プログラマが家事について知るべき97のこと
ご無沙汰しております。kwappaです。今年も残りがだいぶ少なくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。わたしは毎日家事ばっかりしております。
■ 推薦図書
さて、本題の前に、1冊本を紹介させていただきます。先週、『プログラマが知るべき97のこと』という本が発売になりました。プログラマとして生きていくために知るべきことを、現役のプログラマが短いエッセイにまとめたものが97本(+日本版10本)収録されています。
縁あって、わたしもご献本いただいたので読んだのですが、とてもいい本でした。書評を「晴読雨読@エンジニアライフ」で公開しましたので、ぜひご覧ください。そして、感想を語り合おうぜ! 暑苦しく!
■ お礼と前置き
前回告知させていただいた「GLT×とべとべ×DevLOVE LT祭り ~5分でセカイを凌駕せよ!!~」は、おかげさまで大盛況のうちに幕を下ろすことができました。@ITからも金武さんが取材に来てくださり、レポートが公開されています。
当日は予想以上の盛り上がりで、特に懇親会の飛び入りLT大会は30人以上のエントリーがありました。かなりの数の方が「初めてのLT」を経験してくれたことは、主催者の1人としてとてもうれしく、そして誇らしい事実です。本当にありがとうございました。
● 予期せぬ出来事
ところが「LT祭り」の真っ最中、妻からメールが入りました。ちょっと不調なので病院に行く、とのこと。妊娠中ですので「ちょっと不調」じゃ済まないだろう! と慌てて連絡したら、なんと「切迫早産と診断された」というじゃありませんか。
心底驚いたのですが、よくよく話を聞いてみると「やることは家に帰って寝るしかない」とのこと。それならまぁ……ということで、イベントはそのまま続けて参加していました。そして、その翌日から、わたしの生活は大きく変わることになりました。
● 介護生活のはじまり
切迫早産とは「早産になりそうな状態」のことです。深刻さにはずいぶん段階がありますが、とにかく安静にしていることが重要。食事とトイレ以外はほぼ寝たきりでいるべし! とのことなので、妻には「寝てるのが仕事だから」と言い渡し、家事の一切をわたしがやることにしたのでした。
1人暮らしは2年ほど経験しましたので、一通りの家事はこなせます。趣味と実益を兼ねているので、料理をすることは好きです。けれども、「家に寝てる人がいる」という状況は、1人暮らしよりだいぶ大変でした。
というのも、1人なら面倒くさくなったら外食するなり飲みに行くなりすれば済んでしまいますが、今回はそうもいきません。なるべく手軽に食べられて、極端に栄養が偏らないようなメニューを、毎日3食分作り置きしておく、というのは結構大変でした。
料理以外にも最低限の掃除と洗濯はしなければなりません。作業量が増えて時間が圧迫されてきたとき、エンジニア的には何をするべきか? もちろん、徹底的な効率化です。
■ プログラマが家事について知るべき97のこと
ということでやっと本題。今回は、日々エンジニアとしてのキャリアで培った知識や発想をもとに、家事の効率アップについて書いてみようと思います。
● デザインパターンを活用する
蓄積したノウハウをパターンとして分類し、適切なときに再利用する。これは、プログラミングにおいても料理においても有効なスキルです。パターンを身に付けておくことで、迷う時間をなくし、適切な素材選定を行い、少ない労力でバリエーションを増やすことができます。
わたしが一番よく使うのは「鶏肉と野菜のスープ」パターンです。簡単にレシピを書いてみると……
- 鶏手羽元はフライパンで焼き色を付ける
- ショウガ(皮とかはじっこ)・長ネギ(青いところ)と一緒に圧力鍋に入れ、10~15分加圧する
- ざっくり切った野菜を入れ、ひたひたになるまで水を足す
- 洋風にするならコンソメ、和風にするなら顆粒のかつおだしを入れる
- 塩・胡椒で味を整えながら、野菜が柔らかくなるまで煮る
これだけ。分量も野菜の種類もテキトーな料理ですが、以下のような利点があります。
- 材料の受け入れ幅が広い……鶏肉は手羽元を使うのが基本ですが、それ以外の部位でも、また鶏以外の肉でも作れます。野菜はたいていどんなものを入れても馴染んでくれるので、季節や価格に合わせて柔軟な選択ができます。キャベツや白菜など葉もの、タマネギ、ジャガイモやニンジンなどの根菜、シメジやエノキなどのキノコ類。たくさん入れて、日ごろの野菜不足を解消するのもいいでしょう。
