シンガポールでアジアのエンジニアと一緒にソフトウエア開発をして日々感じること、アジャイル開発、.NET、SaaS、 Cloud computing について書きます。

今の18歳がうらやましい

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 わたしにとって、最近もっとも注目している日本の話題は、東京、名古屋、そして大阪間のリニアモータの話。子供もころ20世紀になればできていると、いろんな子供雑誌に書かれていたことが、どうも2030年にできるらしい。

 はっきりいって、「30年も遅れている」と感じてしまうのはわたしだけでないだろう。今はわたしは日本に住んでいないし、たぶん永住するために日本に帰国することはないと思っているので、リニアができて実際に実益があるわけがない。しかし、少し思ったよりは遅れてはいるが、やはりわくわくしてしまう。

 世界では、リニアは上海とその空港、つまり、浦東国際空港間を結ぶ鉄道として、すでに稼動している。実際わたしも数回乗った。市内から空港まで、なんと 7分程度で着いてしまう。最高速度430キロ。一度乗ってしまうと『そういうものか』で、終ってしまうわけだが、やはりわくわくした。人間、地上を高速で移動する手段の進歩に、本能的に興奮するのかもししれない。ところで、この上海のリニア、上海の中心からではなく、周辺からしか出ていないことが、大きな不満。中国政府、何を考えているのかわからない。中心から出るようにすれば、上海の国際都市としての便利さは、格段にあがるのにもかかわらず。

 振り返って、日本のリニア。2030年に稼動とは、ちょっと時間がかかりすぎる。今から20年先。わたしは、68歳になっている。たぶんまだ元気だろうが、もう何かできる年齢でないし、新しいことにわくわくできる年齢でないだろう。

 日本に新幹線が開通したのが、1964年。わたしはその時3歳だったわけだが、京都と大阪のちょうど間ぐらいの大阪府枚方市に住んでいたわたしは、父に連れられ、新幹線に乗るためだけに、京都から大阪間だけ、新幹線に乗せてもらったことを覚えている。今でも覚えているのだから、相当興奮したのだろう。

 その新幹線、ウイキペディアを見て驚いたのが、計画から開通までの期間の短かさ。1957年ごろから計画が始まり、開通したのが1964年。たったの7 年で開通までこぎつけている。戦前から行われていた弾丸列車計画のお陰でで用地の確保や、トンネル工事などがある程度できていた。そのため早く開通にこぎつけることができたらしいが、この時代の日本のパワーを再認識してしまう。

 もう1つは、リニアなんかよりもっと重要な話題。核融合。近いうちに化石燃料の枯渇が予想されるうえに、化石燃料を燃やして作るエネルギーは地球温暖化の原因とされるため、簡単に増やせない。そこで、その代替エネルギーとして候補としてあがるのが、核分裂とソーラーとこの核融合。核分裂は、すでに実用的で、例えば現在、日本の電力需要の30%をまかなっているが、危険な放射性廃棄物の問題がある。

 ソーラーつまり、太陽光は、安全でかつ、CO2も排出せずクリーン。しかし、大きな面積が必要と言うのがネック。高層化、集中化する都市の電力需要全てを太陽光でまかなうのは無理だろう。

 最後に残る究極のエネルギー源は、核融合となる。原子の周期律表で見て、一番安定している元素は鉄、ということらしい。つまり、すべての元素中、鉄より原子量が小さい元素を融合させて、別の元素、より安定した元素が生成されることになる。その結果、エネルギーが放出される。その過程で質量が少し減ることになるが、質量の減った分が、アインシュタインの有名な『E=MC2』の方程式に従った放出エネルギーである。その融合過程だが、もっとも発生させやすく、かつ、燃料も豊富ということで、今 ITER(International Thermonuclear Experimental Reactor)で開発を進められているのが、重水素と重水素もしくは、3重水素を融合させてヘリウムをつくる核癒合。

