テストエンジニア時代の悲喜こもごもが今のわたしを作った

ソフトウェアテストシンポジウム「JaSST'14 Niigata」開催レポート(その3)――チームビルディングQ&A

»

 こんにちは、第3バイオリンです。

 ソフトウェアテストシンポジウム「JaSST’14 Niigata」開催レポートもいよいよ最終回です。今回は、ミニセッションの様子をお届けします。

■ミニセッション「現場改善よろず相談室」

 「JaSST’14 Niigata」最後のプログラムは、参加者の現場のお悩みに松尾谷さんと増田さんがお答えするミニセッションです。

 ワークショップの途中で参加者に配布したアンケート用紙に寄せられた質問について松尾谷さんと増田さんが回答くださいました。時間が短く、またなるべく多くの質問に答えるために一問一答形式になりましたが、その内容をご紹介します。

Q. 「コンサルタントの金額の相場はいくらくらいなのか」
A. 「業界によって異なる。一例をあげると、メーカーは時間給になるところが多い」

Q. 「チームのコミュニケーションを改善したいが、そもそもコミュニケーションなんて必要ないと思っている人に対してどのように対応すればよいか」
A. 「単なる『仲良しグループ』では仕事はできない。まずは仲間意識と役割意識のバランスが取れるように努める」

Q. 「チーム内の知識やノウハウを共有したいが、どのような方法が最適なのか」
A. 「『仕様が決まった背景』をどう残すか、が課題となる。一例として、wikiなどのツールで重要なネタを残せるようにした。また、社内で『Yahoo! 知恵袋』のようなフォーラムを作ったりもした。今後は、メンバーからうまく知識を引き出すための仕組みを考えたいと思っている」

Q. 「年上の部下をどう扱えばいいのか、どのように接していけばいいのか知りたい」
A. 「まず、年齢と仕事の内容は分けて考える。マネージャーは役割であって身分ではない。マネージャーつながりで例をあげると、芸能人のマネージャーは芸能人よりも立場が下になるが、芸能人の言いなりにはなっていない。芸能人をサポートしながら、言うべきことはちゃんと言っている」

Q. 「リーダーとメンバーが対立したときに、他のメンバーができることはあるか」
A. 「対立している人に『仲良くしなさい』と言っても無理。対立がある、ということを認めつつ、それが大きくならないように努める」

Q. 「メンバーの仲は良いのにモチベーションが低くて仕事が進んでいないチームがある。どうすればいいのか」
A. 「先にも言ったとおり、単なる『仲良しグループ』では仕事はできない。チームとしてモチベーションを上げる仕組みが必要」

Q. 「PM理論の話を聞いて、会社(上司)にもっとM行動を取ってもらいたいと思った。どうすればいいのか」
A. 「短期間で利益をあげるにはP行動が効果的だが、目先の損得ばかりを考えていると仕事を長く継続させるのは難しい。長い目で見たときにはM行動に効果があることを根気よく伝える」

Q. 「部下の指導をどうすればいいのか悩んでいる」
A. 「これさえやれば大丈夫、といったテクニックのようなものはない。上司は自分の背中、行動で部下に示す。結局のところ、部下は上司と同じようにしかならない」

Q. 「モチベーションが自然に下がっていく理由は何か」
A. 「それは人間の本質。モチベーションが上がり続けるということは、興奮状態がどんどん高まるということ。そんな状態が続けば確実に体を壊して死んでしまうから」

Q. 「現状で満足してしまっているメンバーをもっと引き上げたい。彼らに向上心を持たせるにはどうしたらいいか」
A. 「メンバーそれぞれに事情や考えがあるので、全員をまったく同じように引き上げるのは難しい。メンバーそれぞれに合わせたやり方を考える」

Q. 「周りよりスキルを高めたり、珍しいスキルを取得したりするとチームで浮いてしまうことに悩んでいる」
A. 「そういった傾向は特に日本の組織にありがち。そういう人を認める風土を作ろう」

 どの質問も「あ、それわたしも前から疑問に思っていた」と思えるような、リアルな内容でした。このあとの情報交換会でも、さらに質問や議論が繰り広げられていました。現場で悩みを抱えている方が、このセッションで少しでも解決の糸口をつかむことができたならば幸いです。

■おわりに

 今回は、技術的な話から少し離れて「人間の理論」をテーマに取り上げてみました。最初はこのテーマは参加者に受け入れられるのか、実際、申込み受付を開始してもなかなか参加者数が増えないのを目の当たりにしたときにはどうしようかと心配をしていましたが、おかげさまで盛会のうちに閉幕となりました。

 今のご時世、効率や即効性が優先され、「人間の理論」のような時間と手間をかけて少しずつ効果が表れることは後回しになってしまいがちですが、「JaSST’14 Niigata」をきっかけに少しでも「人間の理論」も気にする人が増えていくといいと思います。確かに時間はかかりますが、3時間ほどのワークショップでも確かに場の雰囲気が変わっていったのを実感することができたのですから。

◇ ◇ ◇

 「JaSST'14 Niigata」レポートはこれで完結です。最後まで読んでくださった読者の皆様、ありがとうございました。

Comment(0)

コメント

コメントを投稿する