ふつーのプログラマです。主に企業内Webシステムの要件定義から保守まで何でもやってる、ふつーのプログラマです。

ひいらぎ飾ろう@クリスマス(後)

»

 クリスマスツリーと七面鳥、入手が困難なのは後者に決まっている。七面鳥の入手見込みが立ったという報告を受け、任務の9 割方は完了だと安堵していた谷少尉は、すぐに別の問題に悩まされることになった。アンダーソン課長率いるクリスマス十字軍の訪問を受けたのだ。

 「少尉」アンダーソン課長は険しい顔で言った。「聞いたところによると、君はクリスマスツリーを会議室かどこかに設置しようとしているそうだが本当かね」

 「何がいけないんですか」谷少尉はにこやかに応対した。「クリスマス前の1 週間、会議室に設置しておくので、見たい人は見に行けばいいじゃないですか」

 「わかってませんね」総務課のマーガレットが言った。「クリスマスツリーは、ただあればいいというものではないんですよ。しかるべき場所になければいけないんです」

 「しかるべき場所ですか」谷少尉は首を傾げた。「例えば暖炉と煙突があって、ソファと毛皮の敷物がある広いリビングとか?あいにくそんな場所は、この基地のどこにもありません」

 「中庭はどうだ」アンダーソンが提案した。「あそこなら、管理棟の大抵の部屋から見下ろせるじゃないか」

 「中庭ですか」少し考えてから、谷少尉は頷いた。「電源が問題ですが、まあいいでしょう。どこかから延長コードを引っ張ってくれば……」

 「ちょっと待ってくれ、少尉」アンダーソンが遮った。「君は一体、どんなツリーを用意するつもりなんだね」

 谷少尉は同席していたサンキストを見た。サンキストはタブレットを取り出すと画像を見せた。高さ150 センチのプラスティック製ツリーだ。

 「これです」

 訪問者たちは揃ってZのようなうなり声を上げた。

 「こんな小さな……」マーガレットは呻いた。「冗談でしょう?」

 「マーゴ、我々にはこれが精一杯なんですよ。まさか、森に行ってモミの木を切ってこいとか仰るんですか?」

 「会議室に設置と聞いたときからイヤな予感はしてたんだが……」アンダーソンもショックを隠せないような顔で言った。「もうちょっと大きなツリーを用意してもらいたい」

 サンキストが抗議の声を上げかけたが、谷少尉は時間を節約するためにそれを制した。

 「わかりました」ため息と共に言う。「せっかく中庭に設置するんですから、もう少し大きなものを調達することにします」

 「よかった」アンダーソンは笑顔になった。「それから、25 日のパーティのことなんだが」

 「パーティ?」谷少尉はサンキストと顔を見合わせた。「何のことですか?」

 「七面鳥を出すんだろう?」

 「ええ。ローストして食堂の特別メニューとして……」

 「おいおいおい」アンダーソンは大声で遮った。「何を言ってるんだ。パーティを開いて基地内の全員にふるまうのが当たり前だろう。クリスマスなんだぞ?」

 「いや、そんな命令は……」

 「さっき小清水大佐に聞いたら、第18 特殊作戦群がクリスマスパーティ準備委員会だって言われたぞ。で、臼井大尉に聞きにいったら、第1 分隊が担当になったと」

 「……初耳です」

 アンダーソンたちを何とか追い返した後、谷少尉は臼井大尉を探したが、あいにく防衛ラインの視察に出かけていて捕まえそこねた。数秒間頭を抱えた後、気を取り直してサンキストたちに命令した。

 「ツリーの調達プランを練り直せ。こうなったら、彼らが度肝を抜かれるようなでかいのを準備するんだ。技術部と装備部も巻き込め。それぞれの部長には話を通しておく。俺はパーティの準備をする」

 サンキストとキトンは、技術部と装備部に直行すると「特命だ」と言いながら、それぞれ2 名ずつの隊員を引き抜いて、格納庫に連れて行った。またもや「特命だ」と言いながら、パイプやロープなどの資材をかき集める。台車をガラガラと押しながら中庭に向かい、装備部に供出させた野戦指揮所用の大テントを張った。

 「この中でツリーを組み立てるんだ」サンキストは隊員たちに説明した。「でっかいやつをな。幹は太いパイプで、枝は細いパイプと針金。骨組みが見えないように緑の葉っぱで覆う」

