、勝ち残ることで会社の平和は保たれるということだ。会社の人の見ている世界は社内が全てなので、世界は平和になるということになる。売り上げをたたきだしたら勇者だよね。
私達は意外と現実を直視していない。とりあえず面白そうとか、凄いとか、適当なものに思考が左右されてしまう。表向きしっかり考えているようでも、発想の根拠がもろければ、どこか歪んだ結論にたどり着く。
■夢見る男の子が魔法使いになる時
純粋な男の子が、30年間女性の欲望に巻き込まれずにいれば魔法使いになれる、という伝説を聞いたことがある。でも実際は、欲望に翻弄されると誰でも魔法使いになってしまう。
そもそも魔法ってなんだ? 例えば、不可思議な呪文で物をだしたり動かしたり、幻覚をみせたりと、ありえない方法でありえない現象を引き起こすと魔法だと言われることがある。ここではそんなものだと思っておいてほしい。
そういう魔法は、大人の得意技だ。偉い人はいつでも魔法を使う。わけの分からない呪文を唱えて仕事をとってくる。仕事が炎上したら、訳の分からない呪文を唱えて増員を召喚する。そして、訳の分からない呪文を唱えて、責任を霧散させてしまう。
■優れた魔法使のあふれる世の中
世の中、魔法使いが多すぎる。ないものをあるように見せたり、どうでもいい事柄を重要に見せたりと。たしかにこういうことが自在にできれば便利だと思う。現代社会では、こういうことができる人を非常に高く評価する。
こういう魔法をみんなが多用するので、何が本質なのか、よく分からなくなる。それぞれが自分の都合のいいように現実を歪めるので、気がつくと本質を外れている。それがひどくなると、社会問題として露呈する。もう、わけがわからないよ。
しかし、この魔法が効かないものも多い。それは丁寧に書かれたコードだったり、正確に計算された数字だったりする。人がどう考えていようと、コードが間違っていればプログラムは動かない。正確に計算された数字は現状を射抜く。
このままでは、増えすぎた魔法使いに世界を歪められてしまう。君も、磨かれたスキルを武器に、魔法使いを狩る“ハンター”になって世界に秩序を取り戻さないか!
……最近、発想が中学生くらいに逆行している気がした。