- 手順が単純で明快……基本的には「鶏肉を圧力鍋で加熱する」「一口大に切った野菜を入れて煮込む」「味付け」の3プロセスで完成です。単純化されたプロセスはミスを生みにくい、という利点があります。
- アレンジしやすい……基礎になる味付け(塩・胡椒によるシンプルなもの)ができるようになれば、アレンジによってバリエーションを増やし、「飽きられる」という不具合を避けられます。トマト水煮缶、カレー粉、味噌、ナンプラーなど、特徴的(そして支配的)な味付けをすることで、同じ材料・レシピでも違った料理だと感じさせられます。
● リターンに見合うコストをかける
システム開発において、何でも抱え込んで内製するにはリソースが足りない場合もあるでしょう。逆に、すべてアウトソーシングで賄うのはコストの面で厳しい場合もあるでしょう。
つまり、許された予算と期間の中で、リターンが最大となるようにコストをかける(=投資する)べきなのです。
具体的にいくつか書いてみると……
- クリーニング屋を活用する……ワイシャツを洗濯してアイロンをかける、というのは結構手間ひまが要求される作業です。クリーニング屋に出すのはコストに対して時間のリターンがかなり大きいと言えるでしょう。幸い、いまの職場は服装自由なので助かっていますが。
- 送料を払う……最近はネット通販でありとあらゆるものが買えるようになり、ネットスーパーの普及で生鮮食料品も買えるようになりました。買い物に費やす時間を考えると、通販の送料というのは払うべき価値があるコストである、と言えそうです。
- 道具に投資する……道具にコストを掛けることで、時間的にも気分的にも大きなリターンが得られる場合があります。これについては後述します。
掛けられる時間とお金をバランスよく使い、最大の効率が得られるようにする。エンジニアならではの発想と能力が生かせる場面ではないでしょうか。
● 道具をケチらない
効率よく作業をするためには、使いやすい道具が欠かせません。プログラマの場合、キーボードやマウスなどのインプットデバイスだったり、エディタやIDEなどの開発環境が「道具」に当たるでしょう。わたしはEmacsと東プレ製キーボード以外では仕事をする気力も能率もダウンしてしまいます。
家事においても道具は重要です。わが家の家事を効率化してくれたいくつかの道具をご紹介しましょう。
- 食器洗い機……いきなり大物ですが、これは家事の効率化に絶大な威力を発揮します。料理してもそれを食べても、あとからあとから出てくる洗い物を効率的に片付けてくれるうえに、最近の製品は手で洗うより省エネ・節水になる場合もあります。初期投資は必要ですが、そのコストはすぐに償却できるでしょう。
- 洗濯用品……洗濯も結構大変な作業です。干していて「ハンガーが足りない」「洗濯バサミが足りない」といった事態は非常にやる気を削ぐので、これらの道具は潤沢に揃えておきましょう。わが家には「引っぱリンガー」というふざけた名前の物干しグッズがありますが、これも洗濯物を取り込む作業の省力化に貢献してるので、オススメの一品です。
- レンタルモップ……掃除はまず「始める」ことに大きな心理的障壁がある、と個人的には思っています。そこで、あえて有料のレンタルモップを契約してしまう、というマインドハックはいかがでしょうか。お金払っちゃった! 明日交換に来ちゃう! という外部制約が、モップを手に取って掃除をするきっかけになる……かもしれません。もちろん、自発的に掃除を開始できるメンタルの強さを身につけるのが目標なのですが。
■ まとめ プログラマ vs 家事
結局、妻は1週間自宅で安静にしていたのが奏功し、翌週から仕事に復帰していきました。その後の経過もそれほど悪くないまま、今月の上旬から産休に入っています。もちろん重労働はできませんので、いまでもわたしが大半の家事を引き受けています。
家事をしていてもう1つ思ったのが、「完ぺきを求めすぎない」ということ。これもシステム開発に通じるものがあるな……と、なんとなくニヤッとしてしまいました。ソフトウェアも家事も、パレートの法則どおり「20%の時間で80%の完成度が得られる」ことが多いようです。
● 今日のwifehacks
- エンジニアならではのスキルで家事を省力化しよう
- リターンを考え適切な投資をしよう
- 家事をすることでwifeの「ご機嫌メーター」を回復しよう
年末は大掃除のタスクを割り振られてげんなりすることもあるでしょう。エンジニアならではのスキルを生かして、ポジティブに「Housekeeping Hacks」をしてみませんか?
■ Links
「108番目のきのこを生やすのはあなただ! 『プログラマが知るべき97のこと』」
「意外と簡単に世界は変わる」——いまこそ圧倒的なLTについて語ろう − @IT自分戦略研究所