暇なときに読んでもらいたい、主に新人向けの馬鹿ばかしい文章。肩ひじ張らずにお気軽に。

本当にやりたいことはなんだい?

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 僕もそうだったが、新人の頃、毎日朝出社しては、夜まで指示されて残業をしている人が多いとおもう。

 他人にコントロールを奪われ、納得いかない作業を繰り返す退屈な日々だった。

 そこで、僕がどうやってコントロールを奪い返し、残業を減らし、仕事を捗らせたか。

 本当にやるべきことは何だったのかを確認した方法を、堅苦しい文章でなく、馬鹿馬鹿しい文章でお話したいとおもう。これがコラムになるかは、さて置いといて。

■今日のお話:神様の作り方

 いきなりだが、今日やることをすべて紙に書いてみよう。ただし、パソコン内のテキストはダメだ。絶対に紙に書くこと(理由は後で書くよ)。

 やることは何でも良い。

 例えば、「気に入らない奴の椅子を事故に見せかけて蹴っ飛ばす」や「突発的に踊りだす」でも(僕に責任はとれないが)構わない。

 本当に今日やることだけを書き出すんだ。

 5分経過……10分経過……15分経過……

 これくらいで書き出しは終わっただろう。

 まだありそう? 思い出せない“やること”っていうのは、大して重要な事じゃないはずだから、この際、無視だ。

 さて、書き出しが終わったのであれば、これが君の今日の作業だ。

 これを全て完了させれば帰れる! おめでとう! さぁ、今日の仕事をスタートだ。

 ……ちょっと待って! それは本当に定時内に終わるの?

 残業が前提なんてナンセンスだ。

 「残業してこそ仕事だ」なんて上司に言われているなら、心を鬼にして、「と言われたので、今日から毎日徹夜します」と上司より上の役職に言うと良い。

 次の日には、上司の椅子が窓から投げ捨てられているだろう。

 それでは話を元に戻して、何が書いてあるかざっと見直してみよう。

 きっと紙には、「xxプログラムを書く」とか、「xx設計書を書く」とか、「上司のヅラをばれないように元の位置に戻す」とか書かれているはずだ。

 ふむふむ。いいね、分かりやすいよ。

 ただ、1点。作業が書いてないという事を除けばね。

 意味が分からない? そうか、じゃあ例え話をしよう。

 君たちが大好きなカレーを思い出してほしい。

 カレーを作るには、野菜、肉、ルーを買ってくる。買ってきた材料を切り刻む。鍋に入れて煮込む。などの作業があるはずだ。

 その作業の結果、カレーと言うおいしいものが食べられるんだ。

 プログラムや設計書も一緒で、「プログラムを書く」というのは、「カレーを作る」と書いてあるだけなんだ。

 カレーを作るためにどうしたらいい? というのが、本当の君の作業だ。

 というわけで、紙にかいた作業をもっと具体的に考えてみよう。

 「プログラムを書く」

 これがスタートだ。書くといっているが、本当は何を作るんだい?

 「検索画面を作る」

 OK、ちょっと細かくなったよ。

 「検索画面の検索結果を作る」

 Good、もっと良くなったよ。

 「検索画面の検索結果の表示を作る」

 Great、もう一息だ。

 「検索画面の検索結果表示の為のデータ取得部分を作る」

 Excellent! これが今日の君の作業だ。

 さぁ、君の紙を見直してみるといい。もっと細かく書けるだろう。困ったらカレーを思い出してみるんだ。ただ、涎は拭いてくれよ?

 5分経過……10分経過……

 細かくなったかい?

 ならなかったらしょうがない、今回は諦めて次へ進もう。何度かやってみてから、分かっていくこともあるからね。

 そして、ここからが重要だ。

 君のその作業に、「どれくらいで終わるか?」の予想を立てるんだ。難しいと思うけど、あくまでもこれは目標だ。

 おおよそで構わないから、書き込んでみるといい。目安が欲しいなら、何か簡単そうな奴を一つ選んでそこをベースに考えてみると良い。周りに、「これ作るのってどれぐらい時間がかかりました?」と聞いてもいいね。

 5分経過……10分経過……

 できたかい? 答えは聞こえないから進むけど。

 じゃあ、その時間に大体1.5を掛けるんだ。いいね? 新人の君は絶対に1.5だ。

 ちょっと待って! 君の決めた時間を馬鹿にするわけじゃないから!机の上の本を、僕に向かって投げないで!

 君が出した時間と言うのは、「君が常に作業に向けて動き続けた場合」だ。

 きっと作業中にトイレにいったり、飲み物を買ったり、オフィス内の、君が気に入っている人をナンパする時間が必要だし、急なトラブルに巻き込まれる事もあるかもしれないし、予想した時間通りに作業が捗らないかもしれない。

 その為に時間を取るんだ。分かってくれたかい? 分かってくれたら、その右手の本を机の上に戻してくれ。頼むよ!