 問題はその実用化の時期、ITERのタイムフレームだと、2050年ということらしい。今から40年後、わたしがまだ生きていたとすれば、88才。悲しすぎる。

 最後にコンピュータソフト開発の環境について。今の時代は、高校生ぐらいのコンピュータ好きにとっては、夢のような時代である。ソフトウエアを趣味で作るとして、そのための環境をほぼ無料で準備できる。ツール。Visual Studioの3ヶ月のお試し版が簡単に無料で手に入るし、Visual studioをほとんど機能的に変わらないVisual studio expressなら無料だ。

 開発に必要な技術情報はGoogleを駆使すれば、たちどころに入手可能。まとまった情報が必要なら、書籍を購入する必要があるが、どんな専門的な書籍も、amazon.co.jpもしくはamazon.comで、簡単に入手できる。そして、何を作るかだが、オープンソースで提供される数々のコンポーネント群、さらにインターネット上で提供されている種々のWeb APIのお陰で、趣味程度の努力である程度実用的なものを作ることができる。組み合わせを考えると、無尽蔵でアイデアを出すことができる。 

 例えば、 amazon webを使えば、簡単に書籍情報を入手可能。それを使えば、蔵書管理ソフトを簡単に作れる。Google mapのAPIとGPSのOpen source、そしてAndroidやiPhoneを旨く組み合わせれば、地図上の位置情報を組み合わせたアプリケーションが簡単に作れる。オンラインゲームなども、いまやSilverlightやFlushなど使えば、簡単。ゲームを作るための書籍も山ほど出版されている。

 ここで簡単と書いたが、プログラマでない人が誤解すると困るので、少し解説を加える。ここで簡単と言っているのは、普通の人がアクセス可能な情報だけで、ソフトを作ることができると言うことである。その昔、メインフレームだけがコンピュータだった時代では、コンピュータを使って何かをできる人は、必要な情報にアクセスできる限られた人、例えば大学の計算機学科にいる学生、大メーカでコンピュータを作っている部署、大きなソフトウエアベンダーなど、限られていたが、今は誰でも、つまり普通の高校生にでも必要な情報にアクセスできる。その情報で、有益なものを作れるのである。 つまり、上で『簡単』と書いたが、誰でもできると、言うわけではない。適正と努力はやはり必要である。

 と言うことで、言いたいのは、最近つくづく思うことが、『もう一度18歳に戻りたい。』ということ。

 今18歳なら、20年後の38歳になったころ、リニアで東京と名古屋がつながっている。名古屋が東京への通勤圏に入っているかもしれない。さらに40年後の、58歳になったころ、核融合炉が実用化し、世界のエネルギー問題が解決している。最近の戦争の大部分はエネルギー問題の解決のためと言って過言でない。

 イラク戦争はまさにエネルギー問題。ヨーロッパの第二次世界大戦は、ナチスドイツがソビエトのウクライナ地方の石油を確保するために始めた戦争。アジアの第二次世界大戦は、日本の中国への侵略戦争を非難するために、英米がとった石油禁輸政策に対抗するため、南方の石油を確保することを目的として、日本が起こしたもの。エネルギー問題の最終的解決は、同時に、人類の悲願であった世界平和が達成される時かもしれない。

 そして18歳のわたしは、たぶん大学生。迷わずIT系の学部に入学しているだろう。そうでなかったとしても、当然のごとく、パソコンを持って、なにやら趣味でいろいろと作っていることだろう。30年前の、わたしの本当の学生時代に、SHARP のMZ80で作ったような、まったく役に立たないものではなく、ちゃんと役に立つものを作っていることだろう。

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コメント

放浪者

将来のことで私の興味あるのはこれです。

http://www.amazon.co.jp/dp/4140811676

これが実現すると、PM・SE・PGなんて存在意義がなくなって
残るのは新しいアイデアやビジネスを産み出す
クリエイティブな職だけかもしれません。
IT業界には私の居場所は無くなってるかもです。

先のことはわかりませんから、やりたいことをやれってのが正解なんでしょうけど。

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