 「緑の葉っぱなんて、どうやって調達するんだ?」スクレイパーが首を傾げた。

 「遠目からそれらしく見えればいい。ジャングル戦用の迷彩服とかギリースーツで廃棄予定のがあるだろう。あれを適当に切って貼り付けるんだ。隙間はオーナメントで埋める。ガラス玉とかカラフルな紙の箱とか、何て言ったかな、あのひらひらキラキラした毛皮みたいなやつ……」

 「モールか?」

 「それだ。とにかく、そういうので埋めるんだ。接近するとバレるから周囲5 メートルは立ち入り禁止にしよう。後はLED でごまかす」

 ツリーチームは作業にかかったが、スクレイパーが別の問題を持って来た。

 「まずいことになった」スクレイパーは悔しそうに言った。「電源ケーブルを管理棟から引っ張ってこようと思ったんだが、施設管理室からNG が出た。全館の電気消費は1mA 単位で計画されているから、変更はできんそうだ」

 「ツリー1 つぐらいで、全館に影響が出るわけないだろう」

 「そう言ったよ。事前に話を通しておかなかったのが気にくわないんだろうな。施設管理室の室長は、紙の書類が好きな人だから」

 「どっかの官僚出身だったな」サンキストは吐き捨てた「分隊長には?」

 「トラブルチケットは切っておいた。話してみるとは返ってきたが、プランB を考えておけと書いてあったよ。くそ、黙ってやっちまえばよかった」

 「作戦用バッテリーはどうだい?」技術部の隊員が提案した。「あれなら、最大3000VA で給電できるぞ」

 「もう確認した」スクレイパーは暗い顔で答えた。「利用予約が年明けまでぎっしり詰まってて持ち出しは不可だ。緊急時ならともかく、不要不急のイベントなんぞを割り込ませることはできないそうだ」

 「ソーラーパネルで自給自足できないか」サンキストは技術部の隊員に言った。「モバイルバッテリーをつないで、昼間のうちに充電しておけば。モバイルバッテリーなら、分隊長権限で持ち出しできる。名目は緊急電子装備訓練とか何とか適当に言っときゃいい」

 「できると思うが」隊員はテント越しに空を見上げた。「ここだと管理棟自体が邪魔になって、十分な採光ができないかもな。点灯時間は限られるぞ」

 「どれぐらいだ?」

 「LED の数にもよるな」

 「どれぐらい必要だ?」サンキストは装備部の隊員に訊いた。

 「このサイズで、見苦しくないぐらいまでLED を展開するとなると、4,000から5,000 個ぐらいは必要だな。1500VA で給電するとして……」

 消費電力を計算してみると、昼間から充電しておくとしても、せいぜい40 分が限度だということがわかった。

 「でも」技術部の隊員が、タブレットを操作しながら言った。「イルミネーションの点滅パターンを最適化すれば、もうちょっと延ばせると思うぞ。ただ光ってるだけじゃ芸がないし、ムダだからな。プログラミングはやっておく」

 「よし、それで行こう」

 その後、ツリーの組み立ては装備部と技術部に任せ、サンキストとスクレイパーは必要数のLED を確保するため、基地の内外を駆けずり回った。クリスマスが近いので、イルミネーションなどを売っている店の在庫はほとんど空だった。七面鳥調達の任務を無事に終えたブラウンアイズも一緒になって、近隣のリサイクルショップなどを回り、それでも足りない分は、高価格になるのを承知でネットオークションで落札した。ようやく必要数のLED が揃ったのは、20 日を過ぎてからだった。

 一方、谷少尉は25 日のパーティの準備に大わらわだった。当初、ツリーを設置する予定だった大会議室を、急遽パーティ会場として使用することにした。谷少尉は食堂に協力を求め、25 日の夕方からパーティを開けるように、ケータリングサービスを依頼した。メニューにローストターキーを追加したいと言うと、食堂備品管理の担当者にそんな大きなオーブンがあるか、と怒鳴られた。谷少尉は相手をなだめながら、他の基地に連絡してオーブンを一時貸与してもらうことを約束した。すぐにデロンギの大型コンベクションオーブン3 台の手配が整ったが、輸送をどこが担当するかで、またもめた。車両はどちらが出すのか、ドライバーはどうするのか、燃料費はどこから捻出するのか。結局、民間の配送業者に頼むことにし、近くのヤマブキ・ロジスティックに見積を依頼する。音楽はデジタルプレイヤーで間に合わせる予定だったが、横浜市の市民楽団に話をしたところ、二つ返事で引き受けてくれたので生演奏になった。喜んだ谷少尉だったが、楽団員6 名の受入手続きを進めなければならないことに気付いて、自分の首を絞めたような思いになった。

