筆者は1970年生まれ。先輩から、情報技術者を目指す若い方へ生きてゆくためのコラムです。

【EXTRA】恐慌突破!!

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 2008年11月16日、テレビ東京系で放映された「日経ビジネス」とのコラボ番組を見ました。我が国の企業活動は、実はとんでもない速さで変化し適応しようとしている、そんな姿を垣間見た思いがします。昔の人は言いました。「カネがないなら知恵を出せ、知恵がないなら身体を使え」というふうに……。

【恐慌突破とは】

 アメリカを震源とする世界的な経済危機は、確実に日本の実体経済に影響を及ぼし始めている。原油価格は下落したものの、3~4年前に比べればいまだ高い水準を維持したまま、原材料や食糧価格の上昇基調と世界的な景気後退が重なれば、インフレと不況が同時に進行するスタグフレーションになる懸念もある。企業は売り上げが伸びない中でコストが上昇して利益を圧迫され、消費者は賃金が上がらない中で生活必需品などの価格が高止まりして家計が圧迫されてしまう。この厳しい現状を克服すべく、いま求められているもの……それは「知の転換」「イノベーションの創造」である。

 以上、公式サイトより引用しました(テレビ東京日経ビジネスオンライン)。

【求められる発想の大転換】

 例えば、電球を高輝度LEDに変えたら、イカ釣り漁船はどうなるのか。原油高の中、自動車部品の輸送をトラックから鉄道貨物に変えたら、調達コストと速度はどうなるのか。10円、1円単位で品物を見定める、家計を預かる主婦が増えているスーパーマーケット店内。仮にビール醸造業と調味料メーカーが手を組んだら、売り上げの相乗効果はどうなるのか。ファニチャー小売店が、貿易事務を自社で取り組んだら、原材料の仕入れまで自社で取り組んだら、節約効果が出て、販売価格をどれだけ値下げ出来るのか。地球に優しく、ガソリンも食わない宅配便システムは「人力輸送」だった……などです。

【いま、ハードディスクの値段が安くて大容量なのはなぜ?】

 そして、情報技術者から見て注目したい点が、レアメタル産業です。目を付けたのが、ハードディスクの円盤上に「記録密度向上用」に蒸着しているレアメタル「ルテニウム」。円盤状のルテニウム金属板(レコード盤大の1枚がおよそ200~300万円)は、ハードディスク用のアルミ板への蒸着を繰り返して行くうちに、表面がまだらにへこみ、均等に蒸着できません。

 今までならばルテニウム金属板は、半分程度消費した段階で廃棄処分になっていました。考えると実にもったいないですね。これを再利用する手立てはないのか、ということで、金属再処理業者が考え出したのが、ルテニウム金属板の再生利用です。ルテニウム金属板を、粉末にしてから溶かして「ある秘伝の技術」を使って固めると、新品同様のルテニウム金属板が完成します。

 この技術で世界シェアの20%分のルテニウム金属板を再生産している……。この結果、金属相場におけるルテニウムの価格はここ数年で一気に下落。「レアメタル」から、普通の「メタル」になったわけです。製法の秘密を守るため、特許切れや氏名の公開を恐れて特許にすら出さない。技術者が誰だかも社内では秘密。従業員の中で誰がその技術を握っているのかも一切不明……。さらに経営者は、既に廃棄処分になったパソコンのハードディスクからも、ルテニウムを回収しようと未来を考えているのです。これには参った。

 皆さんのハードディスクの表面が平滑できれいなのも、容量がギガ単位になっていったのも、じつは、情報技術者でも何でもない、この人のおかげかも知れませんね。

 (まだまだ続いちゃう)

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