暇なときに読んでもらいたい、主に新人向けの馬鹿ばかしい文章。肩ひじ張らずにお気軽に。

さぁ、美しい宝石を掘り出そうか。

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 新人の頃はシステムに問題が出た時、誰かに相談にいくと思う。僕も何か起こるたびに聞きに行っていた。しかし、ある軽いミスを起こして怒られることがあった。このことを堅苦しい文章でなく、馬鹿馬鹿しい文章でお話したいとおもう。

 これがコラムになるかは、さて置いといて。

 ■今日の話:さぁ、美しい宝石を掘り出そうか。

 組み上がっていたものを改良している新人の君は、ある時、入力した値が正しく返ってこないという問題を発見した。

 「ボス。ここがうまく動かないんですが」

 と聞きにいく。

 さっきまで電話を使い、相手と「次の飲み会のセッティングは任せるよ」とニコニコしながら話していたボスはその言葉を聞くなり、夕立のように怒りの顔に変化し、君を滅多打ちにしようと手元のゴルフクラブを握るだろう。そしてこう言うのだ。

 「おい、ルーキー。その問題の、どこの部分が問題なんだ?」

 君は、爆弾を解体するような気分で一言一言を脳内で紡ぐ。

 「Aという値を入力するとBじゃなくてCが出てきてしまうんです」

 ドーン!……アウト。爆発してしまった。

 解体に失敗した君は哀れなことに、このボスから使えない認定を頂戴し、「お前は、来週から部署が変わる。荷物をまとめておけ」といわれるだろう。

 そして失意と共に、そのフロアから追い出されていくのだ。

 ちょっと過激になったけど。まぁ、例え話だから気にしなくていい。え? 自分は本当にこうだったって? そりゃ残念。次のところでの君の活躍を祈っておくよ。

 さて、なぜこうなったかを考えてみよう。

 なぜか?それは君が問題を理解していなかったからだ。

 「Aを入れたらCが出るのが問題だろ!」

 ふむふむ。しかし、答えはNo。それは本当の問題によって引き起こされた結果なのだ。

 僕は例え話が好きなので、例え話でお話するけど。

 君がピカピカの新車(車は嫌い? ならバイクでも良いよ。僕はバイクも好きだ)を買ったとする。今日は待ちに待った納車日だ! ディーラーが親切にも「費用はこちらが持ちますので、自宅まで配達しますよ」と言ってくれた。

 そして目の前に車が配達される。君は感謝のしるしとして、寒い中キャリアカーで車を運んできたドライバーにホットコーヒーを渡し、「ありがとう。首を長くして待っていたんだ」と言いながら車のキーを受け取った後、配達してくれた人に向かって手を振りながら見送る。

 配達してくれた人が見えなくなると、目にもとまらぬ速さで新車に乗り込み、期待と共にエンジンをかける。

 ……うんともすんとも言わない。

 いろいろいじってみるが、事態は進展せず。

 「ハズレをつかまされたのか!?」と思い怒りを何処にぶつけようか悩んでいると、ガソリンのメーターがemptyと表示されている。

 さっきまで、天使に会っていたような気分に浸っていた君は、もう姿が見えない天使に向かって、「あのf**k野郎!」と悪態をつき、急いでスタンドに走ってジェリ缶(ガソリン携行缶)にガソリンを入れてもらい、車に給油する。

 そしてエンジンがかかり、素晴しいカーライフを満喫できるようになった。

 ……ついでに、車のメーカーにもクレームの電話もしておいた。

 もう分かったと思うけど、君が言ったのは「車が動きません!」と言っているのと同じだったのだ。

 ただ「車が動きません!」と言っただけであれば、車のメーカーは「車の欠陥なのか」「説明書の欠陥なのか」「ディーラーが間違えて、プラモデル会社に1分の1完全稼動プラモデルを発注して、それが納品されたのか」などの調査をしなければならない。莫大な時間と多大なコストと大量の人員を投入し、原因が掴めるまで全てが止まる。

 しかし、「最初からガソリンが入っていませんでした」と言えば、本社が「手配した担当をクビにするため」の紙と、「お客様に車を渡す前に、必ずガソリンを入れること」と書かれた紙を書いて車を販売したディーラーに渡すだけですべてが終わる。こんな簡単に終わるのは、君が問題をちゃんと理解し、伝えたからだ。

 もし、君が何か問題が発生したときは、短距離ランナーのように椅子から飛び出し、ボスやリーダーに聞きに行く前に、本当の問題というものを調べてみてはどうか。

 時間は、そうだな……最大でも30分ぐらいにしておこうか。

 調査する内容は、“できる範囲すべて”だ。仕様書から始めても良いし、プログラムの中をいきなり覗いてもいい。君ができることをやるんだ。

 そして30分が経過したところで打ち切って、調べたことをボスに伝える。

 そうすれば、調査する範囲は小さくなる。そうすれば本当に必要な人だけを選び、調査チームを作り対応してくれるかもしれないし、「うん。いいね。そのまま調査を進めてくれ」といわれるかもしれない。

 ちゃんと伝えられれば、君はこのフロアに必要な人材として認められ、ボスが隠し持っている「フロアから追い出すリスト」から名前が消えるだろう。おめでとう。

 結局、問題の中の本当の問題というものは、ダイアモンドやルビーといった宝石のように地中深く、見つかりにくいところに埋まっている。取り出すには相当の苦労が必要だろう。

 だが、それは無用の苦労ではなく、自分と周りのために必要な苦労なのだ。

 だから宝石は高いんだろうね。

Comment(2)

コメント

any

中身を知ってる社員に聞けば5分もかからない場合だってあるわけで。
そういう時は逆に「問題が発生した時点で報告しろ」と怒られるわけです。

ま、単に報告で終わるんじゃなくて「これから~して原因調べていきます」って言えれば良いんでしょうけどね。

楽人

>中身を知ってる社員に聞けば5分もかからない場合だってあるわけで。
>そういう時は逆に「問題が発生した時点で報告しろ」と怒られるわけです。
この手の怒り方する会社だと
すぐに聞いた場合「調べてすぐわかることを聞くな!」って怒られる訳ですよ。
まずは自分で手を尽くす(もちろん締め切りを決めて)のは社会人としての必要な心構えかと思います。

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