 谷少尉は次々とチケットを切った。命令を受けた当初、登録したチケットは12 個だったが、ツリーの要件が膨れあがったことと、パーティの件が加わったことで、49 個に膨れあがっている。このチケットが全て「終了」になる日は永遠に来ないような気がした。

 それでも最重要課題の七面鳥とツリーを解決する見込みが立ったため、チケットのステータスは次々と「進行中」から「解決」に、そして「終了」へと更新されていった。「フィードバック」になったチケットは、すぐに誰かが担当して「解決」に更新していく。隊員たちがみな有能でよかった、と谷少尉は自分の幸運に感謝した。エンジニア時代、チケットを切れば、自分の仕事が終わりだと思っている上司や、「フィードバック」で返すと逆ギレした若いプログラマに悩まされたことから考えれば、第18特殊作戦群は優秀なチームと言える。

 ようやく全ての準備が整ったのは、12 月24 日の夜だった。明日、25 日の夕方18:00 に中庭のツリーの点灯式が行われ、同時にパーティ会場の扉が開かれる。国籍や所属に関係なく誰でも参加自由だが、即応部隊が誘惑に負けたときのことを考えて、あまり強いアルコール類は置かないことにした。

 ツリーは全長5 メートルだが、テントの中で組み立てるには大きすぎるので、いくつかのパーツに分けてある。点灯式の30 分前に組み立てるのだ。組み立てのリハーサルにも谷少尉は立ち会い、7 分20 秒というタイムを確認して、チケットのステータスを「解決」とした。当日、無事に点灯されれば「終了」となる。

 大体の準備はできたが、慎重な谷少尉は、再度全てのチケットを検証した。急性アルコール中毒で倒れる隊員が出ることも想定し、医療センターに待機を頼んだりと、細かいタスクをこなしているうちに日付が変わっていた。谷少尉は3 時過ぎにようやく納得してベッドに入った。ここまでやっておけば大抵の緊急事態が発生しても、対処する自信はある。だが、ツリーが消失するという事態だけは、全くの想定外だった。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 「さっきまでグレイベアやレインバードと飲んでて」サンキストは説明した。「戻る途中、中庭の方を通ったんです。テントがぺしゃんこになってたんで、変だなと思って近寄ってみると、中に入れてあったツリーが消失していました」

 「誰があんなもの持っていくんだ」谷少尉はお茶をもう一口飲んで頭をすっきりさせた。「人間が持っていける大きさか?」

 「まあ6 個のパーツにばらしてありますから。1 個ずつは大した大きさじゃありません。抱えて持ち出せます」

 「中庭に監視カメラはあったか?」

 「調べました。ありません。普段、何も置いてませんから」サンキストは時計を見た。「今、分隊全体で近くを探しています。基地の外に出たはずはありませんから」

 そう言ったとき、ブラウンアイズが飛び込んできた。

 「発見しました!」ブラウンアイズは息を切らしながら叫んだ。「技術部にありました」

 「どういうことだ?」谷少尉とサンキストは声を揃えた。

 「イルミネーションの電力計算をやり直してみたら、15 分で落ちてしまうことが判明したそうです」ブラウンアイズは説明した。「明日までに配置を再調整して、プログラミングをやり直すって。シミュレーションするために実機が必要だったので持っていったんです」

 「どうしてこっちに連絡がなかったんだ」サンキストが呆れたように訊いた。

 「焦ってて」ブラウンアイズも苦笑した。「思いつきもしなかったって。平謝りでした」

 谷少尉とサンキストは安堵のため息をついた。

 「人騒がせな奴らだ」谷少尉は緊張が解けた拍子に洩れた欠伸を噛み殺した。「それで再プログラミングは間に合うのか?」

 「ちょっと苦労しているみたいですが」

 「……ちょっとってどの程度だ」

 「それはあたしには……」

 少し考えてから、谷少尉はベッドから出た。サンキストが訊いた。

 「どうするんですか?」

 「様子を見てくる」デスクの上のタブレットに触れ、開きっぱなしにしてあるRedmine のページで新しいチケットを登録した。「お前たちは寝ろ」

 「分隊長こそ寝なくていいんですか?明日はパーティが終わるまで寝ているヒマはないんですよ」

 「こうなったら最後まで見届けないと、落ち着いて寝ることもできん。時間を見つければ仮眠ぐらい取れるだろう。すまんが技術部にコーヒーを届けさせてくれ。濃いやつを」

 

 12 月25 日の夕方、クリスマスツリーは無事に点灯し、パーティに集まった隊員や来客たちは歓声を上げた。谷少尉も再プログラミングを手伝ったイルミネーションは、落ち着いた間隔で静かに瞬き、JSPKF の文字を一定周期で表示していた。

