Rainy Days and Mondays
悪夢の続き-13回
(このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。)
朝から雨だ。雨の日は出かけたくない。ずっとこうしていたい。もうインシデント対応なんて嫌だ。中国の販売法人だ。現地で対応すればいい。巻き込まれたくない。会議室で仕事をするのももう嫌だ。慣れた自分の席で、大きなディスプレイに隠れるようにして仕事していたい。
サイトがちょっと変えられて、利用者の名前や住所が漏れたって、大事件っていうわけじゃない。名前と住所がおおっぴらになったって、何を持って行かれるわけじゃない。毎日のように起きていることじゃないか。もう今日は休みたい。あぁもう嫌だ。
私は、休みの連絡を会社にしようか、理由はどうしようかとさっきから布団の中で考えていた。すると、電話の音が聞こえた。あぁ、また黒電話の着信音だ。大体、あの時電話を取らなければ、連絡が取れなかったということで、インシデント対応をすることにもならなかっただろうに。
たった四日のことなのに、ずいぶん疲れた気がする。電話は取らないでおこう。どんな時間帯でも電話に出られるというわけではないのだから。早朝のシャワータイムで、電話に出られなかったということもあるだろう。
私は布団の中に深く潜り込んで、私は今深い眠りに落ちている、と自分に言い聞かせようとした。呼び出し音が13回なったところで、電話は静かになった。しばらくするとまた電話が鳴りだした。私は留守です、留守ですからね。そう自分に言い聞かせながら、無意識のうちに呼び出し音を数えていたら、また13回なったところでやんだ。
また13回か。何で13回なのか。もうあきらめるだろう。もう鳴らないだろう。そう思っていたら、また電話が鳴りだした。12回まで数えたところで、私は布団を跳ね上げ、発信元を確認した。13回目の着信音が終わらないうちに私は通話を始めた。
「もしもし。」
「もしもし、Dです。緊急連絡網のテストでお電話しています。」
私は全身から力が抜けたような気がした。
「こんな時間に緊急連絡網のテストするんだっけ。」
少し乱暴な口調になっていた。
「日時を事前に知らせないテストをすることになっていたそうです。」
「あのさ、なんで呼び出し音を13回ならすの?」
「気が付きました?僕はイニシャルがDなので、16進数でDだから、13回鳴らすことにしているんです。」
やれやれ、休もうと思っていたのに。仕方なく今日も仕事に向かうことにした。
ネットバンキングウイルス無力化作戦
警視庁も頑張っているね、と思いました。
米国の情報セキュリティ市場は2兆円、そのうち8000億円が連邦政府、その半分の4000億円が国防予算、というのが5年前の資料にありました。今はもっと増えているのでしょう。ちなみに日本の情報セキュリティ市場は7000億円でした。今はどうなのでしょう。良くも悪くも成長産業です。
お読みいただき、ありがとうございました。