 さて、1.5を掛けた次は、作業の優先順位を決めるんだ。

 「今日中に終わらせないと、とんでもない事になる!」

 この言葉を頭の中に入れておいて欲しい。

 例えば締め切りが近づいている作業や、重要(そう)な作業をピックアップしてみよう。

 そこからまた、さっきの言葉を思い出して順序をつけるんだ。

 特に、他人と関わる作業の優先順位は“最高レベル”だ。君が止まっているおかげで、周りも止まってしまったなんて事があるからね。

 ただし、人と関わるといって間違っても、「気に入らない奴の椅子を事故に見せかけて蹴っ飛ばす」の優先順位を上げちゃいけないよ。いいね、約束だよ。

 5分経過……10分経過……

 そろそろ決まったかな? よし、君が決めた優先順位通りに並べて時間を割り振ってみよう。9時から開始しているなら、10時からスタートだ。

 この作業が60分、だから11:00まで。

 次の作業が90分、だから13:30まで。

 おっと、昼は絶対に休むんだ。いいね。必ずだ。「周りが働いているから」なんて気にしちゃいけない。エンジンを常に回してたら燃料がなくなるように、人間もエネルギーが切れる。休める時には休むんだ。

 この作業が60分、だから17:00まで。

 次の作業が90分、だから18:30まで。

 次の作業が60分、だから19:30まで。

 よし、定時の18時を超えたぞ。ここまでで記入はOKだ。後は、横に丸でも書いてその中に納めておく。

 さて、定時時間内に「今日中に終わらせないと、とんでもない事になる!」作業は収まっているかな?

 ・収まっている。 
   →Excellent!定時に帰れるぞ。
 
 ・収まっていない。
   →No……君は残業決定だ。

 定時内から漏れた作業を見直してみるといい。本当に今日やらなければならない事かどうかがスッキリしたはずだ。一番重要なのは、「今日、本当にやらなければならないこと」なのだ。

 何を作ってるかもうわかったね?これは君の1日のスケジュールであり、自分のいるオフィスで、唯一自分を知っている、ただ一人の神様だ。

 完成した君は、喜びながらモニターの横にこの紙を張るといい。できれば、君に近づいた人が必ず見える位置がお勧めだ。

 なぜかって? 君のことを知らない他人が、君に1日の大半を要する無意味な作業を
 押し付けてくる可能性が高いからね。

 「ねぇ、新人君。この作業をやってほしいんだけど?」

 もし、神様をもっていない新人だったら、引き受けざる得ないだろう。

 ここで紙を使ったことに意味が出てくる。その紙には、各作業の時間と、優先順位と、どこのチームが絡むかなどの細かな理由が書いてあるのだ。

 「パソコンでそこまで書けばいいじゃない。」という声もあるが、“検討した”という証拠がはっきり残るのは紙だ。なんたって、いろいろ考えたことを書き込んであるはずだからね。

 そして神様を持っている君は、必ず言い返せる。

 「ボス。この作業を無視してもやらなきゃいけない程、重要な作業ですかね? これとこれが止まることで、あっちのチームの作業が止まりますが、 それでも重要なんですかね?」

 「生意気な新人だ!」っと君に憤る人なら見限った方が良い。

 「ふむ。そこまで重要じゃないな。他をあたるよ。」っと言ってくれる人なら良い人だ。色々相談すると良い。

 1時間程度で作った1枚の紙が、君の1日をとても充実したものにしてくれる。誰が決めたわけではなく、納得して決めた自分のスケジュールだ。

 無意味な作業に踊らされず、横槍を避けて、作るべきものを作れる。君は余計なことを考えなくて良いのだ。自分が作るべきものに集中できる。普段なら、横槍で思考がバラバラになり、
時間が数倍かかっていただろう。
 
 君は、すべてを終わらせるために、自分の道を邁進する。

 そしていると定時のベルが鳴り、君は書いた紙通りに進行しているのを確認し、「今日も頑張った!」と思い、帰り支度をしている。

 ふと、横を見ると紙1枚を作らなかったために同僚がうつむいた顔で、押し付けられたよく分からない作業に時間を割かれている。

 彼に耳をすませば「今日も残業か」という言葉が溜め息と共に聞こえるだろう。

 それは、昨日までの君の姿だ。

 その声が聞こえたら、君は教えてあげると良い。

 「なぁ、神様の作り方知ってるか?」ってね。

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コメント

mathken

来年からSIerで働き始める者ですが、まさに目からウロコでした!
続きを楽しみにしてます!

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