 中庭を見下ろす大会議室を転用したパーティ会場では、見事に焼き上がった10 羽のローストターキーを中心に、コックが腕をふるった料理や焼き菓子が並んでいた。アンダーソン課長やマーガレットは、シャンパンのグラスを片手にご機嫌で、会場の片隅では楽団が静かに定番のクリスマスソングを演奏している。家族を連れてきている隊員もいて、普段は耳にすることがない子供の歓声も聞こえていた。サンタに仮装したヘッジホッグが、奇妙な声を出しながら給仕している横で、タキシードにシルクハットのスクレイパーが、UTS-15J の空薬莢を使って消失マジックを披露している。誰もが楽しそうで幸せそうだった。

 谷少尉は結局一睡もできなかったが、命令を完遂した達成感で満たされながら、賑やかなパーティ会場を眺めていた。本来なら会場の現状復帰までが命令の範囲だったが、さすがに見かねた柿本少尉が、第2 分隊でその役目を引き受けてくれたので、後は1 時間後のパーティの終わりまで、料理やアルコールが途切れないように注意すればいい。

 酔ってしまわないように甘いシードルのグラスを手にしながら、臼井大尉と話していると、小清水大佐がやってきた。シャンパンのグラスを片手にご機嫌な様子だ。

 「谷少尉、紹介しておこう」小清水大佐は後ろにいた2 人の男女を招いた。「ハウンドのキーレンバッハさん。例のシステムのテストの総合責任者だ」

 長身で金髪の女性は、パーティの席だというのに、アルマーニの上質なスーツを着ていた。営業的な笑みを浮かべながら、片手を差し出す。

 「アヤコ・キーレンバッハと申します」淀みのない日本語だった。「新年から日本支部で、ソリストの責任者として指揮を執ることになりました。以後、お見知りおきを。こちらは、私の部下でボリスです」

 谷少尉は2 人と順に握手を交わした。ボリスはヒスパニック系の顔立ちで、どことなく人を見下すような目をしている。

 「ソリストと申しますと?」谷少尉は訊いた。

 「ああ失礼しました。ようやく正式なシステム名が決定しました。いつまでも例のシステム、とか、戦術支援システムでは困りますものね」

 「なるほど。呼びやすくていい名前ですね。開発状況はどうでしょう?」

 「順調に進んでいます。予定通り、6 月頃にはテストフェーズに移行できると思います」

 「それはよかった。いいシステムになることを願っています。何しろ我々の命を預けると言っても過言ではないシステムなんですから」

 「ええ」キーレンバッハはグラスを掲げた。「お互いにとって、ウィンウィンの開発になりますことを」

 谷少尉はグラスを軽く合わせた。キーレンバッハはグラスに口をつけると、誘うような目で谷少尉を一瞥した後、小清水大佐に誘導されて離れていった。ボリスも一礼して後に続いた。

 音楽が軽快なテンポの曲に変わった。会場の中央にはスペースが取ってあり、何組かの隊員たちが日頃のダンスレッスンで鍛えたステップを披露していた。何故か男装したレインバードが、何故か女装したリーフと華麗なタンゴを踊り、ヤジと喝采を浴びている。

 「分隊長」ブラウンアイズが顔を輝かせて近づいてきた。「踊りましょう。ダンスクラスじゃ、インストラクターに絶賛されたそうですね。お手並み拝見させてください」

 「俺はもうクタクタなんだ。他を誘えよ」

 「いいじゃないですか」ブラウンアイズは強引にグラスを奪い取ってテーブルに置いた。「ほら、行きますよ」

 「一曲だけだぞ」

 2 人は手を取り合って踊りの輪に加わった。ブラウンアイズのステップは、テクニックよりもパワー重視で躍動感にあふれている。その若々しい動きに合わせてステップを踏みながら、谷少尉はこういうクリスマスも悪くないな、と思った。毎年の恒例行事にすべきかもしれない。この日だけは、鶴見川の向こう側でうろついているZのことを忘れて楽しむ。人生にはそういう時間が必要だ。

 「何が必要ですって?」

 ブラウンアイズが訊いた。うっかり口に出してしまったらしい。谷少尉は微笑んだ。

 「いや、楽しい夜だな。みんな喜んでる。苦労した甲斐があった」

 「本当にそうですね。去年はヨーロッパ戦線にいたんですが、悲惨な戦いばかりで、こんなクリスマスを過ごすどころか、クリスマスなんてものが、この世界にあること自体忘れていました。ベルリンなんか、もうみんな絶望してて。Zが地球を支配する、俺たちは負けるんだ、ってね」

 「ああ。俺もベルリンは参加してたよ。あれはひどかったな」

 「今だに」ブラウンアイズはちょっと身を震わせた。「どうして総崩れにならなかったのか不思議です。何かが、または誰かが少し間違えただけで、壊滅しててもおかしくなかったのに」

 「友のある者は敗残者ではない。翼をありがとう」

 「何ですか、それ?」

 「隣で戦う仲間がいる限り、俺たちは負けないってことだ」

 谷少尉はそう言うと、わざと強いステップを踏んで身体を回転させた。ブラウンアイズは小さく悲鳴を上げながらも素早く対応してくる。谷少尉は笑いながら踊った。来年はインシデントZにも終息宣言が出るだろうし、新型戦術支援システム、ソリストの導入も本格化する。全てがいい方向に進むだろう。いつかZ問題がきれいに片付き、平凡なプログラマに戻る日がきっと訪れる。そう信じたい。この一時だけは。

 窓から見える空は澄み切り、青白い月が静かに輝いていた。

(終)

 「ハローサマー、グッドバイ」の番外編。オペレーションMM が行われる前の年のクリスマスのお話です。

 タイトルはコニー・ウィリスの短編より。クリスマスの飾り付けをめぐる近未来ラブコメ。楽しいので、つい毎年読んでしまいます。同じくウィリスのクリスマスSF 「まれびとこぞりて」もお勧めです。

 谷少尉の「友のある者は~」は、クリスマス映画の定番中の定番、「素晴らしき哉、人生!」のセリフです。

 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 2014年のクリスマスに公開した「賢者の贈り物」の、クミちゃんが可愛いコミック版(全4回)はこちらです。

賢者の贈り物

 それではみなさま。よいお年を。

Comment(9)

コメント

へなちょこ

すてきなクリスマスプレゼントをありがとうございます。
そして良いお年を

ヴぃ

仕事のできる人間は魅力的だなー
それはそうと僕もブラウンアイズちゃんにあんな命令やこんな命令をしたいです

mia

番外編までお疲れ様でした。
ヤマブキはここにも登場していたんですね。

>「さっきまでグレイベアやレインバードと飲んでて」サンキストは説明した。
臼井大尉以外は(谷少尉もでしたっけ?)柿本少尉のことをグレイベアと呼んでいる印象はなかったけど、他の隊員もそう呼んでいたのでしょうか?

SIG

本編完結から間髪をいれずに特別編、
おかげさまで楽しいクリスマスとなりました。

Zも見とれる華麗なドライビング・テクニックのスクレイパー、
こちらでもターキー、ツリーにマジック・ショーと大活躍。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇

>>miaさん
谷少尉は、本編(30)前半で「グレイベア」のコールサインを使っています。

コールサインといえば、第18 特殊作戦群の臼井大尉は常時本名表記で、
コールサインが一度も登場しなかったのに、
第6 特殊作戦群のグラスソード中尉は、逆に常時コールサイン表記で
本名が一度も登場しなかったりしています。
このあたりは小隊ごとに運用が違ったりするのかもしれません。
実はグラスソードが本名、という可能性もありますが。

ハローきんいろモザイク

>>SIGさん
谷少尉が柿本少尉をグレイベアっていうのはわかるんですよ。
ただ、柿本少尉より下の階級のサンキストがグレイベアっていうのは
違和感があるんじゃないかと
グレイベア少尉っていうならともかく

ってことをmiaさんは言いたかったのでは?

サボリーパーソン

楽しかったです。
こういう日常があったうえでのオペレーションMM、と振り返ると
またちょっと切なかったです。
奮闘虚しく斃れた仲間の名前もみんな出てくるし。

山田

大事な場面でいつもじゃんけんに負ける谷少尉と
アミダくじで負けて憮然としてる臼井大尉にほっこりしてしまいました。

本編番外編ともにとても楽しかったです。
執筆、お疲れ様でした!

fuga

いつのまにかゾンビのやつ終わってたのね
お疲れ様でした~(^ω^)

今回はイマイチ性に合わなくて途中離脱したけど、次回作は期待してマス

fuga

紹介されてたロメロ三部作も28時間もみてるし、ゾンビ映画は結構好きなんだけどね~
ゾンビ小説はあわなかったみたい

ちなみに僕はリメイクドーンとREC(1のみ!←強調)が好きです(・∀・)
巷では(なぜか)評判のいいショーンは嫌いです(´・ω・`)

コメントを投稿する